汽車に乗って絵本の世界へ! 夢のトーマス号に乗車してみたら…【写真たっぷり📷イギリス探訪記】
「汽車のえほん」日本刊行50周年を記念した連載記事。
前回は、「きかんしゃトーマス」の原点の景色として、トーマス編集担当がイギリスでめぐったウィルバート・オードリーゆかりの地をご紹介しました。
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イギリス探訪記、2本目となる今回は、イギリスの保存鉄道をご紹介します。「汽車のえほん」に登場する汽車と出会ったり、トーマス号に実際に乗車したりして、「きかんしゃトーマス」の世界を五感で感じる体験となりました。
そもそも保存鉄道とは?
「汽車のえほん」の作者であるウィルバート・オードリーは、大変な鉄道愛好家であったことは、連載1回目の記事でもご紹介しました。
そんなウィルバート・オードリーが熱心に参加したのが、保存鉄道でのボランティア活動です。
保存鉄道という言葉を、初めてきいたという方もいらっしゃるのではないでしょうか? 保存鉄道とは、一般的な営業が終了して廃止となった路線を、ボランティアを中心とした有志が継承したり復活させたりして運行している路線のことです。寄付などの金銭的な援助だけでなく、運転や整備など、運営に関わる業務も基本的にはボランティアが行います。
イギリスでは、1960年代にイギリス国鉄によってたくさんのローカル線が廃線になったこともあり、たくさんの保存鉄道があります。
「汽車のえほん」にも登場する保存鉄道たち
ウィルバート・オードリーは、ディーゼル機関車などの台頭によって消えゆく蒸気機関車をなんとか守りたいと、保存鉄道の活動に参加しました。
その中のひとつが、世界初の保存鉄道と言われているタリスリン鉄道です。この保存鉄道でボランティアをしていただけでなく、「汽車のえほん」第10巻『4だいの小さな機関車』にタリスリン鉄道をモデルにしたスカーロイ鉄道を登場させ、本の最後には
とも書いています。さらに、第14巻『小さなふるい機関車』と第20巻『100さいの機関車』にはスカーロイ鉄道のスカーロイのふたごの機関車として、タリスリン鉄道のタリスリンを登場させました。
ウィルバート・オードリーは、その他にも実際にある保存鉄道を舞台にしたお話を書いています。それが、ブルーベル鉄道を舞台にした第18巻『がんばりやの機関車』です。
ブルーベル鉄道でステップニーと対面!
汽車のえほん第18巻『がんばりやの機関車』には、ステップニーという機関車が登場します。
ステップニーは、働いていた路線で仕事がなく雨ざらしになり、いよいよスクラップされる寸前にブルーベル鉄道に買い取られ、再び機関車として働けるようになりました。ブルーベル鉄道は、他にもスクラップされそうになっていた蒸気機関車を買い取っており、作中でパーシーはブルーベル鉄道を
と言っています。
実は、このブルーベル鉄道と、ステップニーはどちらも実在するのです。
今回私は、このブルーベル鉄道に乗車し、ステップニーと対面してきました! ブルーベル鉄道は、イギリス南部のサセックス地方にある保存鉄道です。イーストグリンステッド駅からシェフィールドパーク駅まで、約50分間乗車しました。
ステップニーは現在整備中とのことで、今回乗車した機関車はこちらです。
いよいよ出発です。
車窓からは、羊や牛をたくさん見ることができました。
途中、キングスコット駅にも停車し、シェフィールドパーク駅に到着です。
ステップニーは、この建物の中に他の数台の機関車とともに展示されています。
緊張しながら建物の中に入ると、入ってすぐにステップニーがいました!
なんと、「汽車のえほん」のステップニーの顔がついていました。ここぞとばかりに、持参していた『がんばりやの機関車』と記念撮影。
シェフィールドパーク駅には、ステップニーがいるこの建物の他にも、お土産屋さんやレストランなど、様々な施設があります。
その中のひとつ、ブルーベル鉄道博物館ではブルーベル鉄道の歴史を知ることができ、トーマスに関する展示もありました。
信号扱所も見学することができ、ガイドさんの案内の元、レバーを下ろす体験をすることができました。
さまざまな施設を見学し、保存鉄道として数々の蒸気機関車を買い取って保存しているだけでなく、蒸気機関車の歴史や仕組みについて周知することにも力を入れていることがわかりました。ブルーベル鉄道に携わる人たちの愛を感じるとともに、たくさんの人に蒸気機関車を愛してほしいという思いが伝わりました。
トーマスに乗車できる夢のイベント!Day out with Thomas
今回の旅では、もうひとつ保存鉄道に乗車しました。しかも、そこではトーマスに乗車したのです! まさにトーマスファンの夢ではないでしょうか。
訪れたのは、イギリス南部のアルトン駅とアレスフォード駅間を走るミッドハンツ鉄道です。トーマスに乗車できるイベントDay out with Thomasはロプレイ駅からの折り返し運転のため、今回はロプレイ駅から乗車しました。
乗車前に駅構内(といってもとても広いです)を散策していると、遠くにパーシーを発見!
トーマス号に乗り遅れないように、急いでパーシーの元へ走りました。無事に写真を撮ることができ、ひとあんしんです。
いよいよ今回乗車するトーマス号がやってきました。
客室に乗り込み、いざ出発です。
窓から、どこまでも続くような広い緑を眺めていると、あっという間にロプレイ駅に戻ってきました。
帰ってきたロプレイ駅で、「汽車のえほん」第4巻『がんばれ機関車トーマス』の表紙を彷彿とさせる、給水塔とトーマスの写真を撮ることができました。
その後、ミッドハンツ鉄道の終点であるアレスフォード駅にも立ち寄り、今回の保存鉄道見学は終了しました。
本当にあるトーマスの世界
今回、保存鉄道に実際に乗車して感じたことは「トーマスの世界って本当にあるんだ…」ということでした。実際の機関車をモデルにしたお話があることも知っていましたし、ソドー島はイギリスにある架空の島であるという設定ももちろん知っていましたが、今回の旅では「きかんしゃトーマス」の世界に実感をもつことができました。
まず、蒸気機関車に乗ること自体が初めてだったので、蒸気機関車の音やにおい、煙の迫力を五感で感じることができ、自分の中で、トーマスたちの走る姿や働く姿がぐっと立体的になりました。
そして車窓から見たイギリスの自然も、「きかんしゃトーマス」の世界をリアルに感じさせてくれました。
私は今まで、トーマスたちが暮らすソドー島の、緑が多く広々としていて、羊や牛が身近にいる景色をなかなかリアルに想像できずにいました。山がちな日本と、高い山のないイギリス(イギリス全体の最高峰が1,344mで、イングランドに限ると1,000mを超える山はありません)の違いも大きいかもしれません。
今回目にした、まっすぐに伸びる線路や、どこまでも続きそうなほど開けた緑、そこでのびのび過ごす羊たちは、「きかんしゃトーマス」の世界で見た景色そのもののようでした。
この景色を見て、この場所の空気を知ってから「汽車のえほん」を読むと、より機関車たちを身近に感じて新鮮に楽しむことができました。この記事を読んでくださっているみなさんにも、少しでも私がイギリスで目にし、感じたものをお伝えできていれば嬉しいです。
そして、改めて「汽車のえほん」を読んでみてもらえたらと思います。
この記事でイギリス探訪記は終わりとなります。今回のイギリス旅で感じた「きかんしゃトーマス」の世界を忘れずに、これからもトーマスチーム一同、楽しいトーマスの本をお届けしてまいります!
連載最終回となる次回は、汽車のえほん日本刊行50周年を記念して、今まで日本で未翻訳であった「汽車のえほん」第27巻『ほんとうにやくにたつ機関車』の制作秘話をお届けする予定ですので、どうぞお楽しみに!
★「汽車のえほん」詳細はこちら!
シリーズのはじまり…第1巻『3だいの機関車』
第4巻『がんばれ機関車トーマス』
第18巻『がんばりやの機関車』
新刊🌟第27巻『ほんとうにやくにたつ機関車』
新刊🌟『新・汽車のえほんSPECIAL BOX』