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inagakijunya
読書6 「暴虎の牙」
柚月裕子氏による『孤狼の血』シリーズの3作目であり、シリーズ完結編である。男たちの熱い闘いが終わった。ネタバレあり。
今作では一作目『孤狼の血』よりも以前、ガミさんの若かりし頃から話は始まる。というか前半はガミさんの話。日岡は出てこない。
帯とかからガミさん出てくるとは思っていたが、こんなにガッツリ出てくるとは思わなかった…。やっぱりこのシリーズはガミさん出てこないとね。締まらない感じすらある。
でも実は全体を通して沖という「暴虎」が本作の主役だった。とにかくやばい暴れん坊の沖だが、どこか魅力的な面があり、ガミさんからも一目置かれる。
しかし暴虎の牙は止まることを知らず、その暴力はエスカレートしていってしまう。凄惨なシーンはシリーズで一番多かったように思った。
前半と後半の時間の流れも面白かった。20年経ち、ガミさんから日岡へ、沖と接する人物が変わっていく。それだけでなく、沖をとりまく環境も変わっていた。特に、暴対法の施行は大きかったのだろう。
沖は暴力団ではなくチンピラのヤバイ版みたいな存在ではあったが、暴対法による暴力団のあり方の変化についていけなかった。(沖は20年間刑務所にいたため)
全体としてはとても面白かった。が、やはり後半がちょっと盛り上がりがイマイチだったように思う。話の展開的には仕方なかった気もするけど。
ガミさんのパナマ帽の因縁についてはちょっとなんていうか、ワクワクした。それをずっとかぶってたんだから、ガミさんは虎をかっていたんだろうなと思う。
映画化はとりあえず2作目の『凶犬の眼』をやるようだけど、この3作目も非常に楽しみ。ぜひやってほしい。怖いシーン多そうなのがちょっとネックだけど。
ガミさん、日岡、ありがとう。
★★★★⭐︎