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【エッセイ】13. 100日後に福祉でITやる犬
13.おじいわん支援員と、犬
LP制作は現在実験段階で、まずはこちらのA型事業所でやっているネットショップ2店舗の宣伝LPを作ることになった。
この制作するLPに、さらに「画像生成AI」と、「文章生成AI」を取り入れ、精度の高いものに仕上げていくことで、世間の注目を集め、依頼を取るという狙いだ。
おじいわん支援員は、IT企業に長く勤めた経験のある、本物のプロだ。
IT企業というのは、非常に移り変わりの早い業界で、並大抵の知識では食っていけないらしいが、おじいわん支援員はこの道で30年以上、生活できている。
只者ではない。
そんなおじいわん支援員が、なぜこんな「就労継続支援A型事業所」という場所に来てくれたのか、この事業所の利用者ですら、本当に不思議そうだった。
「なんで、ここで働こうと思ったんですか」
我は、また不躾な質問をしてしまった。
「んー?暇だったからかなぁ」
おじいわん支援員も、いつも通りといった様子だった。
「でも、ここの生活は楽しいよ。」
おじいわん支援員は、そう言ってくれた。
「あんたら見てて飽きないし。面白いよ」
我は、なんとなく少し安心したような、ホッとしたような不思議な気持ちになった。
ちょうど、窓を開けて換気をしていたからか、なんだか良い風が入ってきた時の、何気ない会話だった。
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2025.1.22(水)
ponogarden