家に女子が来ているのにサカつくをやり続けた話
小学校2年生の頃、かなりの頻度で同じクラスの女子が家に遊びに来ていた。
というのも自分には妹がおり『妹と遊びたい』という事で家に来ていたのだ。
ただ今思えば『本当はどうなんじゃい!』と思う。
『妹と遊びたい』というのは単なる口実にすぎないのでは?と思ったり思わなかったり。
ただ家に来た女子たちは、めちゃくちゃ妹と遊んでた。
俺の存在には目もくれず。
何なら違う階、外でも妹と遊んでた。
家に女子が来てる中、自分は一体何をしていたかというとめちゃくちゃ『サカつく』をやっていた。
正確にはプロサッカークラブをつくろう!'04だ。
そう、自分は家に女子が来てる中『クラブ経営』に夢中だったのだ。
女子の声が聞こえる中、自分はまずチームの本拠地を選んでいた。
それからユニフォームや監督を選んでいく。
この時1人クラスの男子も来ていたのだが、その男子は女子と一緒に遊んでいた。
そんな中自分はある選択肢に悩まされていたのだ。
それは初期の肝となる外国人選手。いわゆる助っ人だ。
サカつくの初期は基礎能力の低い選手達ばかりだ。
そんな中能力の高い外国人選手の存在は大きい。
スカウトが候補となる選手をリストアップしてきて、その中から1人だけ選べるのだ。
この選択はかなり大事だ。
ここで自分はある選手に注目した。
それはブラジル国籍のGKジャパンだ!
今思えば明らかに罠っぽい名前をしている。
しかしジャパンの顔からは非常にやる気を感じた。
俺は女子の遊び声が聞こえる中、ブラジル国籍のGKジャパンにこのチームを託すことを決断した。
迎えたリーグ初戦。
相手は京都パープルサンガだ。
この時の京都は松井大輔、パクチソン、崔龍洙などとJ2とは思えないタレント揃いだ。
いつもこの京都に初戦でボコボコにされて気持ちが折れて、リセットするというのがこのゲームのあるあるだった。
案の定ボコボコにされた。
この時自分は女子から見える位置でゲームをしていた。
それもあってか自然と何食わぬ顔でリセットする事なく、ゲームをそのまま続けた。
負けが混むも、一年目ということもありある程度は仕方ないと割り切りプレイしていくが、ここである問題が出た。
廣瀬黒男の調子が上がらない!
みんなは知ってる?廣瀬黒男!
初期メンバーに収録されている選手の1人だ。
廣瀬黒男の事など目もくれずに遊ぶ女子。
こっちの身にもなってほしいものだ。
廣瀬黒男を控えに下げプレイを続けるも、また新たな問題が生じる。
高杉がチームに不満を持ち始めたのだ!
みんなは高杉知ってる?角田信朗みたいな見た目の!
廣瀬、高杉に目もくれず、そして何より廣瀬、高杉に悩まされている自分に気づくことなくワイワイと遊ぶ女子達。
ここで自分もサカつくを辞めて一緒に遊べばいいのだが、ただ自分は今『クラブのオーナー』なのだ。
ここで簡単にやめるわけにはいかない。
チームも大敗することが増え、ここで自分はある大きな決断に出ることにした。
FW安雲をGKにコンバート
することを決めたのだ。
このままでは大敗を続けるだけだ。
何かしなければ!
その答えが『安雲をFWからGKにコンバート』させることだった。
どう考えても血迷ってる。
しかし今の自分はもう止められない。
この状況の中で安雲のコンバートを止めれるのは遊びにきている女子、男子、あと妹のみだ。
安雲のコンバートに気づけるかな!?
勿論皆遊びに夢中で安雲のコンバートなどに目を向ける訳がなく安雲はFWからGKにコンバートされてしまった。
家に女子が遊びに来てる中、自分は安雲をFWからGKにコンバートしたのだ。
可哀想に!
安雲。
君たちが止めないから!
遊びに夢中で安雲に目を向けないから!
「ちょっと!オーナー!」この一言で安雲の運命は変えれただろう。
「私が代わりにGKやります!」冗談でもこのぐらいの事は言ってやってほしかった。
残念だ。
勿論安雲がGKとして活躍するわけもなく、チームは崩壊した。
あの時遊びに来てた女子が今どこで何をしているかは知らない。
もし仮に結婚して子供がいたとしたら、安雲のコンバートに気づけないような人間に果たして子育てができるのだろうか?
不安でならない。
一旦ここまでの話を冷静に読み直してみると、自分がゲームを辞めて一緒に遊んでたら安雲もコンバートされずに済んでたのはでは?と思った。
しかし自分という人間にそのような選択はないのだ。
女子よりもサカつくを選ぶその姿勢こそが自分なのである。
サカつくを辞めた後、上の階で女子が遊ぶ中自分は下の階で全く興味のないバイクレースを見ていた。
そういう人間なのだ。
2年生が終わり3年生になると女子は全く家に来なくなった。
あれから15年以上。
今からでも遅くない。
今からサカつくをやるから安雲のコンバートを止めに来い!
いけるのか!?