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ディズニー&ピクサー映画「インサイドヘッド」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート42】

今回からディズニー&ピクサー映画「インサイドヘッド」を取り上げていきたいと思います。(次回から「ディズニー映画」と呼びます)

「インサイドヘッド2」が現在公開中ですが、今回取り上げるのは2015年に公開された「インサイドヘッド」です。

英語の難易度は「マイエレメント」と比べると少し高めです。使用語彙が難しいというより、登場人物の話す英語のスピードが全体的に速めです。

でも内容はとても面白いので、あっという間に見終わってしまいました。

今回からこの「インサイドヘッド」で使われている英語表現を取り上げていきますが、これまでは解説する前後のセリフも含めて書いてきました。

でも今後は、解説する英語以外のスクリプト(セリフ)はあまり含めずに、解説する部分の “英語”に焦点を当てていきたいと思います。

ただ、そのセリフが話された状況なしでは理解が困難だと思われる時には、簡潔に場面の説明をしたり、前後のセリフも含めていくつもりです。

あらすじは、

「11歳の少女ライリーの頭の中に住む5つの感情(ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリ)が彼女の幸せを守るために奮闘します。引越しで新しい環境に戸惑うライリーを、感情たちが支え、守り、成長させていく感動の物語」

です。

主な登場人物は以下の通りです。
*ヨロコビ〜ビビリまでは全員ライリーの頭の中でライリーの“感情”を操る人たちです。

ヨロコビ (ライリーの頭の中に住む。名前はJoy )
カナシミ ( ライリーの頭の中に住んでいる)
イカリ (            同上     )
ムカムカ (         同上     )
ビビリ (            同上     )

ライリー(11歳の少女 )
母親 (ライリーのママ )
父親 (ライリーのパパ )
ビンボン (ライリーの想像上の友達 )

尚、記事の中のスクリプト(台本)上では、ヨロコビは「ジョイ」、ライリーのパパ、ママは、「父親」「母親」と書いています。


では早速セリフを取り上げていきます。

ビビリ: Easy, easy. Ah! Oh, we’re good. We’re good. Whew! Good job. Thank you. Thank you very much.「ゆっくり。ようし。ありがとう」

「インサイドヘッド」

ライリーが部屋を走り回るのを心配性のビビリが心配しているシーンです。

取り上げたのは、We are good. です。字幕にはないのですが、「大丈夫だよ」 と相手を安心させる時などに使います

例えば次のような例です。

A: I’m sorry. I said too much.「ごめん言いすぎた」
B: Oh, we are good.「大丈夫だよ」

“We” なので「(喧嘩後も)お互いの関係は大丈夫だ」という意味です。

それに対して I’m good. の使われ方は少し異なります。

A: Do you need any help? (何か手伝おうか?)
B: I’m good. Thanks. (大丈夫だよ。ありがとう)

のように相手の手助けなどを断る時に用います。(皆で手助けを断る時には We’re good. も使えます)

同じ「大丈夫」でもニュアンスの異なる「大丈夫」なのは面白いですね。

でも字幕の「ようし、ようし」は「大丈夫だよ」の代わりに確かに使いますね。

とっても口語的な日本語で、ライリーが電気コードの前をうまく通り抜けようとしてる時に「ようし、ようし (いいぞ)」 ( We are good. ) と言ってるのでバッチリの字幕ですね。


ライリー: Yucky!「イヤッ」
ムカムカ: Well, I just saved our lives. Yeah. You’re welcome.「私って命の恩人。【   】」

「インサイドヘッド」

ここは少し説明がいると思います。
お父さんがブロッコリーをライリーの口に持って行った時、ライリーは嫌がって食べませんでした。

頭の中にいるムカムカがそうさせたのです。ムカムカはブロッコリーを毒のようなものだと思ってるので、口に入れさせなかったのを「皆の命を救った」と言ったのです。

表現ですが、You’re welcome. は Thank you. に対する返しの言葉と言うのはご存知だと思います。

でもこのムカムカのセリフでは、Thank you. がないのに You’re welcome. を使っているのです。

上のムカムカの最後のセリフは、本来次のように会話が進んでいくのが普通です。

ムカムカ: I just saved our lives.
ムカムカの周りにいる人: Thank you.
ムカムカ: You’re welcome.

でも、ムカムカ以外の誰も “Thank you. と礼を言わなかったので、ムカムカは、皆が Thank you. と言ったものと仮定して、 You’re welcome. と言ったのです。

でもこの You’re welcome. を取り上げたのはその字幕の素晴らしさです。

誰も「ありがとう」と言っていないのに「どういたしまして」というのは自然ではありません。実際、字幕に「どういたしまして」と入れると不自然になってしまいます。

ではどんな訳がピッタリでしょうか?字幕は

お礼はいいわ

です。

この訳は「ありがとう」がなくても大丈夫です。この訳しかないと言うぐらい素晴らしい字幕だと思います。

この洋画シリーズを始めてから日本語字幕にハマっています…。

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