![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/171792038/rectangle_large_type_2_f7c49f07278ccf66a4a177d98c5e9dfe.png?width=1200)
雲隠れ蜘蛛吉その伍
【おかめちゃんとおさめちゃん】
登場人物
🐢おかめちゃん
亀と人間のハイブリッド
亀の名残りは、
甲羅とゆっくりの歩みのみ
ハイソサエティにみえるが
じつはおとぼけな二十歳
🐬おさめちゃん
サメと人間のハイブリッド
サメの名残りは、
鋭い歯とへの字口
そしてサメ肌
いちご大福が
大好きな自他共に認める
おとぼけな二十歳
前回までのお話↓
糸屋の営む蜘蛛吉は
鮫治に頼まれ
呉服屋の三代目与吉の
身辺を探る
そして 夕刻……
糸屋の蜘蛛吉に
会いに、鮫治が
やってくる
🐢(鮫治)
「おう 蜘蛛吉どうだった」
🐬(蜘蛛吉)
「おう 爺さん
呉服屋の三代目 店を
早々に抜け出して どこ
行ったと思う?」
🐢(鮫治)
「女のところか…」
🐬(蜘蛛吉)
「なんだよ 知ってたのかよ
俺が聞いたのは 米屋の娘に
好いた男がいて…
と聞いてたが
どうやら逆だな……」
🐢(鮫治)「相手は?」
🐬(蜘蛛吉)
「さよ という名で
亀屋という
旅籠の女中だよ
どうやら仲間が
もう一人いてね
そいつとさよが
何やらこそこそ
話してるんだよ」
🐢(鮫治)「聞き取れたか?」
🐬(蜘蛛吉)
「あたりめえよー
俺の技(ワザ)に
かかっちゃ地獄の鬼の話まで
聞きとってやらあー」
❇説明しよう!
蜘蛛吉は 糸を操り
糸電話のように相手の
話を盗み聞きできるのだ!
…☆☆……ちょっと待て☆…
🐢「おさめちゃん
良いアイデアだけどね
少々無理がないかい?」
🐬「創造はねー
不可能を可能に
するんだよ
おかめちゃん」
🐢「妙に説得力があるねえ♪」
🐬「テヘーー(〃∇〃)
ありがとよ」
……☆☆…もと戻る☆☆…
🐢(鮫治)「どんな話だったんだ?」
🐬(蜘蛛吉)
「米屋の娘 およねは
確かに旅籠の部屋か
その近くに隠されているよ
でも おかしいのは
だまされているのが
もう一人」
🐢(鮫治)「呉服屋の与吉か……」
🐬(蜘蛛吉)
「爺さん相変わらず鋭いねえ
与吉はさよと
駆け落ちするつもりだが
与吉は三代目といえども
自由になる金はねえ
そこで およねを
誘拐して
米屋に納めた結納の仕度金を
ぶんどって二人で
逃げる企てをした」
🐢(鮫治)
「しかし そこにはもうひとつ
裏がありってとこか」
🐬(蜘蛛吉)
「そうなんだよ
女中のさよが本当に
惚れているのは
そのもう一人の
男のようだぜ。
さよは与吉と駆け落ちする
と見せかけて 金が入れば
さよは その別の男と
ずらかろうって手筈だな……
爺さん その男 どうやら
浪人のようだが どうする
これ以上深入りするのかい? 」
🐢(鮫治)
「悪巧みのやつらは いずれ
裁きに委ねるとしても
まず 米屋の娘は
助けねえとな」
🐬(蜘蛛吉)
「しかし 宿場だろ
夜といっても
人の出入りは
あるだろうし
いつものように
夜に動き回るって
わけにも
いかねえようだぜ」
🐢(鮫治)
「そこを利用するのよ
お前と俺は 旅籠に部屋を
借りる手筈をして
そこで およねを
助け出すしかねえな 」
🐬(蜘蛛吉)
「相手は
刀持ちの浪人かあー
あーあ
また厄介なことに
なりそうだなー」
🐢(鮫治)
「とりあえず
旅の途中の
身なりが必要だな
それじゃあ
着替えてくる
おめえも仕度しろ」
🐬(蜘蛛吉)
「おいおいちょっと
待ってくれよ
さっき けえったばかりだぜ
ちょっと 休ませてくれよお 」
🐢(鮫治)
「そうしてやりたいところだが
娘のことがある 早々に
出ねえとな…とりあえず
用意でき次第すぐに来る
夕七つだ
そのときまでに
仕度しておけ、いいな」
🐬(蜘蛛吉)
「ちぇっ 人使いの荒い
爺さんだぜ」
……☆☆……☆
🐢「いよいよ佳境だねー」
🐬「何だかありきたりな
時代劇の感じもするけど
じっちゃんは大活躍だし
喜ぶよきっと」
さてさて物語の結末はいかに!
~つづく~