あなたのプレゼンに「まくら」はあるか?落語に学ぶ仕事のヒント 立川志の春 著
ビジネスでも本題に繋げる「まくら」があると、話を聞いてもらえる、興味をもってもらえますね。
たしかにその通りだと思いました。
立川志の春さんは、2020年4月に真打に昇進されていますが、二ツ目の時に書かれた本です。
志の春さん自身は、個人主義で他人に口出ししない代わりに自分にも干渉して欲しくないというのが基本的なスタンスで、師匠に何か言われると「いえ、でも、私はこう思ったんです」と言ってしまう、あるいは頭の片隅で思ってしまう。それが顔に出てしまう。
そう書かれていました。
実は、私自身もお恥ずかしながらそのまんまでして、何か注意されたり改めるように言われると「でも…」と思ってしまいます。
さらに志の春さんは、
以前は、自分らしさが重要であり、誰かに合わせて生きるなんておかしい。相手が目上の師匠であるといえども自分の意見があればしっかり伝えるべきだと思っていたが、修行を続けるうちに一見、非合理的に見える師弟関係こそ一人前になるために必要なことと思い直すようになった。
徹底的に気を遣い、相手(師匠)と同化することを身をもって体感すること。
「名刺を持って来いと言われたとする。お前ならどうする?」と先輩から問われる。
普通に考えれば、師匠のカバンから名刺入れを出して師匠に持っていく。その前提として名刺を切らさないように気を遣い日頃から補充しておくのを忘れてはいけない。これは、普通の発想。
先輩は一歩先に行っていた。
師匠は、その方に本当に名刺を渡したいかどうか考える。
師匠が相手に名刺を渡したいかどうかは、話をきちんと聞いていればわかるものだ。
「すいません。名刺を切らせています」と答えたら馬鹿野郎!と怒鳴られるかもしれないが、心の中ではよくやったと思ってもらえる場合もある。
誰かと同化するという意味がわかった気がします。
師弟関係を強く結ぶと言う修行方法は師匠の近くにいることで技を盗めると言うメリットがあります。
しかし、習うことができる技術なんて実はあまり多くありません。
それよりも大きいのは、師匠のことを常に考え続けることによって師匠の存在そのものが自分の中に入ってしまう感覚を経験すること。
目の前の状況において、師匠ならこう考えるだろうなと言うのが自然に思い浮かぶ感覚です。
技より根本的な生き方に共鳴していくということ。
どんな優秀な人でも、1人の人間が持てる視野には限界があります。
気づかないうちに思い込みにとらわれ思考制限してしまうこともあるでしょう。
だから、自分と違う存在をできる限り自分の中に入れることができれば、視野が一気に広がり思考が立体化します。
志の春さんは、師匠に聴いてもらわなくても、師匠がなんというか何となくわかる気がする。
そういう指針がなければ、成長できない。
そう書いていらっしゃいました。
さらに、ビジネスでも同じで、尊敬する先輩や上司が、自分の仕事をどう評価するか?という指針がある人はぶれない強さがある。
古臭く非合理的にみえることは、物事を合理的に考えられる優秀な人ほどそう感じるかもしれない。
しかし、それはもったいないこと。
自分はそういう流儀ではないと頭ごなしに否定せずに、尊敬できる先輩や上司にとことん同化することで見えてくる世界がある。
なかなか認められないという方が、やる気を持続させる。いつかこの人に認められたい。その長期戦で戦う方が身に付けるのに向いている。
ちょっとやそっとで褒められる成果なんて所詮その程度のもの。認められずに悔しくて涙が出そうでもいつか認めてもらうというエネルギーにして前進する
そうした心持ちが重要。
なるほどと思いました。
そして、この本を執筆するにあたり気を付けたことは「自慢はしない」。
基本的にそれだけを気を付けていれば、ビジネスにおいてもプライベートにおいてもコミュニケーションは上手くいくものだと思います。と書いていらっしゃいました。
ここでもギクリ!
自慢話は、ダメなのか。人が笑って聞いてくれてるのも実は良くは思われていないのか…。
自分を振り返り、反省ばかりで考えさせられる本でした。
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