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「リスカフェは冬の間ずっとお休みなんだものね」

リスくんは生まれてはじめて白鳥を目にした。

筆者撮影

絵になるような優雅な身のこなしにうっとりとしたリスくんは、見とれてしまい、口の中にため込んでいた木の実をこぼしてしまった。
お母さんリスに怒られないように、急いで帰らなきゃいけないんだった。そう思いながらリスくんは慌てて木の実をほおばる。

「騒がしいと思ったら、リスくんなのね。今年も帰ってきたわ、ごきげんよう。」と白鳥。続けて、

「せっかく私が冬に来るのに残念だわ。お母様の"森のリスカフェ"は、冬の間ずっとお休みなんだもの」。

リスくんはムカムカとした気持ちになったけれど、口いっぱいに冬眠の準備品が入っているので言い返せない。
「あらあら。冬眠の準備は大変だわね」と、白鳥は口を羽で隠しながらグワァーグワァーと笑う。

その笑い声がリスくんには、大手ディスカウントショップなどで売っている、腹を押すとギャーーと鳴く、細長くて黄色い鳥のおもちゃのように聞こえ、優雅な見た目の白鳥から出ていることが不思議だと思った。

リスくんは帰ることにした。心がズキンとしみるような痛さだ。
はるばる遠くから渡ってくる白鳥はすごい。リスは冬になったらひたすら寝て冬をしのぐだけなのだから。


筆者あとがき
他と比較してしまい、自分の個性が劣っていると感じたり、人より怠けていると肩身の狭い気持ちになることはよくありますよね。

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