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【第148回】ディズニー映画「Mr. インクレディブル」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

EDNA MODE: Men at Robert’s age are often unstable. Prone to weakness. 「ボブの年頃はいろいろあるからね。つい魔がさして」

「Mr.インクレディブル」

ボブが妻ヘレンに秘密を抱えているのではと疑ったエドナが言った言葉です。

Prone to weakness. 「つい魔がさして」
( He is ) Prone to weakness. です。be prone to … で「…しがちである」「…する傾向がある」という意味があります。

He’s prone to colds. 「すぐ風邪をひく」 ( ⇦「風邪をひきがちだ」 )
My father is prone to overthinking. 「考えすぎる傾向がある」

エドナのセリフ Prone to weakness. は、「(ボブは) 弱くなる傾向がある」で何となくわかりますが、言いたいのは「精神的に脆い」や「肉体的に脆弱だ」ということです。

つい魔がさして」という字幕はかなり意訳ですが、「なるほど!」ですね。

また、「体調を崩しやすい」という意味でも次のように使えます。
He’s prone to weakness, so he often skips classes. *skip classes 「授業を休む」
こう見てくると prone to … はネガティブな意味合いで使うケースが多そうです。

「体調を崩す」ってよく使いますよね。いろんな言い方あると思いますが、この “prone to” も選択肢に入れておきたいです。



HELEN: Oh, hello. This is Helen Parr. Bob Parr is my husband. I was wondering if you could give me the number of the hotel he’s staying at? The number I have is no good. 「番号を間違えて」

「Mr.インクレディブル」

The number I have is no good. 「番号を間違えて」
ポイントは no good という表現です。no good は「ダメだ」という意味なので「私が知ってる番号はダメだ(間違っている)」です。

そんなに難しくない表現ですが、ここで取り上げたのは、not good との違いが大切だと思ったからです。両方とも否定形ですが、強さは no good > not good ですね。次の2文を見てください。

① This smart watch is not good.
② This smart watch is no good.

① は「このスマートウォッチはよくない」という意味なのに対して、②は「そのスマートウォッチは全然ダメだ」とより強い否定を表します。

「アイツは使えない…」と日本語でもいいますが、He’s no good. と表すこともできます。

主語は人以外でも使えます。
That idea is no good. 「その考えは全然ダメだ」
Your behavior is no good. 「君の行動は全然ダメだ」

でも強い否定になるので no good は使い方には気をつけなければなりません



E:....what are you talking...ABOUT? 「あんた何言ってんの?」
HELEN: Hmm...?
E: YOU'RE ELASTIGIRL!  My God, (Hitting HELEN with a newspaper) Pull! yourself! TOGETHER!! What will you do, Is...is-IS THIS A QUESTION!? 「イラスティガールでしょ。シャキッとしなさい」

「Mr.インクレディブル」

Pull! yourself! TOGETHER!! 「シャキッとしなさい」
直訳は「あなた自身を一緒に引っ張りなさい」です。

そこから「バラバラになった自分自身を引き寄せて一つにまとめなさい」となり、「しっかりしなさい」となります。これはイメージしやすいですね。

でも日本語字幕の「シャキッとしなさい」はホント素晴らしい日本語だと思いませんか?「シャキッと」と言うのは日本語のスラングではないでしょうか。

pull oneself together = 「しっかりする」だけしか頭になかったので、もっと柔軟な思考を常に心がけたいと思わせる日本語訳でした。

I tried hard to pull myself together. 「「私はなんとかして気をしっかり持とうと頑張った」


HELEN: There’s lots of leftovers that you can reheat. Make sure Dash does his homework. And both of you, get to bed on time. I should be back tonight. Late. You can be in charge that long, can’t you? 「残り物を温めてね。ダッシュに宿題させて。時間には寝ること。戻りは遅いわ。じゃあよろしく」
VIOLET: Yeah. But why am I in charge again? 「ところで何しに出かけるの?」

「Mr.インクレディブル」

ヘレンが娘のバイオレットに留守番を頼むシーンです。ヘレンのセリフには学ぶべき表現がたくさんあるので全て取り上げました。

There’s lots of leftovers that you can reheat. 「残り物を温めてね」
日本語でも「残り物を温める」という表現はよく使うのではないでしょうか。

reheat = re ( 再び ) + heat ( 温める ) = 「温め直す」です。you can reheat が lots of leftovers (残り物) にかかっていきます。

Reheat the leftovers. 「残り物を温めてね」
warm up the leftovers. ともいえますし、Microwave the leftovers. で「残り物を電子レンジで温めてね。」 ⇨ 「残り物をチンしてね。」と microwave (電子レンジ)が動詞で使われているユニークな英語です。

チンする」も日本語の口語表現でよくよく考えると面白い表現ですね。

Make sure Dash does his homework. 「ダッシュに宿題させて」
直訳は「ダッシュが宿題をするのを確認して」です。でも字幕の「宿題させて」の方が自然な日本語です。

「…させる」と聞くと、”make” を使うことを真っ先に思いつくのではないでしょうか。ですから、「宿題させて」も Make Dash do his homework.” と言うのが一般的でないでしょうか。

もちろんそれでもいいのですが、 “Make sure 主語+動詞” でも表せるので、覚えておくといろんな状況で使えると思います。

③ And both of you, get to bed on time. 「時間には寝ること」
「寝る」が go to bed ではなく、get to bed になっているところが好奇心をそそられます。

ChatGPT に聞いてみたところ、

“Go to bed” focuses on the action of moving toward bed.
Get to bed” focuses on achieving the goal of being in bed at the right time, implying more effort or urgency.

ChatGPT

との答えでした。

「go to bed はベッドに向かう動作に焦点を当てるのに対して、get to bed は、適切な時間にベッドに入るという目標を達成することに焦点を当て、より多くの努力や緊急性を意味する」

とのことです。

確かに go はどこかに向かっていくのに対し、get to はどこかに到達するなので、get to の方が目標達成にかける努力が感じられるのは納得できます。

ですから、ヘレンのこの get to bed on time は子供達に“きちんと就寝時間を守んですよ!”との思いが込められているのでしょう。

④ I should be back tonight. Late. 「戻りは遅いわ」
ポイントは “should” ですが、案外この “should” と “must” の意味は誤解されているように思えます。

なぜなら、”should” と “must” は日本語に直すとそんなに意味が変わらないためです。

You should go. 「君は行くべきだ」
You must go. 「君は行かなければならない」

でも、そのニュアンスは大きく異なり、should はアドバイス的な軽めの命令に対して、must は強い命令を意味します。

ではこのセリフのI should be back tonight. Late. はどんなニュアンスが含まれてるでしょうか。この should は「…するべきだ」ではなく「…するはずだ」の意味になり、「私は今晩、遅く帰るはずだ」が直訳です。

should を軽めの命令と考えると「今晩遅くなるかもしれない」と断定を避けているのです。

もし、“絶対遅れると言いたければ I’ll be back tonight. Late. と強い意志の will を使います。多分、I’ll be back tonight. Late. の方がしっくりするのではないでしょうか。

でもその遅れるかどうかの確率によって should も使えるというのを知っておけば英語表現も広がると思います。

⑤You can be in charge that long, can’t you? 「じゃあよろしく」
be in charge は「責任がもてる」で、that long は「その長さ(期間)」なので「あなたはその長さなら(=私が戻ってくるまで)、責任は持てるわよね?」となります。

すなわち、“自分(ヘレン)が今晩ここに戻ってくるまで頼むわよ”、と子供達に言っているのです。 be in charge もよく使う表現なので頭の引き出しからすぐに取り出せるようにしておきたいですね。

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