上書き保存/ 誕生日
稽留流産を経て体型変化に悩み、ダイエットに勤しんだあの頃。思っていたことを全てまとめられるほどメンタルが追いつかなかった日々。ゆるゆると時は経ち、あれから一年。
今日は一年前に流産を宣告された私のバースデーであった。
ダイエットのリスタートを掲げた新年。お寿司を食べたりして調子よく過ごしていた私であったが、やたら眠い、体温が高いというわけでソワソワして新年を過ごした。年末年始のカロリー祭りを経て、パーソナルの予約を入れようとしたが、万一妊娠していたら筋肉バカにやたらキツいスクワットなどをやらされかねない。。と予約を見送り、検査薬で少し早めのフライング検査をしたところご懐妊。かくしてわたしのダイエット2022はあっさりというか始まるまえに幕を閉じたのだった。筋肉バカ(と心の中で呼んでいるトレーナー)には産後ダイエットを約束し晴れて私は二度目のマタニティライフをスタートさせたのだった。
それから今に至るまでにどきどきしたりヒヤヒヤしたりすることもあったけれど私は本日36歳になると同時に臨月に突入した。
一年前に旦那と食べた老舗中華屋さんは個室だったので、検診の結果を伝えながら泣いた。旦那は特に取り乱したりしなかったし、淡々と事実を受け止めながらも、流産による私の身体のダメージは自分にはわからないことだしそこについては心配しているようなことを言っていた気がする。泣いても笑っても流産してしまうし、何にもできないから穏やかに過ごせるようにしようとかそんなことを言いながら火鍋をたべた。
旦那はその後。稽留流産のあと3日後くらいに引っ越しをするとき、私にホテルステイをさせ夜通し片付けと搬出を全て引き受けてくれた。引っ越しをしてからも数日は片付けのために前のアパートに出かけていった。旦那は私にはお前は戦力外だよ!とか疲れたとかお前が汚した個所を掃除するの大変だったんだぞと散々文句を言ったが、流産したときに辛かった時間を過ごした家に行きたくなかった私に一度も一緒にこい!とは言わなかった。(あれから一度も前の家の近くには近寄ってない)
去年と同じワンピースを着て、今日は同時期に赤ちゃんが生まれる先輩夫婦とディナーに出かけた。ダイエットも出来なかった私は妊娠してから10キロ増量した。ワンピースも当然去年とはまるで違うシルエット。貫禄ありすぎる自分に嫌気がさす。
それでも、今日は朝から義母と義妹からジェラピケのマタニティ用パジャマが届いたり、大学時代の寮の後輩からスタバのギフトカード、同僚からドライフルーツ。先輩からノンアルの高そうな飲み物。
そして、何より去年一番失いたくなかった命が私の腹の中にいる。
もちろん、一年前にいたアナタのことも忘れてはいない。短い妊娠生活の中で、命の尊さと、幸せと裏返しにある悲しみの存在、他者への想像力の大切さ、そして母になる覚悟を身をもって私に教えてくれたアナタを忘れはしない。今お腹にいる子はアナタとは別の子。生まれ変わったんだとか、戻ってきてくれたんだとかいうことはアナタにもこの子にも荷が重いと思うし違うと思う。
この子の人生はこの子のもの。
だけど予定日がアナタとお別れした日。いつか大きくなったらアナタのことを産まれてくる娘にも話したい。アナタの教えてくれたことを伝えたい。
そしてアナタと中にいるあの子の二人の存在が今の私を作ってることも。
かくして。悲しみのバースデーは上書きされ、私はまたひとつ歳をとったのだ。