食卓の風景
モラハラな父親のエピソードは、たくさんある。
はっきりと覚えているもの、うっすら覚えているもの、思い出したくないものetc
父の地雷がどこにあるかわからなくて、いつもビクビクしていた。
ご飯を食べていても、急に機嫌が悪くなる。
テーブルを叩く。
お箸やお茶碗が飛んでくる。
もう食べる気分なんて全く起こらない。
おかずもご飯も一気に味がなくなる。
いかにこの場から離れるか、それだけを考えて空気を読んで行動する。
そんなことで?というような理由。
あまりにも理不尽な理由過ぎて全てを覚えていないが、自分の思い通りにならないとすぐにキレる。
味付けが薄いだの濃いだの、ご飯が柔らかいだの、それぐらいのことでそんなにキレなくてもいいようなことだ。
仕事には毎日行って、毎月お給料はもらってきていたけれど、彼は本当に会社でちゃんと勤められていたのだろうか?
世間体は気にしていたし、定年まで勤め上げたかのだから、家で見せる姿とは別人だったのだろうか。
家族には何をやってもいいと思っていたのだろう。
本当に最低な父親だと思う。
15年ほど前にやっと両親の離婚が成立して以降、一切会っていない。
そりゃそうだろう。
因果応報。
自業自得。
おそらくもう会うことはないだろう。
孤独に暮らす彼は、何を思って生きているのだろう?
もっと普通のお父さんがよかったなぁ。
優しいお父さんがよかったなぁ。
ビクビクしたくなかったなぁ。
そりゃそう思うよね。
そんな中、よくあの父の子どもをやってたね。
ようやってたよ。
安心、安全ではない場で、ちゃんと一生懸命生きてた。
大変やったね。
えらかったね。
私が思い出す父は気難しい顔や怒っている顔の父。
もちろん24時間365日、そうだった訳ではないけれど。
もちろん機嫌が悪くない父の顔も知っているけれど、思い出すのは辛かった記憶。
ここで全て吐き出した時に、どんな感情が湧き出てくるのだろう。
気持ちに変化はあるのだろうか。
少し楽しみで、少し怖い。