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【上級編】よりタフで、深い芝居をするためのテクニック

役の”ゆらぎ”を捉えて、思考を立ち上げる

今回は、俳優が芝居で表現すべきことである

“その時、その役にどんな考えが湧き起こっているか”

考えの部分、つまり役の思考をどう立ち上げて演技プランに組み込めばいいのか?
役の思考を立ち上げるテクニックのひとつ役の“ゆらぎ”を捉えると、その準備方法、そして“ゆらぎ”とは何か? 

について解説していきます。

この解説は僕の【演技プランを作るための9項目】をもとに行なっていきますので、演技プランとは一体何なのか? という方は、コチラも併せて読んで頂けるとわかりやすいと思います。

役の”ゆらぎ”を捉えることで、役の欲求(目的)から導かれる役の思考と感情をより具体的なものにします。更には

  • 役の主観でリアクションができるようになる

  • リアクションが思考先行でできるようになる

以上のことが、より明確に、効果的に行えるようになります。

未来の時間を埋める(作る)

演技プランを作るための9項目にもある【役の時間を理解する】

⑥ 役の時間を理解する
そのシーンにおける登場人物がどんな時間を過ごしてきたか。その概念は大きく四つに分けることができます。
1、長い時間。登場人物が生まれてから、シーンに至るまでの時間。
2、中くらいの時間。登場人物の関係性が生まれてから、シーンに至るまでの時間。
3、短い時間。シーンが生まれるきっかけになった所から、シーンに至るまでの時間
4、未来の時間。そのシーンで登場人物がどんな未来を頭で描いているか、どうなる事を期待し、予想しているか。

台本の読み解き方、演技プランを作るための9項目

の項目の4、未来の時間を埋めることで、役の“ゆらぎ”を捉え、役の思考を立ち上げていきます。

・未来の時間とは何か?

未来の時間は、役の欲求(目的)から導かれる役の思考と感情をより具体的なものにします。
未来の時間とは、そのシーンで登場人物がどんな未来を頭で描いているか、どうなる事を想像、予想しているか。です。
未来を想像、予想すると言う思考には
ポジティブな面ネガティブな面があります
【こうなってほしい】【こうなったらいいな】などの期待、希望
【こうなったら嫌だな】【こうはなってほしくない】などの不安、恐れ

例えば、AさんがBさんに付き合ってくださいと告白したとします。
Aさんには当然【Bさんと付き合いたい】という欲求がありますよね?
そしてAさんは、Bさんの返事を待ちながら、頭の中では

  • 【上手くいってほしい】という期待

  • 【うん。と頷いてほしい】という希望

  • 【フラれたらどうしよう】という不安

などが、ぐるぐると駆け巡っているはずです。

これらの思考があるからこそ

Bさんと目が合った時にドキッとできたり
「嬉しいんだけど」の「だけど」に顔を歪めたりできるわけです。

・役の”ゆらぎ”とは何か?

未来の時間。つまり、役がこの後の展開をポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるかに関わらず、役の未来の想像に対して、シーンの展開、事実があります。

図の想像と事実の間にあるのが“ゆらぎ”です。

想像に対して事実が「思ってたものと違う」なのか「順調に進んでいる」のか、いずれにしても想像があるおかげで、事実に対して反応することができるようになります。
未来の時間を埋める(作る)ことで、事実に対する役の“ゆらぎ”が表現できるようになるし、更に“ゆらぎ”に対して反応することで、自分の役が、相手のセリフやアクションにどんな思考と感情を持っているのかを、明確に表現できるようになります。

また自分の演じる役が何に“ゆらぐ”のかを捉えることで、演技プランに狙いを作ることもできるようになります。

・ゆらぎを捉えるポイント

未来の時間を埋めるためには、役の欲求(目的)を明確にすることが必須条件。

役が何をしたいのか? 

それをどれだけ強く持てるかがポイントです。
役の欲求(目的)に対してマジになればなるほど、芝居は面白くなります。

役が叶えたい一番の欲求(目的)に対して、逆算で、今やらなければ行けない事は何か? 欲求(目的)をかなえるための欲求(目的)をどれだけ細かく持てるか、です。

そして、目の前で起きた事実に対して、欲求(目的)に絡めた思考で反応できるか?

これは、目的に対する思考をどれだけ柔軟にできるか。とも言えます。

役の”ゆらぎ”を捉え、役の思考を立ち上げる事で
今、目の前で起きているすべてのことに、役の主観で反応することができるようになるはずです。
そしてその時間が長ければ長いほど、よりタフで、深い演技プランを構築することが可能になります。

これを読んだあなたが、楽しく芝居が出来るようになりますように。

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