Popo

美術大学出身のキュレーターです。専門は現代アート、映画です。各ジャンルの詳細レビューを…

Popo

美術大学出身のキュレーターです。専門は現代アート、映画です。各ジャンルの詳細レビューを記事にしますので是非、ご連絡ください。

最近の記事

豚バラとエゴマのパスタ

昨夜、家族と楽しんだ家焼肉の残り物が冷蔵庫に残っていた。豚バラ肉とエゴマ、これをどう料理に変えるか考えながらキッチンに立った。余り物を使って何か新しいものを生み出す、これは私の料理の楽しみの一つだ。 豚バラ肉を細かく切り、フライパンでじっくりと炒める。脂がじんわりと溶け出し、香ばしい匂いが広がる。エゴマの葉も一緒に加え、さっと炒める。その香りはまさに日本の自然そのものを感じさせる。 ここでふと、酢を少し加えてみようと思った。豚バラの濃厚な脂とエゴマの風味を引き立てるために

    • 納豆

      納豆とは、これまで何百回とわが舌にのせたものなれど、その風味に飽きることなく、これからもまた何百回と食するであろう。朝餉に、夜食に、あるいは昼下がりの小腹を満たすために、いつも納豆は食卓にあり、ねばねばと糸を引きながら、我が箸の先でその存在感を誇示する。納豆を混ぜる度に漂う香り、プチプチとした食感、そして口の中に広がる濃厚な旨味と、溢れる滋味は、まさに自然が生み出した至福の賜物。だが、この行為が惰性なのか、それとも理性に基づくものなのか、その境界はあいまいである。 日本の食

      • 日本のロイヤリティマーケティングは腐っている

        購買ベースのロイヤリティは、顧客がブランドの製品やサービスを購入することに基づいて報酬を提供する制度で、顧客に対して、購入することで特典を得るインセンティブを提供し、その結果、ブランドへの忠誠心を高めることを目的としていますが、この制度にはいくつかの問題点があります。 まず、顧客の忠誠心を金銭的な報酬で評価することは、顧客とブランドとの関係を表面的なものにする可能性があり、顧客は、報酬を得るためだけに購入するかもしれず、ブランドへの真の愛情や忠誠心は育たないかもしれません。

        • 「嫌悪と愛の間で」

          彼は名もなき男であった。孤独な魂が都会の片隅に佇んでいた。彼の存在は目立たず、人々の喧騒に埋もれていた。しかし、彼が抱える秘められた心の中には、女性の匂いに対する異様な嫌悪感が渦巻いていた。 女性の匂いは彼にとって、腐敗したもののように感じられた。その香りが彼の鼻腔に広がると、彼は不快感を抱き、全身が痺れてしまうようだった。母性や柔らかさを思わせる匂いは、彼にとってはむしろ不気味で、心の奥底に深く刺さる棘となっていた。 彼は周囲の人々から離れ、小さなアトリエを築き、自分の世

        豚バラとエゴマのパスタ

          寂静の渇望

          第一章 伊豆半島の緑豊かな街角に、鈴木和彦とその妻、美穂が暮らしていた。和彦は地元の公立中学校で教鞭を振るい、美穂は家庭を切り盛りする平凡な主婦であった。スレンダーな体形と端正な顔立ちを持つ美穂は、何事にも動じない穏やかな雰囲気を纏っており、それでも自分が美しいとは決して思わず、日々の家事に勤しむささやかな生活を送っていた。海の香りと、四季折々の花の香りが混ざり合うこの町で、二人は静かで穏やかな生活を送っていた。 ある日、春の訪れを告げる桜の花が舞い散る頃、和彦の学生時代の

          寂静の渇望

          「彼方への道程」

          第一章 都市の夜景がゆっくりと電車の窓越しに流れていく。煌々と輝くビルの窓一つ一つは都市の鼓動のようで、それぞれが異なる物語を告げていた。その中に混じる一つの物語が、竹内一郎のものである。彼は一流企業の部長としての地位を築き上げ、自身の情熱と知恵を活かしていた。だがその光彩の背後には、自らが創り出す情熱と日々の生活との間に生まれた虚無感が広がっていた。 朝、まだ薄暗いホームで列車を待つ。太陽が昇り、一日が始まるとともに彼の会議も始まる。そして夜、オフィスの窓から煌めく都市の

          「彼方への道程」

          翳りの中の輝き その1

          ある朝、彼は食卓に座り、目の前に並べられた食事を見つめた。しかし、その食卓には何も言葉が存在しなかった。沈黙が広がり、二人の間には見えない壁が築かれているかのようだった。 佐藤太一の目に映る妻の姿は、かつての温かさや笑顔を欠いていた。彼女は無表情で食事を摂り、彼との視線を交わすこともなかった。時間が経つにつれ、二人の間には距離が広がり、心の繋がりは薄れていった。 彼は何度も口を開こうとしたが、言葉が詰まってしまう。何かを伝えようとするが、それはもはや届かない世界へと消えて

          翳りの中の輝き その1

          ジェダイと日本文化

          スターウォーズエピソード1と日本文化スターウォーズエピソード1と日本文化の関連性について考察すると、興味深い共通点が見られます。 まず、ジェダイの騎士たちの姿勢や修行は、日本の侍文化と類似しています。侍の道徳や剣術の修行における精神的な側面と、ジェダイの教えや力の使い方には共通点が見られます。 また、スターウォーズは古代の神話や伝説に触発された物語であり、日本の神話や伝説とも関連があります。両方の文化には、運命の道や英雄の旅、親子の絆などの共通のテーマが存在し、スターウォ

          ジェダイと日本文化

          考察ダースベイダー

          ダースベイダーとはダース・ベイダーは「スター・ウォーズ」シリーズのキャラクターで、元々はアナキン・スカイウォーカーというジェダイ騎士でしたが、ダークサイドに引き込まれて強力なシスの使徒となりました。彼は黒いマスクと鎧を身にまとい、暗黒面の力であるフォースを駆使して敵を打ち倒します。ダース・ベイダーは個人の葛藤や内面の闘争を象徴し、人間の欲望や堕落を描きながらも、最終的には赦しや救いのテーマを持つキャラクターとしても知られています。彼の存在は、権力の象徴、敵対する主人公に対する

          考察ダースベイダー

          カメラと印象派

          カメラの登場19世紀半ばにカメラが発明され、写真術が急速に発展しました。この時期に写真が芸術表現として注目を集めるようになりました。その中で、印象派は写真の登場によって写実的な描写に拘束されず、主観的な印象や感情を表現する自由な絵画スタイルを追求しました。 カメラの登場は、印象派の画家たちに新たな視覚的な視点をもたらしました。写真は瞬間のキャプチャや光の表現に優れており、印象派の画家たちはそれを学び、自身の絵画にも取り入れました。例えば、写真が光の効果やシャドウの表現を示す

          カメラと印象派

          スターウォーズエピソード1考察

          『スターウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』は、物語の始まりを描くシリーズの一作ですが、いくつかの興味深い考察が存在します。以下にいくつかの考察を紹介します。 ナブーと銀河の政治情勢: 映画はナブーの惑星で始まりますが、ナブーは銀河帝国の政治的な争いの舞台となります。ナブーは政治的に重要な位置にあり、銀河帝国の台頭に繋がる出来事が起こる場所として設定されています。 ジェダイとシスの対立: 映画では、ジェダイとシスの対立が描かれます。シスのダース・シディウスはトレー

          スターウォーズエピソード1考察

          映画【パラサイト:総論】

          【ストーリー】 最初から最後まで楽しめるエンターテインメントとして完成されている。 サスペンス、コメディ、ホラーの全ての要素を絶妙なバランスで構成されており、申し分の無いストーリーである。 しかも、そこには韓国の学歴社会、格差社会への痛烈なメッセージと皮肉が込められており、鑑賞後に何とも言えない余韻を観客に与える。 富裕層の鈍感、悪意の無い侮辱。貧困層の無計画、無気力。などあらゆる階層にメッセージを送っており、社会性も高い。 韓国映画の金字塔といっても過言ではない作品である。

          映画【パラサイト:総論】