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今こそフリーランスが学びたい資産形成。運用をはじめる前に確認すべき3つのポイントとは?

近年、新型コロナウイルスの世界的パンデミック、ロシアのウクライナ侵攻など、これまでになかったことが次々と起こり、私たちの生活において当たり前だったことが大きく変わりつつあります。
働き方改革や副業推進の流れからフリーランス人口は増加傾向にありますが、自由な働き方を実現できるフリーランスは収入が不安定になりやすく、将来について不安を持つ人も多いようです。そのため、より早い時期に慎重に資産形成・資産運用することで、リスクを回避することが重要です。

今回は、税制優遇の制度を最大限活用した資産運用についてご紹介するとともに、改めて投資に必要な準備や考え方について解説してみました。

税制優遇の制度とは?

投資をはじめるにあたって

まず大前提として、「投資を行う=リスクを伴う」ことを忘れてはいけません。フリーランスが行うべきは将来のための資産運用ですので、なるべくリスクを軽減しつつ資金を殖やせるように、リスクと利益のバランスをとることが必要です。
長期的に資産を殖やすためには、現在の生活に影響が出ないように余裕資金を捻出し、なおかつ継続的に投資することが大切です。

フリーランスが資産運用をはじめる前に確認すべき3つのポイント

1.家計収支は「プラス」かどうか

資産運用をはじめるなら「毎月の家計収支がプラスになっていること」が前提です。繰り返すようですが、資産運用は余裕資金を使って行うものです。余裕資金とは、生活するのに最低限必要なお金以外の資金のことです。

資産運用は貯蓄や貯金とは違ってずっとプラスで運用し続けていけるものではありません。生活費を切り詰めたり、その結果借金をするということになってしまっては家計に影響が出てしまいます。

食費を主とする変動費に関しては無理せず調整するにとどめ、まずは家賃や携帯料金といった固定費を見直すことで、日頃の生活を整えていくことから始めましょう。

2.「貯金」があるかどうか

会社員と比べると収入に波があるフリーランスは、事故・怪我・病気・介護などのいざという時の収入保障がありません。資産運用をはじめる前に、まずは半年分の生活費に相当する貯金を準備しておくと安心です。

投資をしていく中で損失が出る状態になって万が一その額が大きくなってくると、焦りや損失感から換金できなくなる可能性があります。いつでも動かせる貯金を手元に用意しておくことで、心理的な安心感を持ちながら余裕をもった運用を行いましょう。

3.「余裕資金」かどうか

資産運用は一か八かといった勝負事のようにお金を増やすのではなく、「お金がお金を生む」状態を作っていくことを意識すると良いでしょう。そのためには生活に支障が出ない範囲で余裕資金を運用していくことが大切です。
余裕資金であれば、もしマイナスになったとしても生活に影響がでることがないため、プラスに転じるまで数年待つことができます。

もし生活費を切り詰めた分で運用していた場合、損失が出るたびに気が気ではなくなるでしょう。資産運用には冷静かつ慎重な判断能力が必要となりますので、可能な限りリスクは減らしておく必要があります。

ここまでの解説ですでにお分かりいただけたと思いますが、資産運用を行う際には、家計や貯蓄をコントロールする余裕を持つことが大切です。

資産運用の際には税金に注目しよう

前項ではフリーランスが資産運用を始めるにあたって確認すべき重要なポイントを解説しました。余裕資金で資産運用を行うことが必要であることをご理解いただけたと思います。
資産運用と一言で言ってもさまざまな方法がありますが、投資に詳しい人ならともかく、これから投資を始めたいという人はおそらくほとんどが下記の3つに当てはまるはずです。

  • 特定の企業に投資したいわけではない

  • 自分で銘柄を選ぶ時間がない

  • よく分からないので専門家にまかせたい

このようなタイプの方には「投資信託」がおすすめです。

しかし、投資信託を行う場合、公募株式投資信託も公社債投資信託も分配金と譲渡益に対して2割強が税金で差し引かれてしまいます。せっかく得られた利益が差し引かれてしまうのは、なんだか損をした気分になってしまいますよね。そこで、これから注目していきたいのは「非課税投資」と言われるものです。

長期投資では複利効果を生かすことでより効率的にお金を生み出していけますので、税金を引かれずに再投資していくことは複利効果を最大限に生かすことになるのです。

非課税投資には「つみたてNISA」「NISA(含むジュニアNISA)」「iDeCo」の3種類があります。「お金がお金を生み出すシステム作り」を目指すために、税金を惹かれずに再投資していくことで複利効果を生かすことができます。

中でも、毎月積立投資ができて初心者にもおすすめできる「つみたてNISA」と「iDeCo」をまとめてみました。

つみたてNISA

先にご紹介した3種類の投資方法「つみたてNISA」「NISA(含むジュニアNISA)」「iDeCo」は、どれも投資信託の利用が可能で非課税投資ができるものです。この中で「つみたてNISA」と「NISA」はいつでも止められるというメリットがあります。

「つみたてNISA」の投資上限額は年間40万円と投資信託の中では決して大きくありません。継続利用は最長20年です。初心者がお試しとして少額から投資を始めるには便利な制度と言えます。

本来なら継続するだけ恩恵を受けられる長期投資を行いたいところですが、今後の未来を完璧に予測することは難しく、思いもよらぬライフイベントが起こる可能性もあります。急にまとまったお金が必要になった時、「つみたてNISA」と「NISA」のようにペナルティなしで利用をやめられる投資があるとありがたいですよね。

株式投資に挑戦したくなった場合には、「NISA」に乗り換えて再び非課税投資を行うという方法もあります。「NISA」は投資上限が年間120万円(最長5年間)なので、資産運用のコツをつかんできた方や、投資資金が貯まってきた方が次のステップとして利用するには、ちょうどよいかもしれません。

しかし、「つみたてNISA」「NISA」は同一年に併用することができないので注意が必要です。もしいずれかに変更手続きを行いたい場合は、ご利用の金融機関で「勘定変更」という手続きを行うようにして下さい。

開設しても始められない?

「つみたてNISA」を利用して口座を開設した人でも、約32%にあたる98万2789口座では年間の買付金額は0円、つまり積み立て投資を行っていないことが金融庁による「NISA口座の利用状況調査」でわかっています。

開設しても始められない理由は主に2つあり「投資対象の選び方に悩むから」「投資のタイミングがわからないから」だと言われています。

投資対象の選び方

NISAの特徴を踏まえると、「株式に投資する投資信託」をメインに据えるのが好ましいと言われています。「資産形成の土台部分を作る」という目的の場合は、インデックス投信を活用して「世界の株式にまとめて投資する」というのもひとつの方法です。

商品選びでは、投信の評価会社であるモーニングスターのウェブサイト内にある「つみたてNISA総合ガイド」が参考になります。こちらには「つみたてNISA」の対象ファンド一覧が掲載されています。

投資を始めるタイミングの考え方

投資というと「相場をみて売り買いするもの」というイメージが強く、「安くなるまで待つ」というように考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

投資信託を積み立てていく方法であれば、タイミングを伺う必要はありません。商品が下がった時に多く購入し、高くなったらあまり購入できないようにする仕組みを利用することができます。

積み立て投資で大切なのは、「タイミング」ではなく「タイム」だと言われています。資産形成の土台作りをするためには、長期にわたって地道に積み上げていくことが大切です。「つみたてNISA」は自動的にそういった投資ができる仕組みになっているのです。

iDeCo(イデコ)

iDeCo(イデコ)とは公的年金に上乗せできる「私的年金」です。そもそも公的年金とはどのようなものなのでしょうか。まずは公的年金の仕組みから確認しておきましょう。

日本の公的年金の仕組み

公的年金は国が運営する制度で、20歳以上の全国民に加入が義務付けられています。原則として20歳から60歳までの40年間、年金保険料を納め続ける必要があります。

日本の公的年金制度はわかりやすくいうと、「3階建て」になっています。
基本となる1階部分は「国民年金(基礎年金)」です。「第1号被保険者」と言われ、自営業やフリーランスなどの個人事業主、学生が該当します。しかし、国民年金によって将来受け取れる額だけでは、生活を維持するほどの収入にはなりません。

2階部分は「第2号被保険者」と言われ、「国民年金(基礎年金)」に上乗せされるもので、会社員や公務員が加入する厚生年金や共済が該当します。保険料は会社と折半になっており、毎月給与から天引きされます。

そして、3階部分が「私的年金」です。こちらも公的年金に上乗せされるもので、企業年金や企業型確定拠出年金が該当します。今回ご紹介する「iDeCo」もこの「私的年金」の一種です。

ちなみに、第2号被保険者に扶養されている配偶者は「第3号被保険者」となり、基本的に「国民保険(基礎年金)」にのみ加入しますが、2017年からは「第3号被保険者」も「iDeCo」に加入できるようになりました。

節税しながら「自分年金」がつくれる最強の制度

iDeCoは前述した通り「私的年金」であるため、自分で運用商品を選択します。自分が選んだ商品の運用成績次第で将来の受け取り額は変わります。
公的年金も従来の企業年金である確定給付年金も、将来の受け取り額はある程度確定していますが、iDeCoの場合、確定しているのは毎月の掛け金のみです。

iDeCoを利用することで転職時に年金資産を移管できる点や、掛け金が全額所得控除となるため節税効果が期待できる点が大きな魅力です。投資商品で運用した場合は積み立て期間中の利益に税金がかかりませんし、受け取る時にも税制優遇があります。

iDeCoに加入する条件として、国民年金保険料を納めていなければならないことに気をつけましょう。例えば滞納していたり免除を受けていたり、といった場合は利用できません。

掛け金の上限について

iDeCoを利用する場合、月ごとにいくらまで掛け金を拠出できるかは人によって異なります。

確定給付年金も企業型確定拠出年金もない会社員の場合、月ごとの上限金額は2万3000円、公務員の上限金額は1万2000円、自営業やフリーランスの上限金額は6万8000円となっています。

自営業やフリーランスであっても、付加保険・国民年金基金に加入している方や会社員の場合はまた条件が異なってきますので、きちんと確認するようにしてくださいね。

まとめ

いかがでしたか?資産形成の形はさまざまですが、今回は非課税投資といわれる「つみたてNISA」「iDeCo」など初心者の方にも利用しやすい制度をご紹介しました。

資産運用を始めるには充分な資金の準備と長期的な運用を目指す必要があります。また、場合によっては運用がマイナスになることも念頭に入れておかなければなりません。

年齢や職業によって条件が異なることやそれぞれのデメリットもあります。事前の情報収集は必ず行い、バランスの良い資産形成を目指すようにしましょう。


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