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私と脳波測定

東京に春から引っ越すので新しくかかる病院を探していた。

その中で、どうやってたどり着いたかは忘れたが都内某所で、脳波測定ができるクリニックを見つけた。
なんでも、脳波を測定して被験者の特性(ASD、ADHD、うつ、不安障害特性etc…)を見つけるとのこと。医療分野に興味がある私としては脳波で発達障害や鬱の特性がわかるなんてすごいことだと考えた。そして、シンプルに興味があった。そこで、某脳波測定クリニックに行くことにした。

受診日当日、どんな結果が出るのか楽しみにしながらクリニックまで向かった。しかし、向かう途中でふと冷静になった。…脳波で鬱や発達障害が検査できるなら心療内科分野の診断はもっと簡単になっているのでは?と。なんとなく、胡散臭い、香ばしい感じを某脳波測定クリニックに感じながらクリニックに到着した。

結論から話すと、私はASDとADHDのグレーゾーンにいて、それら2つの発達障害による二次疾患としてうつ病が併発しているということだった。今まで発達障害とは縁がないと思っていたので衝撃の結果であった。

ここからは、脳波検査、診察までの流れを書こうと思う。

初めに問診票を書き、受付に提出する。その後、少し待つとカウンセラーの方とのお話の場に呼ばれる。

カウンセラーの方には、1年以上自分が薬を飲んでいるにも関わらず鬱が治らないこと、自分が鬱病・愛着障害の特性があるのかを脳波という客観的診断で知りたいということ等普通のカウンセリングで聞かれるようなことを聞かれ、また待合室に戻された。

また少し時間がたつといよいよお待ちかねの検査のお時間である。
一番奥の検査室へと連れていかれて、看護師さんらしき人物から脳波測定のためのヘッドセット(?)を装着される。装着後は、ヘッドセットによる痛み等がないかを確認し、検査に入る。検査の内容は、3~4分間壁をぼーっと見つめる、というものだった。こんな簡単で、非侵襲の検査で発達障害や鬱病が分かれば大したものだ、そんなことを考えていたらあっという間に検査が終了した。検査終了後はまた待合室に戻された。

検査終了から待つこと10分以上、いよいよ医師とのご対面である。また、カウンセリングを受けた個室に呼ばれ、医師と話をすることになった。どんな脳波が出ているのかが楽しみで仕方なかった。医師には、今日は何を知りたいかと聞かれたので、自分が鬱病なのか、愛着障害なのかを脳波で知りたいと答えた。医師は、わかりましたと答えて結果の説明に入る、と思いきやこのクリニックでの根本的な考え方を始めに示された。私が知りたいのは自分の脳波と鬱か否かだけである、そう言いたくなったが大人しく話を聞くことにした。
話を聞くと、このクリニックのHPに書かれていることを話されただけだった。このクリニックは、発達障害による二次疾患としてうつ病等が発症している、という考えだそうだ。なんとなく盲目的に患者に、この考え方が正義であるかのように話をしてくる。鬱で精神をやられている患者に、さらに発達障害であるという診断を下したら、それはそれは患者にとっては大ダメージになり、藁にもすがる思いで、そのクリニックが勧める治療法であるTMS(経頭蓋磁気刺激法)をホイホイ受けるのではないかという話の誘導の仕方であった。ちなみに、TMSは保管診療外なので一回の治療につき2万円程度するそうだ。一回2万円の治療を36回受ければ90%程度、発達障害のグレーゾーンの人は普通の人の脳波になるそうだ。48回治療を受ければほぼ100%普通の人に戻れるのだそうだ。

いい商売してるなと思った。医療に無知な人間に脳の周波数や神経伝達回路等の話をして、TMS治療をすぐ勧める、そういうやり口なのかなと思った。私が医師なら、発達障害グレーゾーンと脳波で結果として出たなら、次に筆記テストや詳しい問診などを次の診察で行うと思う。その結果、発達障害グレーゾーンといって差し支えない結果が出たならTMSを勧める。私は医学部ではないので臨床のことはわからないが、どんな病気でも一次検査だけでなく二次検査で裏付けを行ったうえで診断をはっきり下すのがパターンだと思う。

医師と脳波のデータについて議論を交わした。考え事をしているとどの程度脳波の結果に影響が出るのかなど、とにかくデータについて疑問に思ったことをめっちゃ素人質問でかなり失礼します、という勢いで質問しまくった。質問をしまくったのに医師からは、結局私が1番知りたい、鬱か否かの答えを脳波では聞けなかった。
発達障害グレーゾーンは守備範囲が広すぎると考えた。発達障害の項目に1個の当てはまらない人間の方が少ないのではないかと思う。そのクリニックのHPでは、1項目発達障害の人の特徴に当てはまっていたらグレーゾーンにしている、と受け取られても仕方ないような書き方で発達障害グレーゾーンを説明していた。このHPの記載のしかたは本当に悩んでいる人に失礼なのでは…とさえ感じた。
結局私はASD、ADHDの発達障害グレーゾーンと診断され、診察は終了し、こいつはTMSを受けないだろうと半ばあきらめたようにTMSを受けるか否かの確認をしてきた。答えはもちろんいいえではあったが。

しかし、得られたものもあった。それは、私の脳波は明らかに一般の人違うということだ。100人に2人いるかどうかの程度で脳が過剰に活動していた。医師曰く、このクリニックに来る患者でもここまでの人間はいない、とのことだった。これは、発達障害グレーゾーンと医師がいうのもちょっとわからなくもない、と思った。だが、次回の診療にテストや詳しい問診を勧めてこなかったので再診はしないと決めた。

違う病院で発達障害の問診やテストを受ける価値はあるのかなぁとも少し思った。

香ばしいクリニックに行くというなかなかない経験をできたので楽しかったです。

早く東京でいい病院を見つけたいです。

有識者がいらっしゃればぜひアドバイスをいただきたいです。

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