読書記録 ある奴隷少女に起こった出来事 ハリエット・アン・ジェイコブズ
「天ら部」(映画「天使にラブソングを」の挿入歌のみを歌うグループ)の先生がやっているゴスペルの歴史を学ぶ講座で、黒人霊歌が使われている映画「ハリエット」を紹介された。
知らなかったけれど、アメリカではかなり有名な人らしい。奴隷解放と女性の権利のために闘った人で、初のアフリカ系アメリカ人として紙幣に描かれる女性のようだ。
ハリエットのことを検索していて、この本に出会った。
全く別人の書いた本だが、奴隷制度がどれほどひどいものかを教えてくれる自伝的小説。とても読みやすい。漫画にもなっているらしい。
内容があまりにセンセーショナルで、またこれだけ知的な文章が奴隷だった女性に書けるわけがないと、白人女性が書いたフィクションと思われていた。最近の研究で事実に基づく自伝的小説であることが明らかになり、ベストセラーになったという。
本当に重い。人が人として扱われないというのがどういうことかを突きつけられる。
ただ、それは遠い国の過去のことではなく、今も苦しみ脅え悪夢に悩まされている人がたくさんいる。
日本も女性の地位が法的に認められてから、80年足らず。表向きの差別はなくしていく方向でも、環境の中でもがき諦めてしまう子どもたちも多いという。
ギリギリの追い詰められた時、果たして何を選ぶのかを考えさせられる。
差別を制度として固定することが、どれほど人を残酷にするのかを自身の体験から伝えようとする本です。読んでよかった、知ることができてよかったと思える本です。