死ぬってどういうこと?切なくも心安らぐラストに感動する美しい絵本「死んだかいぞく」
11月1日、2日はメキシコの死者の日です。
この時期、メキシコでは、先祖や死者を迎えるためにお墓を飾り立てます。ちょうど日本のお盆のような風習でしょうか。
ガイコツにおどろおどろしいイメージしか持っていなかった私は、大学時代に訪れたメキシコで、カラフルな民族衣装を着たユーモラスなガイコツを見たとき、「なにこれ、たのしい」と思った記憶があります。
さて今日は、ガイコツにちなんで、真っ黒な背景に真っ白なガイコツの表紙が印象的な絵本をご紹介します。「死んだかいぞく」(作・絵 下田昌克)
その名の通り、海賊が死んで海に沈んでいくところからお話は始まります。
段々と深い青に変わってゆく海に沈みながら、海賊はさまざまな生き物に出会います。
そして、帽子や服、さらには髪の毛や目玉まで取られ、最後には骨のみのガイコツになっていくのです。
海賊はかんがえます。
「じまんの ぼうしも 歯も つめも 目ん玉も 髪の毛も なくなったけれど、どうも おれさまは ほんとうに 死んでしまったようだから、もう なんにも いらないか」
「欲の象徴」のような、きらびやかな衣装に身をまとった海賊が、生き物たちと交差し、いのちを分け合い、最後は骨となって海に底にたどりつく姿は、切なさのなかにも、ユーモアや明るさを感じられ、なぜかとても心地よく、見るものの死生観をゆさぶります。
「このまま ここで うみを ながめながら すごすのも いいかもしれないな。おれさまは もう 死んだんだし」
暗い海の底で、ガイコツとなった海賊がキラキラと輝く姿は、ぜひ絵本でご覧ください。
(文・小堺加奈子)
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