朝の散歩
「朝の散歩」
今朝は放射冷却で冷え込んだが、霧のない美しい朝になった。
これから、お陽様の光が射す日は次第に少なくなってゆく。
冬と呼ばれる期間は、空は、分厚い鼠色の雲の覆われる。
というわけで、るんるん気分で朝のお散歩に出かけた。
朝6時の気象台観測の気温は4.4℃。
でも、カッターにジャケットを羽織っただけだが、ぜんぜん寒くない。
桜の紅葉は盛りか散り始めで、真紅に輝いている。
楓は、まだ緑だけれど、種類によっては黄色や橙色に染まりつつあるものもある。
名前を知らない広葉樹は、黄色、あるいは金色。
栗は緑。
フィンランドの民間信仰の神様の中に、「タピオ(Tapio)」という神がいる。
タピオは、秋になると、カラフルな服を着る。
森の実りが豊かだと立派な服を着て、森の実りが乏しいと粗末な服を着る。
ついでだから書くと、シベリウスは、タピオをモチーフにした交響詩「タピオラ」という曲を書いた。
小編成が好きなシベリウスにしては、数少ない三管編成の大曲だ。
フィンランドの首都ヘルシンキに隣接する、20世紀後半になって開発されたベッドタウンには、「タピオラ」という名前がつけられた。
が、現代にフィンランド人は、「タピオラ」の由来を知る人は少なくなっているようだ。
「タピオラ(Tapiola)」とは、森の神タピオの土地、タピオがいるところ、という意味。
フィンランド人は、そうして、森を大事にしてきた。
日本には森の神というのはいるのだろうか?。
古事記や日本書紀には出てこないかもしれない。
でもね。
日本には森の神は、全国にいた。
名前はない。
人々は、山の低いところ、上り口などに鳥居を構え、ときには社を作って、森の神を敬い、祈りを捧げた。
山は、食べるもの、着るもの、住むためのもの、道具、生活のための一切のものを人々に恵んでくれる聖なる土地だった。
日本の森の神は、どこへいってしまったのだろう?。
いまも、全国の山にいる。
ただね。
人々の心の中から、いなくなってしまった。
いつか、人々の心の中に、山の神や、たくさんの神々が、戻ってくることを、切に祈る。