可愛くなりたいって言えない私
まつ毛がくるんと上を向いて1週間。
なんとなく、今、自分が可愛い。
・・・・・・
先週、まつげパーマをかけた。
なんか調子がいい。ちょっと可愛いぞ嬉しいぞ。
この波に乗って、美容院を予約した。
ぼーっと、
「可愛くなりたいが言えない自分」のことを考える。
ずっと…ずっと昔のこと。
可愛くなりたいって欲があることが、
恥ずかしかった。
使い捨てカメラで自撮りして
アルバムにしたほど
自意識は強かった。
でも、
トイレで鏡を見ることができなかった。
丁寧に化粧直しする友人を
リップクリーム塗りながら待った。
集合写真撮るとき、
自分だけが知ってる1番可愛い笑顔が
作れなかった。
こだわりのないショートヘアだった。
髪を伸ばすのが、恥ずかしかった。
とにかく怖かった。
頑張っても頑張っても願ったみたいに可愛くなれないんじゃないかとか、不安だった。
身の程で生きとこうと思ってた。
「笑われるか笑われないか」で笑われない方を選ぶようにしてた。
「ダサいかダサくないか」で生きてた。
今思えば、笑えるしダサい生き方だった。
おい、ダサすぎるぞ!そう言える今の私は、かろうじてダサくない。
小学校5年生の体重測定のとき、天然パーマのあの子が言った。
「太ってたらヤダ〜」
あの頃の私はそんなこと考え付かなくて。
まだまだシルバニアファミリーで遊んでいた私からしたら、「可愛くありたいのー!」と叫んだかのようなあの子が眩しかった。
その後私は引っ越したのだけど、、、
中学にあがった天然パーマのあの子はストレートパーマをかけて、学年1モテたって文通してた友だちから聞いた。
添えられたプリクラのその子はとても可愛かった。何度も何度も見た。後ろに写るあの子は、とても同い年に見えなかった。
今日は久しぶりに
ちょっといい美容院に行く。
インスタでフォローしてる美容師さんに予約を入れた。
そんな気持ちになれたのもまつ毛にカールがかかったからな気がする。
最近はいいよね。
可愛くなりたい欲がもう自然すぎる。
食欲、性欲、睡眠欲、承認欲、可愛くなりたい欲…って三代欲求に並ぶはず。
アプリ加工の進化からもそれは納得なはず。
アクセサリーするのすら恥ずかしかった私。
可愛くなりたいがミエミエスケスケになるアクセサリーをつけるのすら、もう恥ずかしかった。
今は大きなイヤリングも、小さなネックレスもする。
今もまだ、
「可愛くなりたい」なんてやっぱり口にできない。恥ずかしい気持ちはあの頃のまま。
でもね、ダサい生き方をしたくない。
身の程わきまえて…なんて、もっともらしいこと言って、ただ臆病なだけなのはやめよう、そう思った。
可愛くなろうとするのって、
全然ダサくないから。
明日はちょっとモードなスカート履いて、オレンジのアイシャドウして、指輪も一つ追加して出掛けよう。
あ、あとネイルもオレンジにしよう。
思ったのと違った髪型になっても、「そんな自分も可愛いな」って思える歳の重ね方をしてきたじゃん。
それにしてもあの自撮り写真を挟んだアルバム、今どこにあるんだろ…。
・・・・・おしまい・・・・・