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リモートワークだと従業員のロイヤリティが下がる?まだ多くの経営者が抱いている「テレワークについての3つの迷信」|世界の最新テレワークニュース

テレワークに関する日本であまり知られていない世界中の最新ニュースについて、その要点&考察をお届けする「世界の最新テレワークニュース」。今回は、FORTUNE(英語版)による「テレワークについての3つの迷信」という記事について、その要点と今すぐできる施策を解説します。(元記事は英語サイトですが興味深い内容の記事です。ぜひご覧ください)


※今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひご覧ください!


●従業員目線で経営者に向けて警鐘を鳴らす調査結果

今回の記事はCatalystという会社が行った調査に基づいて書かれています。このCatalyst社は、かねがね現代のメインストリーム(=主流派)に対して「もっとインクルーシブな多様性のある社会をつくっていきましょう」という方向性を強く打ち出してきた会社です。

調査対象は全世界の約7,500人の「従業員」です。経営者と従業員とでは当然視点が違ってきますが、今回は従業員目線のリサーチ結果から経営者に向けて警鐘を鳴らしているという内容のレポートになります。

テレワークについての3つの迷信

■迷信1. コラボレーションとイノベーションは直接会って行う方が良い
・オフィスの方がチームワーク/創造性を高めるというファクトはない
・ワーカー視点では、リモートワークを取り入れた方が生産性や革新性が高いと報告(Catalyst)
・成功例:Gitlab(リモートファースト、目標・目的・業務プロセスの明確化→共通理解と帰属意識)

■迷信2. リモートワーカーは仕事へのコミットメントが低い
・リモートワークの選択肢がある場合、従業員は組織に対してより積極的にコミット&1年間の退職意向も低い(Catalyst)

■迷信その3:リモートワークは企業文化に悪影響を与える
・オフィス中心文化のネガ側面:女性、特に有色人種の女性が同調圧力に直面

迷信1. コラボレーションとイノベーションは直接会って行う方が良い

迷信の1つ目は「コラボレーションやイノベーションは直接オフィスで会って行う方が良い」というものです。

このように考えている人は多いと思います。実際に、ひと昔前にYahooが1回全面リモートワーク化しようとしたものの、途中で止めてオフィスワーク形態に戻してしまったという事例がありました。そういった事例を見て「やっぱりリモートワークだと、しっかりと議論したり、アイデアを出し合うのは難しいんじゃないか」と感じてしまった方も多いのではないかと思います。

私の著書にも以前そういった事例があったことに触れていますが、今回の調査ではこういった発想は迷信であると述べられています。「オフィスの方がテレワークよりもチームワークや創造性を高めるというファクトはない」と言うのです。

今回の調査では、むしろ従業員視点では「リモートワークを採り入れた方が生産性や革新性、イノベーションの気質が高まっている」という結果が紹介されています。

ここでは会社単位での成功例としてGitlabという会社が紹介されています。Gitlabは、いわゆるプログラムの管理ツールのサービスを提供する企業です。このGitlabとGithubがこの分野で世界を代表する2大企業になります。

ここではGitlabの成功事例として目標、目的、業務プロセスをしっかり明確化し、それによって共通理解と帰属意識が高まるような意識を取れば、リモートワーク化しても全然問題なくコラボレーションもイノベーションもできるということが紹介されています。

実際にGitlabは時代の先を行くエンジニア業界の中でも、最先端中の最先端といえる企業です。そういった企業でも、明確に「オフィスでないとコラボレーションやイノベーションができないというファクトはない」こと。そしてその事実を踏まえると、印象を基にテレワークでコラボレーションやイノベーションを行うのは難しいと結論づけてしまうのは、非常にもったいないと思います。

●迷信2. リモートワーカーは仕事へのコミットメントが低い

2つ目の迷信は「リモートワーカーは仕事へのコミットメントが低い」ということです。

例えば、出社してる人とリモートワークしてる人がいる場合、なんとなく「出社している人の方がやる気があるように見えるんじゃないか」と思う方も多いと思います。 こういったケースを「なんとなく出社」と呼んだりします。ちょうど本日(2012年8月24日)の日本の記事では「菅首相が「なんとなく出社」に対して警鐘を鳴らした」といったことが書かれていましたが、実際にリモートワークはコミットメントが低いという懸念を抱いてる方も多いのではないかと思います。

しかしこの記事の調査では、「リモートワークでは、従業員は組織に対してより積極的にコミットしている」かつ「リモートワーカーは、直近1年間での退職意向も低い」という結果が出ています。

実際に、私が様々な方と話をした際にも「リモートワークになっていなければ、直接的な人間関係や様々なプレッシャーや圧力で会社を辞めていたと思う。でもリモートワークが緩衝材となって辞めずに済んだ。しかもモチベーションも以前より上がっていて、仕事をますます頑張ろうと思っている」といったことを言っている方が数多くいました。

業種や職種、個々人の資質や業務内容にも依ると思いますが、一概に世間的に印象を持たれているような、リモートワークはコミットメントが低いとか、出社するとコミットメントが高いとは言えないと思います。実際に今回の調査では、その反対の大いにポジティブな結果が出ていたのです。

迷信その3:リモートワークは企業文化に悪影響を与える

3つ目の迷信は「リモートワークは企業文化に悪影響を与える」というものです。これもよく抱かれている印象だと思います。

先日ある上場企業の社長と話している時にも、「やっぱり全部リモート化するのは厳しいよね」と仰っていました。「会社の社風などをきちんと維持しようと思うと、やはりオフィスの中でそれを伝えて継承していかないと薄まってしまうのではないか」と懸念されていました。しかし、今回の調査ではこういったことも「迷信」であるという結果が出ています。

今回の記事では、むしろ実はオフィス中心文化は、企業文化に対して悪影響を与えている面もあると書かれています。例えば主流派でない方々にとっては、 オフィスには明文化されない居心地悪さや要素があり、参画意識やモチベーションを下げたり仕事がしづらいというケースがあると紹介されています。

主流派以外の人にとって、職場において同調圧力が発生した時に、やりにくさを感じてしまう可能性は多いにあり得る。逆にリモートワークでしっかり企業文化を明文化し、同調圧力ではなく言語とロジックでしっかり文化を継承していく方向にすると、少数派社員も受け入れやすくなるし、仕事がしやすくなる面もあると。

今後の社会としてはしっかりとダイバーシティ(=多様性)を意識して、色々な人が働きやすいような会社にして行くという方向性は、どの企業も賛成できる内容だと思います。今回の調査結果を基に、リモートワークでよく誤解されている面が事実でないことを認識しつつ、むしろポジティブ側面を有効活用することで、会社や個々の従業員、そして社会全体にも大きなプラスをもたらす可能性が高いということが言えると思います。



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