【助産学生必見】母乳を増やすためのケア
はじめに
皆さんこんばんは、くるみです。
今日は助産師、助産学生さん向けの記事になりますが、
興味のあるママたちにも楽しめる内容になっています。
テーマは、”母乳分泌促進のケア”です。
母乳分泌のキホン
まず、すごく基本的な内容になりますが、
どうやって母乳が分泌されてくるかを復習していこうと思います。
産後に母乳が出てくるのは、ホルモンの指令を受けるからです。
そのホルモンとは主に、"プロラクチン"と”オキシトシン”に分けられます。
プロラクチンは、母乳を作る働きをする。
オキシトシンは、母乳を外に出す働きをする。
すごく端的に言うと、このような区別になります。
そして、ホルモンの働きを受けながら、母乳分泌が進んでくる現象は
"進行性変化"と呼ばれています。
母乳に関するホルモン
1.プロラクチン
プロラクチンは妊娠中に増加しますが、実は産後自然と減少していきます。
減少してしまうと、母乳を作る働きもどんどん下がっていってしまうため、
プロラクチンをできるだけ増やす必要があります。
そこでどうするかというと、
授乳をして乳頭に吸啜刺激を与える、つまり
赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう刺激を与えることで、
脳からプロラクチンが分泌されていきます。
しかも、1回の吸啜刺激では3時間ほどで、
またプロラクチンが減少してしまうので、
3時間以内の授乳が必要になります。
2.オキシトシン
オキシトシンは、"愛情ホルモン"などと呼ばれたりしますが、
お母さんが赤ちゃんをかわいいと思ったり、抱っこしたりすることで
しっかり愛着を形成すると分泌されるホルモンになります。
実は、授乳という行動を通して愛着も増していきますから、
頻回授乳をすることでオキシトシンの分泌も促せるという事になります。
人間のカラダには母乳を出すためのこのようなシステムが
元々備わってはいるんですが、
人によって母乳が出やすい人、母乳が出にくい人、がいます。
それは体質だったり、お産経過の影響だったり、様々な要因で
その違いが出てきてしまいます。
臨床で行う乳汁分泌促進のケア
乳汁分泌のキホンが理解できたところで、
中々母乳が出ないけど、母乳を増やしたい場合のケアを
紹介していきたいと思います。
1.頻回授乳をする
プロラクチンを増やすために、"頻回授乳"が必要になります。
頻回授乳とは、授乳間隔を3時間空けず、こまめに授乳することです。
目安としては、1日10回程度になります。
基本的には、赤ちゃんが欲しがる時に、欲しがるだけあげてOKですが、
ママが疲れたときは、ミルクを使って授乳間隔を少し空けていきましょう。
ママが無理なく母乳育児を継続できることが1番です。
2.赤ちゃんが適切な吸い方をできるようにする
プロラクチンを増やすための"乳頭刺激"は、
赤ちゃんが適切な吸い方をしているときに得られるものです。
乳頭をしっかり含ませられていない"浅吸い"や、
赤ちゃんが寝ぼけながら吸っている時は、
"乳頭刺激"がしっかり得られない場合があります。
助産師と一緒に、授乳方法をしっかりマスターすることが大切です。
3.搾乳や乳頭マッサージで乳頭刺激を与える
しかし、赤ちゃんが生まれたての時や、具合が悪い時、
ママの乳頭と赤ちゃんのお口のサイズがマッチしていない時などは、
直接授乳での"乳頭刺激"を得るのが難しい時があります。
そんな時は、搾乳や乳頭マッサージで乳頭刺激を与えていきます。
赤ちゃんに吸われなくても、人工的に"乳頭刺激"を与えることで、
プロラクチンを増やせるようにしていきます。
搾乳方法はいろいろな選択肢があるので、必要性や方法を
助産師と相談しながら決めていきましょう。
4.ママの循環を良くする
母乳はママの血液からできています。
そのため、ママの血の巡りを良くする事はとても大事になります。
特に、お胸回り、上半身の流れを良くした方が良いです。
まず、慣れない授乳をしていると肩や首が凝りやすくなります。
この凝りによる筋肉のこわばりでも、循環がわるくなります。
そのため、シャワーに入った際に首や肩、背中をゆっくり温めたり、
定期的にストレッチをしていくことをおススメします。
また、産後はむくみやすい方が多いので、
足などに強く浮腫みが出ている場合は、
着圧ストッキングを履いたり、フットバスをするなどして
全身の循環を良くするのもいいでしょう。
そして、水分摂取はこまめに積極的に行います。
1日1.5~2L程度は飲んだ方が良いので、授乳の度に
ママも水分摂取をしていくのがオススメです。
5.ママができるだけ赤ちゃんと一緒に過ごす
最後に、オキシトシンの分泌を促すために、
ママが赤ちゃんを可愛い、愛しいと思いながら
たくさん触れ合うことが大切になります。
そのためには、ママが笑顔で過ごせること。これが大事です。
産後のママは、カラダの変化が大きく、寝る時間も中々取れないので
疲れてしまう日もあります。
そんな時は助産師や家族、周りの人たちを頼りながら
うまくお休みしていくことが必要です。
お休みしたうえで、また笑顔で赤ちゃんと過ごせる時間を持つこと
出来る限り母児同室で過ごすと良いでしょう。
最後に
母乳は赤ちゃんにとって、とってもいい効果がたくさんありますが、
ママが無理をしてまでやるものではないと思っています。
ママが笑顔で過ごしながら、赤ちゃんと一緒に
楽しく母乳育児をしていくヒントになればいいなと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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