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テレワークで「つながり弱い同僚」との会話は激減、しかしそれが不安をもたらす|世界の最新テレワークニュース
今回からお届けする「世界の最新テレワークニュース」シリーズ。このシリーズでは、私自身がテレワークやリモートワークに関する世界中のニュースを読んだ上で面白かったニュースに関して、面白かったポイントと、そのポイントに対してどんなことがあり得るかとか、それを受けてどのような対策が必要なのか、みたいな自分の考察を付け加えていくということをどんどんお伝えしていこうと思います。
今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひ御覧ください。
テレワークでは「つながりが弱い同僚」との会話が激減している
今回取り上げるのは、2021年8月20日8時ぐらいに「ITmedia」で公開されていた以下のNTTさんの調査です。テレワークでは、「つながりが弱い同僚」との会話は激減、しかしそれが不安をもたらしているんじゃないかという内容です。とても面白い内容だったので紹介したいと思います。(ぜひ元記事もご覧ください!)
内容としては、NTTサービスエボリューション研究所さんがやっているところで、調査の内容としては、定量調査ではなくて、いくつかの日本のIT企業の社員20名ぐらいに対して、経験を聞いたりとか、インタビューなどのアンケートを加えたものなので、ちょっと数としては少ないんですけれども、結構示唆に富んだ内容だったのでご紹介します。
1点目。 まず非常に面白いのが、つながりが弱い同僚と強い同僚と分けて着目していることです。
左が「強い紐帯」で右が「弱い紐帯」です。紐帯とはつながりのことですね。 この繋がりに対して、「テレワーク実施前と実施後でどのぐらいコミュニケーションがありましたか?」という調査結果です。
ポイントは、つながりが強い同僚とは、多少変化があったとはいえ、全く無いという割合はそんなになく、何らかの方法でコミュニケーションは取っている、というところに対して、弱い紐帯、あまり繋がりがない同僚とのつながりというのは、テレワーク前は「全くコミュニケーションがない」というところは1割ぐらいしかなかったのが、5割もコミュニケーションが全くなくなってしまっているという結果が出ています。
これも当たり前の話して、やはりテレワークは基本的に“意図的”にコミュニケーションを取らないとコミュニケーションが取れないですよね。
オフィスだったら出社して、ちょっと「こんにちは」と挨拶するとか、タバコ吸いながら話すとか、そんなことができたんですけれども、リモートワークにおいては何かしらコミュニケーション取ろうとすると、わざわざつながったりとか、意図的にコミュニケーションの機会を作っていかなければいけないので、つながりが弱い人とそういうことをする必要があるので、すごいハードルがあるんですよね。ということから、「めちゃくちゃ減っちゃっている」というのが結果に明快に出ていました。
ツールは何が使われているか
これも近しいところなんですけれども、「繋がりが強い同僚と弱い同僚で、どういうツールでコミュニケーションとってますか?」というアンケートです。やはり「繋がりがあれば、ビデオ会議も気楽にできるが、つながりが弱いとビデオ会議とかしづらいですよね。」といった結果になっていますね。結果、E-mailなどで他人行儀にコミュニケーションするという感じになってしまっていると。さらにその結果コミュニケーションを取りづらいといったことになっているかなと思います。 そしてその結果として、孤独感とか不安感というのが、在宅勤務の後に強まっているという話でした。
そしてこれらを受けて、つながりが弱い同僚が在宅勤務時にメンタルヘルスを維持するのは非常に重要なのではないかと書かれています。
私はこれは凄い重要な話だと思っています。私も会社運営でめちゃくちゃ気をつけたのですが、要するに元々濃い関係がある人がリモートワークになっても、大して問題にならないんですよ。そもそも信頼関係も構築されているので、コミュニケーションの方法がリアルからリモートに変わっただけであって別に問題は起こらないと。
ところがリモートスタートで新たな人間関係を作っていくのは難しいんですよね。雑談しようと思っても、雑談のネタもないし、わざわざその知らない人に「オンライン会議しましょう」とも言えないですよね。よほど仕事のつながりがないと。
結果的に業務だけだと、コミュニケーション相手は上司や直上司だけとか、一緒にやっている少数のメンバーだけみたいな感じで、緩やかに一緒にやっているチームや部署とか広がりというところに全く目が向かなくなってしまうんですよね。
私はこれがリモートにおける大きな問題で、うまくいってない人が多いかなと思っていました。そして、これまでそれを解消するための取組みを、本を出版したりとか、動画で出したり、noteで書いたりといろんな形でお伝えしてきましたので、今回の記事を読んで、「まさにそうなんだ」「改めてすごく重要だな」と思いました。
意識と取り組みを変えれば改善できる!
このニュース記事では、繋がりが弱い同僚とのコミュニケーションを支援する「ツール設計」の必要性という話がありました。しかし、私はツールがなくても意識を変え、取り組みを変えたら改善できると考えています。
私はこれまでもnoteでも書いてきたのですが、繋がりが弱い人とリモートでコミュニケーションをとるには、チームのマネージャーとか会社がある程度仕組みを用意して、個々人の自由のコミュニケーションではなく、チームの仕組みとしてコミュニケーションできるようにしたら良いと考えています。
例えば、1個の方法としては「自己トリセツ」を作ってもらうと。
自己トリセツ=自分の取扱説明書ですね。自分の取扱説明書をチームのメンバー各自にそれぞれで作ってもらって、これを回覧しておくと、回覧してない状況よりも、ちょっとした雑談とか、「あなたこういうとこに興味があるんですね」みたいなことが言いやすいので、コミュニケーションを取りやすくなります。
また、毎日「朝会」をチーム単位で行うと思うんですけど、朝会において、単に業務連絡とかだけではなくて、ちゃんと顔をつないだ上で、「雑談の時間を入れる」と。
私の会社やチームがやっていたのは、「グッドアンドニュー」という取り組みで、10人ぐらいで朝会やっている時に、1人1人1分ぐらいで昨日あった良い事や新しい事を共有する。何かあったらそこに他の人が突っ込む、みたいなことをやってました。
もちろんすぐにめちゃくちゃインタラクティブにはならないんですけど、こういう雑談の場があるだけでも、あまり繋がりがない人が「ちょっとこの人面白いな」とか「趣味合いそうだな」と思うといった効果を確実に上げていました。
分報や自分チャンネルの活用
また別軸で「分報」とか「自分チャンネル」と言っているんですけど、「社内Twitter」みたいな形で、日々の仕事状況とか進捗をつぶやくチャンネルを作って、誰でも参加していいよと。任意で参加してもらうと。
私の会社の場合、社員数50人ぐらいの時には、ほぼ全員がクロスが入っているので、だいたい1人の自分チャンネルに40人が参加してるという感じだったんです。
この分報で自分がやっていることとか、自分がやっていることだけじゃない、プライベートの情報とかちょっと出し方のパターンなんかも書いてあるんですけど、こういうものを投稿してもらうことによって、一緒に働いてる感が出るし、誰が何やってるかというのがチラ見で分かると。
Twitterとかでちょっとその人の事を知っているということに近い感じになる訳なんですけど、がっつりコミュニケーションをとらないけれど、なんとなくやっていることが分かって、そこにがっつり返信はしないけど、スタンプか何かで回答すると、これだけのことで明らかにインタラクティブになります。
こういう簡単な取り組みをするだけでも、今回紹介した記事にある弱い紐帯をより強くしていくことにすごい効果あると思っています。
1on1の効果的なアプローチ
また、私はチーム内で行っている「1on1」を上司と部下だけではなくて、メンバー同士でもやってもらうようにしています。
週に1回30分。10名いたら、30分×10だと5時間とかになってしまうんですけど、会社に来て雑談している時間と考えれば5時間ぐらい何かで使ってますよね。そこで、チームメンバー同士で1対1でそれぞれ話せるように仕組化して自動的にやってもらうようにしています。そうすることで、コミュニケーションが発生しますし、そのコミュニケーションによって仕事がスムーズになったり、不安感や孤独感がなくなります。とても大きな効果を上げることができるのです。
今回ざっと紹介してきたようなことを、特段新しいツールを導入するとかではなくて、マネージャーや経営者が、リモートワークにおいてはコミュニケーション機会が減り、それによって弱い紐帯、弱いつながりの人とのコミュニケーションがなくなることを理解し、それをカバーする方法を運用上やるようにする。そうすれば今回紹介した記事のような問題を簡単に解決できると思っています。
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