4年目の初日、12月1日に

 どうしても今日中に呟いておきたいと思いながらもう日付の変更が目の前に迫っている。何かと日付に意味合いを持たせようとするのは僕の悪い癖だけれど、それはこだわりということで。もし公開が12月2日になってしまってたら、僕はひとりで勝手に寝つきが悪くなるのだろう。


 今日は何の日かというと、3年前に今の会社で仕事を始めた日である。


 前の法人を去ってから一か月のインターバルを置き、縁あって現在の会社に身を置くこととなった。月並みな表現でいえば期待と不安に包まれて新たなフィールドに足を踏み入れたわけだが、それまでの法人とは毛並みの違いを如実に感じていた僕は、どちらかといえば期待が上回っていたかもしれない。介護・福祉業界に長く居る僕は、ギョーカイの常識に囚われていることを自認していた。営利法人であり経営陣が介護業界出ではない会社に、自分の新しい切り口を見つけられる糸口を欲していたんだと思う。


 福祉業界は「狭い」とよく言われる。どこどこの誰が今はどこそこで働いている、なんて噂はすぐ耳に入るし、転職の多い業界だから辿ればすぐに知り合いにぶつかる。勿論いい面もあると思う。だけど、逆を言えば業界総じて考え方や進め方があまり変わらないのである。だから働き場所を少々変えたってすぐに適応することができる。介護業界に関して言えば措置時代が長かったことが大きく影響している。介護保険になって市場原理を導入したと言われているけど、親方日の丸の制度下で、全国一律の報酬システムでの事業だから本当の競争は生まれていないのでは、と僕は考えている。もしかしたら、制度やシステムを築いた人たちや業界の上にいる人たちも本当の競争を望んではいないのかも、とさえ思う。そして僕自身もその中にフワフワ浮かんでいることに、ある意味甘んじていたのだと、今では感じることができる。


 「お前のアタマは特養。」上司から叱咤激励されるときによく言われる言葉である。特養育ちの僕にとってあまり気分のいい言葉ではないのだが、意図するところは理解できているつもりである(特養で働いている/働いた経験のある人たちを批判や非難している訳ではないので、誤解のないように)。僕のスタンスが受け身であったり他力本願であったりするところに対して強く指導する意味合いがここには込められている。そう言わせてしまう僕自身に忸怩たる気持ちはいつもあるけれど。


 民間企業、株式会社である今の会社に入社して3年。僕は成長できているのだろうか。


 振り返る間もなく突っ走ってきた気もするけど、確固たる結果を出せていない今を現状としてとらえるならば、僕が組織の一員として必要な人材と成れていないことを口惜しく感ずる。ハッキリ言えば、3年も経って結果を出せない管理運営者なんて、上場企業ならとっくにお払い箱、のはずなのである。そんな輩に弁解の余地はなくリベンジのチャンスを与えられない、のがフツーの、所謂常識ではないだろうか。


 そんな中でも改善し結果を出してくることを期待し後押ししてくれる上司や会社の姿勢には全く頭が下がる。しかしそこに甘え続ける気は毛頭ない。どうにか頭を振り絞り、汗と恥をかきまくってでも結果を出さねばならない。ま、それがフツーなのだが。与えていただいた仕事なのだから。


 僕はこの3年、グルグルグルグル回っていた。与えられた目の前の課題をこなすことにばかり目が行って、自分がホントに期待されていたところの部分に触れずに過ごしてきたかもしれない。それが結果としてスタッフの満足や利用者の満足を増やすことに繋がっていないことが情けなく、また悔しい。何よりも自身が階段を昇れていない、成長できていないことを痛感することほど心苦しいことはない。見た目老け顔なので、学生時代の友人たちから「変わらないな~」と言われるけれど、実は中身が大きく変わっている自分でいたい。


 民間に入って、社福法人の枠ではできない自由さをもって、もっと楽しく魅力的な介護を創りたい。3年前、入社のときにイメージした未来予想図。その実現をあらためて自分のミッションとする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?