【ポエム】勝率100%じゃないのは甘え
この記事はSlay the Spire Advent Calendar 2021の6日目の記事です。
勝率。
それは、Slay the Spireというゲームにおいて最も皆が重きを置いている指標と言える。スピードランのような速さを求める競技を除けば、難易度の高低や遊び方にかかわらず、大なり小なり誰もが勝率というものに惑わされている。
例えば、直近の勝率が上がれば(たとえ、正確に測っていなくても)、人は喜び、「お、自分、上手くなった?」等と感じるし、逆に連敗が続くと、人はどんよりしてしまうものである。
統計的に言えば、直近10戦程度の勝率の上下では、正直プレイヤーの腕の向上は測れないだろう。しかるべき標本数を用意し、ある時期の標本とある時期の標本を比べ、2群の平均に有意差があって、初めて、「勝率が上がった」と大手を振るって言うことが出来る。僕らの日常で言う勝率は、大概の場合、バイアスのかかったまやかしである。
とは言え、俗っぽいと言われようとも、やはり「勝率」とは僕らの骨身に染みた、生きた言葉であることは確かだ。直近の勝ち数と負け数を天秤にかけ、一喜一憂するのも、ある意味で、このゲームで正しい楽しみ方の一つだろう。結局ゲームは、楽しむことが何より大事だ。
さて、そんな人を惑わす「勝率」だが、
突然ぶっこむと、このゲーム、勝率100%じゃないのは甘えである。
いや、嘘をつくな、などと疑われるかもしれない。そういう人はリロードを一切縛らないで、自分には少し難しいなと感じるアセンションで塔に上ってみると良い。驚くほど簡単に勝てるはずだ。走ってる最中どこかで詰んでしまった? そのときは、同一シードで再度登ればよい。もはや貴方はこの後に起こる危険を察知する能力を持っている。まるで予知夢を見たかのようにスルスルと進み、何度かランをこなせば貴方は必ず勝つことが出来る。
そう、このSlay the Spireというゲームは基本的に必ず勝つルートがあるように出来ている(稀に誰もクリアできないクソシードというものが世の中には存在するが、そんなシードは普通にプレイしているだけではまず出会うこともないため、ここでは無視する)。故に、一つのシードを勝敗の単位とすれば、勝率は必ず100%になるはずなのだ。つまり、このゲーム、勝率100%じゃないのは甘えである。甘えである以上、僕らはそれを是正しなければならない。さぁ、今日も元気に塔に上ろう。僕らは必ず勝てる。勝つ選択肢が用意されているのに、それを掴めないのは僕らが弱いからだ。がんばるぞ、えいえいおー!
詭弁である
まぁ、詭弁である。サイコロを振るう役目を神から奪ってしまえば、それは勝てる。それは真実だ。でも詭弁だ。だって僕らは楽しむためにSlay the Spireをやっているのに、リロリロリロリランリランリラン、などと繰り返して、勝率を100%にする作業は、1,2回繰り返すのならまだいいが、それを継続するのはかなりハードだし、プッレッシャーもエゲつない。一般的に勝率の単位はシードではなく、ランなのはこれが所以だろう。(個人の意見である。リロ有りランを楽しんでいる人を否定する意図はない)
次のイベント、次の敵/エリート、次のドロー、次のボス。それらは不確定である。僕らは与えられた手持ちの情報から、その不確定に対し、リスクを算出し、リターンを算出し、最も優れているものを選択しなければならない。そこの逡巡、あえて言えば、ストレスを僕らは楽しんでいるのだ。
やはりサイコロを振るう役目は神に限る、人間には重荷が過ぎたようだ。
言いたかったこと
勝率100%じゃないのは甘え、なんていうのは詭弁である。詭弁だけど、これは真実でもある。また、裏を返せば、どんなランにも必ず負けた理由が存在するということだ。
負けた理由、というのも様々ある。それはドロー順のような、どうしようのないものから、ピック/ショッピング/ルーティングなどプレイングスキルにもろに関わってくるものもある。
もし、あなたがプレイングのことでお悩みなら、先人達の知を借りるのが一番だ。
例えば、このアドベントカレンダー主催の男庭伯耆守様の記事などがオススメだ(ダイマ)。重要なことをシンプルに説明しており、とっかかりとしてはかなり分かりやすい。良質な記事なのでぜひ目を通してほしい。私も初心者の頃はお世話になった(ダイマ)。
そういう、真面目な話は偉大な先人たちに任せるとして、僕はプレイングに絡まない観点で「負け」を分析したいと思う。
以下の項は自分の経験則からくる「負け」のパターンの列挙だ。一応は話をなるべく一般化して書いたつもりだ。皆様の益になる確証はないが、ポエムの一種として是非読んで頂きたい。
パターン1:連敗が込むと負ける
学習性無力感という言葉をご存じだろうか。
これは、長期にわたったストレス(たとえば、いじめや虐待等)に対して成り立つものだが、もっとミクロな世界でも同様のことが言えると僕は思っている。
例えばこういう経験はないだろうか、あるカードAがあるとする。そのカードAは心臓を鼻歌交じりに殺せるランでは光り輝く最高のカードに見えた。しかし、連敗が込み、Act1で彷徨っているときは、そのカードAはまるでその辺の雑魚カードと同様の鈍い灰色のカードに見えた。
同じカードAだというのに、あるときは最高に見え、ある時は雑魚カードに見えた。この違いは何かというと、そのときのプレイヤーの状況だ。連敗が込む=勝利という報酬が与えられないストレスフルば状況に人間は晒され過ぎると、「どうせ勝てないし」という投げやりな気持ちになりがちということだ。当然、投げやりな気持ちはそのままプレイの質に直結する。
上記の状態になると、元のパフォーマンスに戻ることはかなり難しい。「連敗はあくまで確率的に続いているだけであり、自身の連勝と本質的に変わらない」ということを俯瞰的に見れれば問題ないのだが、そういう正常な思考ができないこその「無力感」である。
というわけで、この場合は、寝てしまうのが手っ取り早い。寝る時間でなければ、休憩を置き、しばらく時間を別のことで潰そう。あるいは俺TUEEEEEEEE出来る他のゲームで自己肯定感を高めるのもいいかもしれない。
ゲームは仕事ではないのだ。そこにプレイを続けなくてはならない妥当性はない(貴方がプロゲーマーでもない限り)。ともかく、脳みそをリセットするか、脳みそに別の報酬を与えてみよう。「無力感」にあらがう効率的な術だ。
パターン2:勝った直後負ける
これは先ほどと逆のパターンで直近の成功体験が大き過ぎてもよくないよ。という話だ。経験則だが、これは長いラン、考え抜いたランの後にかなり起きやすい(氷の目とか)
何かというと、前のランで有効だったカード/キーカードがやたら輝いて見えてしまう現象だ。まごうことなき脳みそのバグである。
Slay the Spireは適材適所のゲームだ。Act1で有効なカードは必ずしもAct3で有効ではない。具体的には「お、【イカサマ】やん! このカード強いんだよなぁ! 取ったろ!」と言って、【毒の一刺し】をスルーし、負けたことがある。ちなみに【イカサマ】は前のランでかなり活躍したカードだった。
もしくは前のランで最強デッキが出来過ぎてしまい、余裕過ぎた場合も負けやすい。これも前の全能感が残ったまま、Act1に突っ込むので、舐めプして殺されてしまうということだ。これも脳みそのバグである。特にAct1は選択肢が少ない分、かなり繊細に立ち回らなければいけないのに、その逆の心持でいけば、それは殺されても文句は言えない。
これに関しては、具体策という具体策が思いつかない。1戦ごとに休憩取って、頭再起動しようね! という話に落ち着くのかもしれない。
パターン3:寝不足で負ける
ふざけてんのか! と言われそうな見出しだが、割とマジである。
人間の集中力、ないし作業能率は、睡眠に大幅に依存している。以下、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針 2014」より引用。
要約すると、人間は、
〇起床後 12~13 時間以内
〇自然に目が覚めるまでの十分な睡眠時間の恒常的な確保
の2つを満たさないといつもののパフォーマンスを出せないということだ。そして、質が悪いことに、これらは自覚が難しい。
もしかして、貴方が最近負けが込んでいるのはSlay the Spireで熱くなって、睡眠時間を犠牲にしているからではありませんか? それ負のスパイラルですよ。という話。
まとめ
釣りみたいなタイトルからとりとめのない話をしてしまった気がする。最近よく思うのだが、Slay the Spireが上手い人間って、1戦ごとに脳みそのリセットが出来る人間なのではないだろうか(無論、プレイングスキルが備わっていることは前提だが)。なんとなく思ってたことをアウトプット出来たのは収穫だった。
最後に、皆様よきstsライフを!