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雲隠れ蜘蛛吉その伍

【おかめちゃんとおさめちゃん】

登場人物

🐢おかめちゃん
亀と人間のハイブリッド
亀の名残りは、
甲羅とゆっくりの歩みのみ
ハイソサエティにみえるが
じつはおとぼけな二十歳


🐬おさめちゃん
サメと人間のハイブリッド
サメの名残りは、
鋭い歯とへの字口
そしてサメ肌
いちご大福が
大好きな自他共に認める
おとぼけな二十歳


前回までのお話↓

糸屋の営む蜘蛛吉は
鮫治に頼まれ 
呉服屋の三代目与吉の
身辺を探る
そして 夕刻……
糸屋の蜘蛛吉に
会いに、鮫治が
やってくる


🐢(鮫治)
「おう 蜘蛛吉どうだった」


🐬(蜘蛛吉)
「おう 爺さん
 呉服屋の三代目 店を
 早々に抜け出して どこ
 行ったと思う?」


🐢(鮫治)
 「女のところか…」


🐬(蜘蛛吉)
「なんだよ 知ってたのかよ
 俺が聞いたのは 米屋の娘に
 好いた男がいて…
 と聞いてたが
 どうやら逆だな……」


🐢(鮫治)「相手は?」


🐬(蜘蛛吉)
 「さよ という名で
  亀屋という
  旅籠の女中だよ
  どうやら仲間が
  もう一人いてね
  そいつとさよが 
  何やらこそこそ
  話してるんだよ」


🐢(鮫治)「聞き取れたか?」


🐬(蜘蛛吉)
 「あたりめえよー
  俺の技(ワザ)に
  かかっちゃ地獄の鬼の話まで
  聞きとってやらあー」


❇説明しよう!
蜘蛛吉は 糸を操り
糸電話のように相手の
話を盗み聞きできるのだ!


…☆☆……ちょっと待て☆…

🐢「おさめちゃん 
  良いアイデアだけどね
  少々無理がないかい?」


🐬「創造はねー
  不可能を可能に
  するんだよ 
  おかめちゃん」


🐢「妙に説得力があるねえ♪」


🐬「テヘーー(〃∇〃)
    ありがとよ」



……☆☆…もと戻る☆☆…



🐢(鮫治)「どんな話だったんだ?」


🐬(蜘蛛吉)
  「米屋の娘 およねは
   確かに旅籠の部屋か
  その近くに隠されているよ 
  でも おかしいのは 
  だまされているのが 
  もう一人」


🐢(鮫治)「呉服屋の与吉か……」


🐬(蜘蛛吉)
「爺さん相変わらず鋭いねえ
 与吉はさよと
 駆け落ちするつもりだが
 与吉は三代目といえども
 自由になる金はねえ 
 そこで およねを
 誘拐して
 米屋に納めた結納の仕度金を
 ぶんどって二人で
 逃げる企てをした」


🐢(鮫治)
「しかし そこにはもうひとつ
  裏がありってとこか」 

  

🐬(蜘蛛吉)
「そうなんだよ
 女中のさよが本当に
 惚れているのは 
 そのもう一人の
  男のようだぜ。
 さよは与吉と駆け落ちする
 と見せかけて 金が入れば
 さよは その別の男と
 ずらかろうって手筈だな……
 爺さん その男 どうやら
 浪人のようだが どうする
 これ以上深入りするのかい? 」


🐢(鮫治)
「悪巧みのやつらは いずれ
 裁きに委ねるとしても
 まず 米屋の娘は
   助けねえとな」


🐬(蜘蛛吉)
 「しかし 宿場だろ
  夜といっても 
  人の出入りは
  あるだろうし 
  いつものように
  夜に動き回るって
  わけにも
  いかねえようだぜ」


🐢(鮫治)
 「そこを利用するのよ
  お前と俺は 旅籠に部屋を
  借りる手筈をして
  そこで およねを
  助け出すしかねえな 」


🐬(蜘蛛吉)
 「相手は 
  刀持ちの浪人かあー
  あーあ 
  また厄介なことに
  なりそうだなー」 


🐢(鮫治)
 「とりあえず 
  旅の途中の
  身なりが必要だな
  それじゃあ
  着替えてくる
  おめえも仕度しろ」


🐬(蜘蛛吉)
 「おいおいちょっと
  待ってくれよ
  さっき けえったばかりだぜ
  ちょっと 休ませてくれよお 」 


🐢(鮫治)
「そうしてやりたいところだが
  娘のことがある 早々に
  出ねえとな…とりあえず
  用意でき次第すぐに来る
  夕七つだ
  そのときまでに
  仕度しておけ、いいな」 


🐬(蜘蛛吉)
「ちぇっ 人使いの荒い
      爺さんだぜ」


……☆☆……☆


🐢「いよいよ佳境だねー」


🐬「何だかありきたりな
  時代劇の感じもするけど
  じっちゃんは大活躍だし
  喜ぶよきっと」



さてさて物語の結末はいかに!


~つづく~


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