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リモート前提の世界で3つのベンチャー(=中小企業)がどのようにカルチャーを構築に成功したのか|世界の最新テレワークニュース
テレワークに関する日本であまり知られていない世界中の最新ニュースについて要点&考察をお届けする「世界の最新テレワークニュース」。今回は、本日先ほどニューヨーク・タイムズにてリリースされていた「リモート前提の世界で3つのベンチャー(=中小企業)がどのようにカルチャーの構築に成功したのか」という記事を受けて、要点と今すぐできる対策を解説します。(元記事は英文表記ですが、とても興味深い内容の記事です。ぜひご覧ください)
※今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひご覧ください!
●成功事例1:特徴ビンゴ電話【Siete社】
今回の記事では、急成長を果たしているベンチャー3社(Siete社、Cortex社、Skydio社)の計6つの事例が紹介され、3社がどういった手法で自社カルチャーの構築に成功していったかという事が書かれています。本文は非常に長い内容ですので、ここでは皆さんに参考になりそうな内容を、施策ベースでピックアップして共有したいと思います。
まず成功事例の1つ目は「特徴ビンゴ電話」(Siete社)です。新入社員が入社した際に、既存の社員がどういう人たちか分からないという課題に直面しますよね。特にリモートワークだとお互いを知り合う機会は非常に少なくなります。その課題に対して、Siete社では入社時にビンゴカードを渡すそうです。ビンゴカードの中には、社員の内の誰かの才能やエピソードなどの「特徴」がマス目に書かれています。新入社員は既存社員に片っ端から電話やオンライン会話をしていって、カードに書かれているエピソードを持っている社員に当たるまでひたすら聞きまくるということを行い、どんどん掘り当てていってビンゴになるまでしていくそうです。
私の動画とかでも自己トリセツ(=取扱説明書)であったりとか、お互いを理解することを言語化したりとか、伝える工夫の重要性を紹介していますが、リモートでは新入社員と既存社員が知り合う機会がほとんど無くなってしまいます。
そんな時に、Siete社の特徴ビンゴ電話のような手法もゲームっぽくすることによって、楽しみながらお互いを理解していくことを可能にするので、非常に有益な取り組みだと思います。自己トリセツも非常に有効な手法ですので、ぜひ以下をご参照ください!
●成功事例2:ZOOMワークアウト【Siete社】
成功事例の2つ目は「ZOOMワークアウト」(Siete社)です。ダンベルなどの運動するツールやアイテムを皆で購入した上で、ZOOMでみんなで揃ってワークアウトをするという取り組みです。こうすることによって、スポーツチームのような形で非常に一体感が出るそうです。 先日、日本のとあるベンチャー企業の方から話を聞いた際に、ラジオ体操を昼時間に皆でやると仰っていました。こういう共通体験、特にスポーツ的な体験をオンラインで行うことによって、チームスポーツで一丸となるような一体感が出るので大変効果的ですね。
●成功事例3:24時間体制でのSlackのQ&A【Cortex社】
成功事例の3つ目は「24時間体制でのSlackのQ&A」(Cortex社)です。Cortex社は看護師の会社で、コロナの影響もあって人員が急増したらしいんですよね。新人もどんどん入ってくる中において、リモート前提だと、新人の方としてもなかなか質問しづらいし、会社としても質問を受けづらいという課題に直面していたそうです。
そういった「分からないことをすぐに聞けない」という課題に対して、24時間体制でSlackチャンネルのスタッフを配置し、質問に対して24時間常時すぐに対応できる体制にしているそうです。
これはある程度の規模の組織であれば、同じスキームがとても有益ではないでしょうか。リモートワークの不安要素の1つに、知りたい時に聞けない、聞いても回答がいつ返ってくるかわからない、ということがあると思います。
オペレーターがいつでも不明点に答えてくれるというのは、従業員とか働くメンバーからすれば、心から安心して仕事ができるようになります。結果として企業にとっても非常に大きなメリットがもたらされることは言うまでありません。
●成功事例4:アンケートシステムやコミュニティ管理ツール【Cortex社】
成功事例の4つ目は「アンケートシステムやコミュニティ管理ツール」(Cortex社)です。チームメンバーが今、何をしてるかということを、できるだけリアルタイムで把握するためのアンケートシステムやコミュニティ管理ツールを完備しているそうです。
人によっては、自発的に自分の方から言っていける人と聞かれてはじめて答える人がいますよね。おそらく後者のタイプの方が多いんじゃないかと思います。こういった場面に、各自の状況を把握できるスキームがあると非常に有益です。
私が経営していた会社では、毎週「ギャップアンケート」というのを行っていました。「自分の理想とする働き方と今の働き方にはギャップがありますか?」 こういった質問の仕方をすることにより、各々の理想を吸収しながら同時に現状を確認していました。メンバーからすると、聞いてくれる時点で自分からも希望を言っても良いんだと思えて安心感を感じられます。さらにその後に会社側がきちんとメンバーの希望に応えて対応していくことによって、従業員と会社、メンバーと上司の信頼関係が生まれてくるという非常に良い形を実現することができていました。
●成功事例5:新入社員との会話の機会をルール化【Skydio社】
成功事例の5つ目は「新入社員との会話の機会をルール化する」(Skydio社)です。新入社員が入ってきたら、既存社員との会話の機会を必ずつくると。元々は新入社員が入ってきたら、オフィスでランダムに出会って話していたけれども、今では新入社員が来たら、話す機会をスケジューリングしているそうです。
私が経営していた会社では「相互1on1」という形で、新入社員が入社したら、当時社員が50人位いたのですが、この全員に、1人30分×50人と1on1をするというルール化をしていました。毎週4〜5人行って数ヶ月位かけて行うイメージでした。少し大変な取り組みではあったんですけど、やはりこういうルールを入社時に入れておくと、リモート環境でもチームコミュニケーションを成立できます。
リモート環境では意識的に会話の機会を作らないと、人間関係を作れません。基本的にチャットツールなどでのコミュニケーションになるので、社員同士が知り合う機会がないのです。ですので、会社が意図的にルールを作っていかないと、会社でも直上司以外は誰も知らないということにもなってしまいます。
逆に、そういう機会をルールとして作れば、新入社員からすれば自分のコミュニケーション能力、主体性で人間関係を作るよりも楽だし、全員と均等に話ができるので仲良くなりやすいというメリットがある訳です。
●成功事例6:自主性の尊重【Skydio社】
成功事例の6つ目は「自主性を尊重する」(Skydio社)です。この会社はドローンを作っている企業です。もともとはオフィスに来なくてはいけないという前提だったらしいのですが、今はエンジニアが部品を受け取って自分のパート分を作ったら、今度は次の担当者に自分で車で持って行くということも可にして、さらにはそのスキームを管理するシステムを作ったそうです。
アメリカのエンジニアの方々は、自宅にラボをもってて、普段からそこで好きなものを作っているらしいのです。 そういう環境があるのに、わざわざ出社しなくても良いのではないかということに気づき、それぞれの場所で作った上で、次の担当者の所に自分で運んでいくといった体制を構築したそうです。
この会社も非常に急成長に成功してとても大きな規模になっています。 そういう規模感があっても、上手な取り組みをすることによって円滑な関係性が構築できている訳です。
私達も、自社のワークフローの中で必ず会社に出社しなくてはいけないのか、それともプロセスの改善によりリモートでも充分成り立つのかということをよく検討し、仕組みで解決していくということは一考の余地があるのではないでしょうか。
以上、いかがでしたでしょうか?今回の記事は、どちらかというと体制側、企業側の成功事例でしたので、個々の皆さんには直接関係ないように思われるかも知れませんが、個々のメンバーの皆さんや小規模チームにおいても、考え方や仕組み作りの面で参考にできる部分が多々あったのではないかと思います。ぜひ皆様の日々の業務に少しでも参考にして頂ければ幸いです。
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