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テレワーク環境で新人を早期育成する3つの方法

今回は、私のセミナーに参加して下さった方から頂いた、以下のご質問にお答えします。

会社をリモート化してから、対面の時と比べて新入社員の教育が上手く行っていません。リモート環境での有効な新人教育の方法があれば、ぜひ教えて下さい。

確かに、リモートワーク下での新入社員教育は、難易度が高い課題と言えますね。

ちなみに、私が起業・経営していたポップインサイトは、フルリモートワーク体制だった為、入社して一度も対面で会わないまま業務に入ってもらう社員も数多くいました。しかも業務内容が、UXリサーチという高い水準の業務知識や判断を必要とする仕事だった為、リモート環境ながらも新入社員にスムーズに高い知識とスキルを身に着けてもらう必要がありました。その為、私も色々と教育や研修の方法を工夫する必要性に迫られました。

そこで今回は、私が自身の経営経験の中で見出した、『テレワーク環境で上手に新入社員教育を行う3つの方法』を紹介したいと思います。

方法1:動画マニュアルの活用

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まず最初にお勧めしたいのは、『動画マニュアルを活用する』という方法です。

やはり会社の業務には、文章だけ読んでも理解できない複雑な内容が多々あると思います。特に作業の手順などは、「この●●で△△して、次にこっちの■■を使って、そのアウトプットを○○する」といった様に、文章だけで内容を伝えるのはとても難しい作業です。マニュアルも、ページ数がとても多くなってしまいがちで、読む側が理解するのも大変です。

それに対して圧倒的に便利なのが『動画マニュアル』です。動画マニュアルは、見る側にも作る側にもとても豊富なメリットがある手法です。

▼動画マニュアルの例(とある作業依頼)

紙のマニュアルだと読むのが大変な量の内容も、動画で説明すればごく短時間で済み、より深く内容を理解する事ができます。それに作成がとても簡単です。例えばPCワークであれば、スクリーン録画をしながら、ポイントをナレーション的に吹き込むだけで完成です。

私が経営していたポップインサイトでは、大半の業務に対して動画マニュアルを備えていました。そして、新たに入社したり担当する人には、まず動画マニュアルを見てもらう様にしていました。その為、高度な内容理解が可能となり、必要な業務にすぐに入ってもらう事ができていました。

ちなみに動画マニュアルを導入した経緯は、あるベテラン社員の退職に伴う出来事にありました。

当時まだ社員も少なく、ベテラン社員が1人辞めてしまうと、他の社員も自分の担当業務で手一杯だったので、新たな社員を雇っても業務を教える側のリソース不足でした。

そこで、彼が退職するまでの1ヶ月間、担当していた全業務の様子を動画に残してもらう様にしたのです。例えば、当時彼が行っていたユーザーテストのモニター選びや、リサーチ動画の回収やチェックなどの全ての過程をスクリーン動画で撮りながら詳細なポイントを説明してもらいました。その結果、分かりやすい動画マニュアル集ができあがり、後日新たな社員が入社した際も、スムーズに内容を理解してもらい実践に入ってもらう事ができたのです。

これは、想定していたよりはるかに効果的だと感じました。そして、これをきっかけに社内の業務を次々と動画マニュアル化していったのです。

特にリモート環境では、離れた場所にいる人に業務内容を的確に伝える必要があります。そんな場面では、この動画マニュアルが一層大いに活躍してくれるのです。

方法2:育成担当者をつけて、高い頻度で確認する

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2つ目にお勧めする方法は、『育成担当者をつけて、高い頻度で確認する』です。

私は現実的に考えると、先程紹介した動画マニュアルで内容がある程度伝えられたとしても、そこで教育できるのは40〜50点レベルまでだと思っています。残りの50〜60点分は、きちんと育成担当者が付いて、頻度高くコミュニケーションを取りながら行わないと無理だと思うのです。

これまで多くの企業で、先輩社員が対面でOJTなどを通して、説明したり質問を受けながら教育してきたと思いますが、これがリモート環境になるととても難しくなります。横にいて理解度や様子を見ながら説明する事もできませんし、反対に新入社員の方から質問するのも意識的な壁が高いと思います。

そこで、リモート環境では対面の場面に比べて、より明確に担当者を付けて、意識的に高い頻度で確認していく体制作りが必要になります。新入社員からの報告を待つのではなく、どんどん教育係の方から聞いていくのです。物理的距離があるリモート環境では、それ位行って初めて効果が出ます。

ポップインサイトでは、新入社員1人1人に育成担当を付けて、その人から非常に高い頻度でコンタクトを取って育成をする体制にしていました。その為、リモート環境でも、多くの新入社員にスムーズに業務に溶け込んでもらう事ができました。

しかし、これは実際の多くの企業にとっては「言うは易し行うは難し」な事だと思います。なぜなら、多くの場合、既に数多くの業務を担っている社員にアドオンをする形で新人育成も担当してもらわなければいけないからです。

特に育成担当を任せられるような人は、自身も仕事ができる有能な人材である事が多いのです。その人達の帰属業務の手を割いて新人育成もしてもらわなくてはいけません。そしてその結果、その人自身の業務成績が落ちてしまう事になってしまいがちです。

特に、ポップインサイトでは、案件ごとに成果報酬としてインセンティブを付けていました。そこで、ともすると新人教育を担当してもらう事で、その分労力や時間が割かれて、この成果報酬がガクンと下がってしまう可能性があったのです。

そこで、私は新人教育担当1人分を、業務の案件1件達成分としてカウントして報いる様にしました。つまり、1人分新人教育を担当してくれたら、案件1件達成した分の報酬を付与する様にしたのです。

社員教育は会社にとって非常に重要な投資です。当然1案件分の売り上げを上げたのに勝るとも劣らない価値はあるのです。腰を据えて新人教育に注力してもらう事は、会社にとって間違いなく大きなメリットがあると言えます。

実際に、この体制にする事で、優秀な先輩社員が手間暇かけて育成に取り組んでくれ、そのお陰で多くの新人が会社を支える人材へと育ってもらう事ができました。

リモート環境では、対面での環境に比べてより明確に育成担当者を決めて、頻度高く確認を入れる必要があります。そしてその際には、育成担当者に報いる体制作りを合わせて行う事が、会社により大きな成果を寄与する事になるのです。

方法3:自分チャンネルを使った分報で頻度高く報告を受ける

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最後にお勧めする方法は、『自分チャンネルを使った分報で、頻度高く報告を受ける』です。

これは、チャットで新入社員本人だけが発信でき、皆が閲覧できる『自分チャンネル』を作成し、そこに週報や日報ならぬ『分報』で報告してもらうようにするという方法です。

入社したばかりの頃は、週に1回や1日に1回の報・連・相では、双方にとって不足だと思います。会社としても、まだどんな人なのかが分からないし、どこで困っていたりするか察する事もできません。また、新入社員の側も困っている事を言い出せず、胸に悩みを抱えているかも知れません。そこで、何かあれば分単位でも連絡して良いという『分報』をルール化することで、新入社員が気後れせず報・連・相できる場を提供する事ができるのです。

また、これを『自分チャンネル』を使って行えばさらに効果的です。自分チャンネルについてはこのブログでも度々紹介していますが、テレワーク環境におけるチームコミュケーションの向上を図る際に非常に有益な手法です(参考:分報&自分チャンネルで、テレワークでのチームコミュニケーションを促進)。

『自分チャンネル』とは、チャットにその人専用の発言できるチャンネルを作り、他のメンバーの皆が閲覧できる様にする手法の事です。これを設ける事で、新入社員も他の人に遠慮する事無く必要な時に発信することができるようになり、他のメンバーにとっても、見たい時に見ることができ、返信したい時に返信できるようになります。

これを週や日単位などではなく、分単位などの様にできるだけリアルタイムで作業の過程や状況を共有する訳です。ポップインサイトでは、新入社員を含む全社員に自分チャンネルを設けて、都度頻繁に発信してもらう様にしていました。

こうすることで、その人がどんな仕事ぶりなのか、また、どんなパーソナリティーなのか非常に良く理解できます。また、返信やコメントに関しても、教育係がしてもいいし、社長や他の社員がしても良いのです。特に、入社時には周りの人が積極的にレスポンスする事で、スムーズに良い人間関係が築けます。

私は、こういった手法を上手く活用する事で、実は入社時が一番良い関係性を作りやすい時期にする事ができるとも思っています。

この様に、自分チャンネルを設けて分報で報・連・相してもらう事をルール化することで、より一層スムーズな形での新入社員の育成が可能になるのです。


この度、リモートでの会社経営・チーム運営を続けてきた中で得られた知見や実践例をまとめた書籍『テレワーク環境でも成果を出す チームコミュニケーションの教科書』をマイナビ出版さんから出版しました。

ぜひ、テレワークを導入される皆様の、より良い職場環境作りや、より楽しくて幸せなチームコミュニケーションの一助になればと心から願っています。




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