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ロングセラーの奇跡と出会う旅…「きかんしゃトーマス」作者ゆかりの地へ! 【ゆったりイギリス探訪記📷】
「汽車のえほん」日本刊行50周年を記念した連載記事。
今回は、トーマス担当編集者がめぐったイギリス「汽車のえほん」ゆかりの地ツアーをご紹介します!
作者の育った家や、晩年を過ごした教会など、ファン必見のディープなこのツアー。今回、編集担当として参加し、イギリスで生まれた作品が日本で愛され続けている…ロングセラー作品の奇跡を感じる旅となりました。
イギリスをゆったり旅する気分で、ご覧ください!
★前回の記事はこちら。「汽車のえほん」についてご紹介しています。
トーマスの原点を求めて
ポプラ社では、複数の編集者がトーマス関連書籍の編集を担当しており、どうすれば楽しいトーマスの本を届けられるのか、日々アイデアを出しあいながら企画の準備をしています。
そんなトーマスチームのメンバーの中には、幼い頃からトーマスが大好きだった編集者もいれば、担当になってからトーマスに深く接した編集者もいます。ちょうど1年前からトーマスの担当をしている私は、恥ずかしながら後者なのですが、担当になってから今日まで、トーマスの世界にふれる度に、唯一無二のその魅力に、どんどんはまっています。
そんな私が、トーマスの世界への愛と理解をさらに深めるため、今年5月末から1週間ほど、トーマスに携わる方々とともに、トーマスの原点をさぐるイギリスツアーに参加しました。
このツアーで目にしたトーマスの原点の景色を、たっぷりの写真とともに、みなさまにご紹介したいと思います。まずは、「汽車のえほん」の作者であるウィルバート・オードリーのゆかりの地へ出かけました。
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線路がすぐそばに! 作者がかつて過ごした家
最初にご紹介するのは、ローンハウス(Lorne House)です。
トーマスの生みの親であるウィルバート・オードリーは、6歳から17歳まで、イングランド南西部のウィルシャー州ボックスで過ごしました。
ウィルバート・オードリーがかつて暮らした家が、このローンハウスです。この地方で採れる黄色っぽい石灰岩を使った石造りの建物で、周辺にも同じ石を使った家が立ち並んでいます。ローンハウスは、現在B&Bとして利用されています。
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「汽車のえほん」と記念撮影。
ローンハウスの2階にある、かつてウィルバート・オードリーが使用していた部屋がこちら。(内装はリフォームされています)
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1階には、ウィルバート・オードリーにまつわる資料が展示されています。
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ウィルバート・オードリーのサインも。
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なんとも言えない表情がかわいい。
ローンハウスのすぐ近くには、グレート・ウェスタン鉄道の線路が通っています。グレート・ウェスタン鉄道といえば、汽車のえほん第11巻『ちびっこ機関車パーシー』にも、ダックがかつて所属していた鉄道(えほんでは「大西部鉄道」と翻訳)として登場しています。
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ローンハウスから道をはさんだ反対側には、ボックストンネルという全長約3kmの大きなトンネルの出入り口があります。
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この線路は西から東に向かって上り坂になっており、機関車や補助機関車が坂のぼる蒸気やエンジンの音を毎日聞いていたことが、「汽車のえほん」のアイデアにつながったと言われています。
晩年を過ごした教会
続いては、ウィルバート・オードリーが晩年を過ごしたロッドバラ教会(Rodborough church)です。
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ウィルバート・オードリーは「汽車のえほん」を執筆した作家ですが、作家である前に聖職者でもありました。「汽車のえほん」を出版したのは1945年ですが、それよりも前の1936年から教会の牧師をつとめていました。
ちなみに、汽車のえほん第22巻『小さな機関車たち』に登場する、牧師であり「本を書くひと」でもある 「ほっそり牧師」は、ウィルバート・オードリー本人です。
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ソドー島に機関車の見学に来ており、首からカメラをさげています。
長年つとめた牧師を引退したウィルバート・オードリーは、1966年にイングランド南西部グロスターシャー州ストラウドに引っ越します。当時55歳のウィルバート・オードリーは、牧師を引退してはいたものの、ストラウドにあるロッドバラ教会の牧師が休みの際に代理の牧師をつとめることもあったそうです。そしてストラウドに建てた新居に「ソドー」と名前をつけました。トーマスの舞台、ソドー島と同じ名前です。
ウィルバート・オードリーは、以降1997年に亡くなるまでこの地で過ごしまし、今は妻のマーガレットとともにロッドバラ教会のお墓に眠っています。
教会の内部は、厳かでありながらどこか親しみのある空間で、アットホームな雰囲気でした。現在のロッドバラ教会の牧師でいらっしゃるピーターさんが、とても温かく迎えて下さいました。
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ウィルバート・オードリーの死後に制作された教会内のステンドグラスには、トーマスが描かれているのですが、どこにいるかわかるでしょうか?
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教会の塔にも特別に登らせていただきました。塔の屋上からは、ストラウドの街が一望できました。
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ウィルバート・オードリーが生きた場所をめぐり、ごく一部だけでも彼の足跡をたどることで、今や広く大きなものとなったトーマスの世界が、ひとりの人間の日常の中から生まれた物語であったことを実感しました。
そして、イギリスの地で生まれた物語が海をこえて日本まで届き、今なお愛されていることは、物語の魅力からすれば必然だったのかもしれませんが、様々な偶然の積み重ねやつながりの先にある奇跡なのだとも感じました。
そのつながりの中で、「きかんしゃトーマス」の原点である「汽車のえほん」を出版していることの喜びと責任を改めて感じ、身が引き締まる思いでした!
オードリー夫妻にもお墓に手を合わせ、トーマスの世界を生み出してくださったことへの感謝と、これからもたくさんの日本の子どもたちへ、この素晴らしい物語を届けていく覚悟をお伝えし、より一層気合いが入るイギリス旅~ウィルバート・オードリーゆかりの地編~でした。
次回は、12月29日(金)に、ウィルバート・オードリーが愛した鉄道編をお届けする予定です! 楽しみにお待ちください!
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シリーズのはじまり…第1巻『3だいの機関車』
新刊🌟第27巻『ほんとうにやくにたつ機関車』
新刊🌟『新・汽車のえほんSPECIAL BOX』