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ep11.麻奈とヴァージン教
麻奈は一時期、知り合いや後輩にオナニーグッズのようなものを売り捌いていたことがある。「それを膣に入れていれば幸せになれる」というヴァージン教の教えだ。
『ジェムリング』というパワーストーンという触れ込みだったが、実態はただの石ころ。ヴァージン教の教祖たちは原価250円の石ころを3万円で販売しており、彼らの重要なシノギの一つとなっていたようだ。
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膣に異物を入れれば身体は反応し、モノアミン系のホルモンが分泌する。それをパワーが漲っていると偽り、騙される人が続出した。麻奈もそのうちの一人だ。
膣に異物を入れ続けていれば腹膜炎や内膜症になる恐れがあり、教祖を信じた挙句、敗血症で亡くなった方もいる。しかし、そんなことは教祖には関係ない。儲かればそれで良い。有名な医師が見かねて警鐘を鳴らすほどに流行した。
麻奈とヴァージン教の幹部はハレブロでお互いを褒め合い、お互いの著書や商品を紹介し合っていた。教祖に心酔して言いなりになり、クソみたいな詐欺商品を売り歩いた。瞑想会やセミナーに参加し、打ち上げに参加して交友を深めた。麻奈はヴァージン教の良い広告塔となっていた。
スピリチュアル系はパイが大きく、横の繋がりは広い。誰かと繋がればそれが際限なく枝分かれしていき、スピリチュアル界隈で知り合いが増えていく。こういった人との繋がりで依存が断ち切れなくなる。友達のいない麻奈もそこに魅了されたのだが、この辺りもまんま宗教団体と重なる。
ヴァージン教はしばしばセミナーやイベントを開催して金を集めた。そこに呼ばれた麻奈はこれでもかと言うほど持て囃され、皆にチヤホヤされて求められた。誰も否定しないその環境が心底、心地良かった。その姿はまんま宗教団体にハマる信者。お金を持った世間知らずのお嬢様は詐欺師の良いカモとなり、率先して駒となり彼らのために働いた。
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