コラム#1. 研究は手段か?
「研究は手段だからね?」
と良く仰る方がおられます。たしかに意図は良くわかりますが、そんなふうに割り切って考えてしまうのはなんとも物侘しい気がします。どうしてでしょうか?きっとそれは、研究という行為が手段であると同時に、大切な価値観になっているからだと思います。
そもそも、世の中にあるものは殆どが手段であるといえます。ものづくりも、そして職業自体でさえも手段ではないか思います。例えば、人々の健康にするという目的を考えてみます。
手段としては、医療や製薬、健康食品の開発、食事指導など、様々ありますよね。さらに、医療を一つ取り挙げても、診療もあれば、病態解明のための基礎研究もあります。確かに研究は、目的の達成のための手段かもしれませんが、目的達成のためにどの手段を選ぶかは、その人がどのように課題に関わりたいかという価値観を反映したものなのです。
単に手段と切り捨てるならば、どの大学や企業に行っても、どのような職業でも良いということになります。つまり、研究は手段であるが、価値観でもあるということです。だから、それを手段だと言われてしまうと、悲しくなるのだと思います。どのような価値観を持って、何を達成するかが重要ではないでしょうか?