東京・出光美術館 〜仙厓のすべて〜
「東京の美術商の店先に掛けてあった、仙厓の達磨図を見た時のショックを今でも鮮やかに覚えている」(ピーター・ドラッカー)
禅画など興味のなかった僕にその魅力を教えてくれたのは、経営学の大御所ピーター・ドラッカーである。
ドラッカーは1959年の初来日以来、長年に渡り日本の水墨画を収集。禅画は1962年の3回目の来日時に「発見」したという。
ドラッカーは禅画について次のように述べている。
「20世紀初頭におけるヨーロッパ表現派の人々があらわそうとしていたもの、すなわち直観的に内側の精神的な体験を視覚化することを、すでに成功していた」
一昨年、東京・丸の内の出光美術館で「仙厓のすべて」と題される展覧会があると聞きつけ、いてもたってもいられず訪問した。
子供が描いたと言っても不思議でないような、シンプルかつユーモラスな作風の仙厓の禅画。されどじっと見入ってしまう魅力があるのはなぜだろう。
会場には細密描写の画も展示してあった。ピカソと同様、細密描写も可能なテクニックを持ち合わせているからの説得力。そして、ドラッカーが喝破したように、テクニック以上に自らの精神性を表現したところに、仙厓の画が僕の心を打ったのだろう。
出光美術館の初代館長・出光佐三(出光興産創業者)は、仙厓の世界的コレクターとしても知られる。
出光美術館のある帝劇ビルは、新築計画のため2025年をもって閉館の予定。
出光美術館の横の帝国劇場は、ミュージカル「エリザベート」の観客でごった返していた。
かつての丸の内の「三菱村」の風情を残す帝劇ビルの佇まいに、一抹の寂しさと世の中の移り変わりの一端を見た。
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