論文博士のススメ#2_生涯収入と研究者としての持続性について
論文博士のススメ#1. Introductionでは、博士には課程博士と論文博士の2種類あり、その難易度や取得必要年数、その他の重要なポイントにて比較を行いました。#2では、課程博士と論文博士の生涯収入についてシミュレーションし(グラフに図化しています)、研究の持続性について触れます。シミュレートした条件は以下の4条件です。今後、アカデミアへ就職したケースも比較していきたいと思いますが、今回は企業に就職したケースを比較します。
累積収入(~30歳まで)
恐らく生涯年収は、課程博士<論文博士の場合が多いのではないかと推測しています。博士課程進学者は、3年の課程の中で入学金+学費で200万円ほど支払い、福利厚生がない中で衣食住にさらに300万円~500万円のお金が必要な場合があります。奨学金を取得された方は、さらに500万円程度の借金を背負うことになります。
一方、大手企業に入社した方は、その3年間で1000万円を収入として獲得し、且つ退職金も3年分上乗せ(約200万円)、福利厚生や手当で衣食住をセーブできます。
たった3年で、単純計算で2000万円ほどの差がついてしまうのです。博士課程に進学すると言うことは、企業へ進んだ仮想の自分に対して、2000万円と自分自身の貴重な3年間の時間を喪失するという決断だと言うことです。なお、博士課程進学者は、給料を貰える”学振”がありますが、ここでは考慮しません*。
*博士号進学者には、学振などから給料を得る仕組みがあります。学振とは日本学術振興会特別研究員のことを指し、 月20万円程の給料と研究費の支援が受けられます。学振を得たことが自体がアピールポイントになり、且つ生活費等をまかなえますので、博士号進学者は、是非目指されると良いでしょう。学振については、また別記事で詳しく扱いたいと思います。
さらに、もう少し詳細に、仮想的な研究人生を、金銭面でシミュレーションしていきます。シミュレートした条件は以下の4条件です。今後、アカデミアへ就職したケースも比較していきたいと思いますが、今回は企業に就職したケースを比較します。
①大卒してメーカーに就職
②修士卒してメーカー研究職に就職
③博士号を取得してメーカー研究職に就職
④博士号を取得して、修士卒枠でメーカー研究職に就職
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