違和感-Part5-夢の中の女
【違和感】-Part5-夢の中の女
皆さんはある時ふと
見慣れた光景に違和感を感じた事はありませんか?
今回はわたしから、ある知人の話をいたしましょう。
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男は悪夢にうなされていた ┄
夢の中で女性が襲いかかってきて。
危うく命を奪われそうになるも、すんでの所で目が覚める。
そんな夢を何日も見続けていたそうです。
男は夢の中で女と同居しているらしかった。
恋人ではなく、家族でもなく、ただの同居人。
現実世界で会った事はなかったが、でも何処かで見た事があるような。よく知っている人物のような…。
妙にリアルで実在していてもおかしくないような。不思議な存在感があったそうだ。
美人でスタイルもよく、オシャレでそこそこにモテていて、順風満帆の人生を送っている彼女は、男の理想の女そのものだった。
2人はお互いを干渉する事もなく、程よい距離感を保ち心地よい同居生活を送っていた。
しかし、男は女の事が次第に気になりだしたのです。
化粧はちょっと濃いめだが、スラリと伸びた足にハイヒールを履きこなし。
小さなお尻をこれみよがしに振り、その愛くるしい笑顔を振りまいては男達を魅了する。
「あぁ…俺もこの子みたいに笑顔で毎日を過ごせたらなあ…」
男は女が気になるあまり、徐々に女の事を観察するようになっていった。
どんな生活を送っているのか、どんな男と付き合っているのか。
好きなブランドは?お気に入りの服は?いちばん似合う色のリップは?
夢の中の女は男が干渉してくる事を、とても嫌がりそれが原因で喧嘩をする事もしばしば。
だが、男は干渉を辞めるどころか更に女に執着するようになっていったのです。
ある日、いつものように夢の中に女が出てきた。しかし、いつもの愛くるしい笑顔の彼女とは違い、その顔は涙で濡れてグチャグチャでした。
女は好きな男と別れたと泣き腫らしていたのです。
そして、別れたのはお前のせいだと言って、突然男に襲いかかって来たそうです。
男は女の事をしつこく嗅ぎ回ってはいたが、恋路の邪魔をした事は一度もなかった。
男は訳がわからなく、ただ必死に抵抗するしかなかった。
しかし、女とは思えない程の強い力で首を絞められ、意識を失いそうになる。
(このままじゃヤバイ起きないと!)
危うい所で目を覚まし、男は胸を撫で下ろした。
「一体どうしたって言うんだ?俺が何をしたって言うんだ?」
そんな夢を見た翌朝、男が家の片付けをしていると。
暫く使っていなかった物置の中から、どこかで見たような女物の服や化粧品が出てきました。
何でこんな物が?と思ったが自分のものでは無いし。
でも、やはりどこか見覚えがあるように感じる。
前に付き合ってた彼女の物かな?とも思ったが、何となく気味が悪いし、使う事もないのですぐに捨ててしまったそうです。
そしてその日の夜、男が寝ていると夢に女が出てきて、男が捨てた服や化粧品の事で激怒し、ロープで首を絞めてきたそうだ。
意識を失いそうになり、又危ういところで目を覚ますと、なんと男の首にロープがかかっていた。
「おい…嘘だろなんでロープが。それにあの服や化粧品…夢が現実になっているって言うのか?」
昼間に捨てた女物の服や化粧品は、夢の中の女のものだったのです。
その日から夢の中で女に手首を切られれば、目が覚めると同じ箇所に傷ができ。
薬を無理やりに飲まされそうになれば、目が覚めると薬の瓶が落ちていたのだそうです。
だんだんと眠るのが恐ろしくなり、男は疲弊していきました。
そうしてある日、男が髭を剃ろうと鏡をみると、なんと夢の中の女が鏡の向こうで男を睨みつけていたのです。
「お前なんて消えてしまえ!お前さえ居なければ!」
そう言って女は剃刀を男の首に当てました。
男は必死に抵抗し、難を逃れましたが。
女は毎晩夢の中どころか、終いには現実世界でも襲ってくるようになったのです。
眠れば女に襲われ、鏡やガラス、水に姿が写れば女に襲われる。
そんな日々を過ごすうち、男はろくに眠ることができなくなり。鏡や姿の写るものは何も見れなくなりました。
部屋はどこもかしこも締め切って、真っ暗な中で過ごし、どんどん衰弱していき。
ブツブツとうわ言ばかり言うようになってしまいました。
「あいつが……あの女が俺を殺しにくるんだ…。」
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いかがでしたか?
男自身は気付いてはいないが、彼は解離性同一性障害でした。
そう、夢の中に現れる女は男の第二の人格だったのです。
男が女に関心を示し始めたために、本当は自信が男性である事を自覚し、辛さのあまり自殺しようとしていたのです。
女は何度も自殺を試みるが、まだ生きていたい第一人格である男に邪魔をされ、未遂のままに終わっていたのでした。
この攻防に終わりはくるのでしょうか。
またどちらが勝つのでしょうか?
今夜も彼は悪夢にうなされている事でしょう。
あなたは自分の夢の中に登場する人物が、どんな人間なのか知っていますか?
もしかしたら第二の人格が、あなたに何かを伝えようとしているのかもしれませんよ。
怖い夢を見ないように気を付けてくださいね。
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