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東村山ふるさと歴史館(1)


所在地:東京都東村山市諏訪町1−6−3
アクセス:東村山駅西口より徒歩8分
訪問日:2024年1月5日

道でつづる歴史

出典:東村山市webサイト

常設展『再発見 みちでつづる東村山の歴史』。

筆者撮影

原始時代、獣を追ってできた「けものみち」から道の歴史が始まります。

縄文時代は温暖な気候で、食べ物にも恵まれていました。東村山市地域でもたくさんの遺跡が見つかっています。
集落ができると、集落と集落を行き来する、生活の道ができ始めます。

ベンガラ漆塗り土器(1995年 下宅部遺跡より発掘) 
2020年 国の重要文化財に指定。

出典:ひばりタイムス


狭山丘陵に現在、漆の木はありません。
当時、管理栽培して樹液を採取していたことが考えられる、貴重な史料です。
縄文時代に漆採取の具体資料が発見されたのは全国で初めてだとか。

出典:漆樹液の採取 東村山市webサイト


7世紀半ばすぎ、律令制により、武蔵国府(現府中市)に国府が置かれると、中央(近畿)と地方を結ぶ、官道「東山道」ができます。
この時代の官道は、幅12mと決められており、邪魔なものはどかし、山があれば切り崩し、極力一直線に造られました。
すなわち高速道路のようなもの。
雨水を排水するのための溝(側溝)も造られていたようです。
官道を立派に整備することは、国家権力の誇示でもありました。

東村山市地域を南北に貫くこの道のおかげで、都の文化が入ってくるようになりました。

奈良時代の遺跡としては多摩湖町から出土した「瓦塔」があります。

筆者撮影

寺院の五重塔などを真似て焼いたもので、屋根や軸など部材ごとに作って、組み立てられています。
全国で400例ほどありますが、全体を知ることができる遺跡は珍しく、現物は東京国立博物館に所蔵され、ここで展示されているのはレプリカです。

文化財オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/443428


平安時代末期、世の中が乱れ始めると、全国各地に武士団が登場します。
東村山市域では「武蔵七党」の1つ「村山党」が成立しました。
なるほど、村山という市名はここから取ったんですね。
「村山党」は『平治物語』『源平盛衰記』『平家物語』の中にその名前を見ることができます。
なんでも金子家忠という人が保元・平治の乱で有名らしいです。
紆余曲折を経て、源頼朝と封建的主従関係を結ぶことになりました。


鎌倉幕府が成立すると「いざ鎌倉」のための、鎌倉へ続く軍事道路が整備されます。

旧鎌倉街道のMap

鎌倉街道は幅6m、両側もしくは片側に、2m程度の崖上の塁が造られました。馬に乗って進軍しても見えない高さだと推察されています。
「鎌倉街道」は3本あり、東村山市地域を通っていたのは「上ノ道」と呼ばれ、所沢を経由して、上野(群馬県)の高崎まで通じていました。
随所に宿(しゅく)駅が設けられ、当該域の「久米川宿」には日蓮聖人も泊まったことが、日蓮聖人自身の書状が遺っているのでわかっています。
鎌倉末期には、新田義貞率いる倒幕軍と幕軍との戦いが、久米川を戦地に起こりました。


出典:Wikipedia

鎌倉政権が崩壊すると、鎌倉街道は物資や人が流通する生活の道になりました。
すると、村と村を結んだり、山や丘に沿って曲がりくねったり、本来のルートから外れていきます。
現在「鎌倉街道」と称されているのは、そういった道が多く、かつての鎌倉街道は林の中にひっそりと隠れています。

出典:Wikipedia


1590年、徳川家康が江戸へ入ると、南北へ通っていた道が、東西へと拡張していきます。
青梅の石灰や薪炭を江戸へ運ぶ青梅街道が開かれ、人と物資が流通しました。
五街道が整備されたことと、人々の暮らしが豊かになったことで、お伊勢参りやお蔭参りが活発に行われるようになりました。

江戸時代には多数の道標が造られるようになります。
『百万遍惣回向仏石塔』 明和3年(1766年)

筆者撮影


馬頭観音が中央に、下部に「右西 山口通」「同北 川越通」「左東 江戸道」「同東 大山道」と刻まれています。
「百万遍念仏講」の人々によって、道行くの人の便宜と安全を祈って建てられました。

やがて流通は道路から鉄道へと移っていきます。


「ふるさと歴史館」では古文書を読む練習のためのワークシートを配布しているので、頂いてきました。
これから勉強します。

<参考資料>
東村山市HP
東村山市史編集委員会『東村山市史』1971年(昭和46年)
多賀譲治『知るほど楽しい鎌倉時代』理工図書2011年
文化財オンライン
ひばりタイムス
https://www.skylarktimes.com/?p=43029#google_vignette

旧鎌倉街道Map
https://takuo.main.jp/Cycling/070114/001.html

カバー写真:東村山市webサイト

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