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『服と人 −服飾偉人伝』 番外編①

日本ファションブランドは、この人・このブランドを無くしては語れない。
そんな偉人の生き方を通じて、ファッションだけでなく生きるヒントを伝えたい! その想いで、YOUTUBE動画を制作しているのが「服飾偉人伝」です。動画を撮る上で制作した原稿をこちらに公開していきます。「読む服飾偉人伝」として楽しんでいただければ幸いです。
動画で見たい方は、こちらから再生できます。

さて今回は番外編、ZOZOTOWN創設者の前澤友作 編です。
デジタルシフトが遅れたファッション事業者において、2020年は様々な課題に直面した年と言えたでしょう。店舗を中心にしたリアルなコミュニケーションのみに注力し、運営してきた会社は危機的状況に追い込まれ淘汰され、逆にSNSでのコミュニケーションを強化し、オンライン上での集客を大事にしてきた会社は、店舗集客の冷え込みの影響を受けにくかっただろう。

しかしオンラインで服を買える世界は今でこそ当たり前だが、昔はそうでなかったのだ。「試着が出来ないのに売れるはずがない」「オンライン上に出店するだけ無駄だ」などと言われながらも挑戦してきた人がいる。その上で今の当たり前は成り立っているのだ。だからこそ今、前澤友作氏の人生から学べる事をお伝えしたかった!私たちなりに追いかけたストーリーです。

ちなみに8回目の主役はこの方です、こちらからどうぞ。↓



01.言葉

TOYO経済_前澤

前澤友作とは、真っ直ぐな人間である。理屈や固定概念に流されることなく、情熱に従って人生を切り開いてきた。そんな彼の言葉をご紹介したい。

”起業を考えるということは、人や社会のことを考えるということ”

”お金がないから好きなことができない?それなら、好きなことを仕事にしたらいいかも”

”採用時に、人は何のために働くのか、それを必ず問いかけ考えてもらいます。深く考えれば行き着くところはひとつのはずです”

会社はバンド、社員はメンバー。僕は創業以来ずっとそういう考え方です。


02.生い立ち

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前澤友作は1975年11月22日、千葉県 鎌ケ谷市に生まれる。サラリーマンで経理・財務担当の父親と音楽好きの母親の元、2人兄弟の長男として教育熱心に育てられた。

人と同じことをして競い合うのが嫌いで、競い合う必要のない別の視点を探したり、愛着のある物に関しては誰よりも深堀りするような子供だったという。ビックリマンチョコやキン肉マン消しゴムなど、当時の子供たちの中で流行ったものは、誰よりも集めて周りを驚かせた。当時を振り返る一説がある。

”カブトムシ採集も得意でいっぱい捕ってきては、級友に売りさばいてみたり(笑)。僕は多分、質量共にコレクションをするのが目的なのではなく、それを見た友達に「なんでお前そんなの持ってるわけ?」と驚かれて喜びを感じるんですよね。”
引用元:
http://www.highflyers.nu/hf/maezawa1/

そんな友作少年がファッションに興味を持つきっかけになったのが、音楽好きの母親の存在。アルフィー好きの母親に影響され、音楽という背景からファッションに興味を持つようになり、小学4年生の時には古着のリーバイスのジーンズを履き、中学時代には帰宅部に徹しギターを弾きはじめたという。

03.ちょい悪時代

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画像引用:http://www.highflyers.nu/hf/maezawa1/

1991年、前澤友作は早稲田大学にエスカレーター式で進学できる早稲田実業高校へ進学する。教育熱心な両親のもと様々な習い事に通った彼は、成績も優秀で学校にも皆勤賞で通っていたという。高校2年目、そんな真面目だった友作青年の心に変化が訪れる。

毎日千葉から東京まで1時間半をかけて通学する、その電車で目にするサラリーマンの表情から、どこまでも続く競争社会を目の当たりにし嫌気がさしたのだ。

”電車で通勤するサラリーマンの表情が疲れているのを見て、学校で勉強する将来が暗い”

その気づきから、学業よりもバンド活動に勤しむようになり、週2日だけ学校に行き、残りは建築現場でアルバイトをしながらバンドの活動資金を稼ぐ日々に明け暮れていたという。

高校時代を音楽に捧げた前澤友作は、出席日数ギリギリで高校を卒業する。
もちろんエスカレーター式で早稲田大学には進学せず、弟とともに所属するハードコアバンド『Switch Style』の活動に専念する道を選択するのだ。

04.転機

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高校卒業後、前澤友作はアルバイトで貯めたお金を元手に半年間、アメリカ・サンタモニカへ音楽遊学をする。当初”音楽留学”という名目でアメリカに渡ったものの、何も計画はなく当時の彼女の元に転がり込み、ほとんどを遊んで過ごしていたという。

しかし、頻繁に通うライブハウスで運命の出会いをするのだ。バンドメンバーが会場で、レコードやTシャツなどのグッズを販売しているところを目の当たりにし、日本では入手が難しいであろうグッズたちの希少性に着目するのだ。

帰国後、このお土産を自身のライブで発売すると大好評。ビジネス展開する事となる。高校時代より個人的にレコードを輸入していた彼は、早速希少なレコードを海外から仕入れ、A4用紙にカタログのようにラインナップしたのだ。電話やFAXで受注を受けた、このレコード通販は瞬く間にヒットし、音楽活動の傍でバンドメンバーや友人と共に、事業として展開していく。

1998年バンドはメジャーデビューを果たし、音楽業界では知られた存在になっていくが、並行して通販ビジネスも軌道に乗り始め、会社を設立。『スタート・トゥデイ』。社名の由来は、大好きなアメリカのロックバンド「ゴリラ・ビスケッツ」の曲名からつけられたもので、今日から新しい1日が始まるかのようなポジティブな響きを残す。

2001年9月11日NYで同時多発テロが起こる。この出来事が理念を持たずに、ただ好きな事だけをしてきた前澤友作に、電流を流した。

”自分はそもそも何のために何をしているのか……。少しでも社会のために、世界のためになることをやっていきたい”

この出来事をきっかけに音楽を止めてビジネスに専念する事を決める、新たなスタートのために企業理念を掲げた。それが。

“世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。”

05.好きこそ物の上手なれ

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アナログからデジタルに移行し、ファッションまで通販ビジネスの幅を広げた前澤友作は、まず初めに『EPROZE』というオンラインのショップを立ち上げる。その後も自分の好きなブランドを雨の日も雪の日も買いに行けるようにしたいという想いで、様々なコンセプトのショップをWEB上に出店していった。それを連ねた一つの街として生まれたのが、『ZOZOTOWN』だったのだ。

webのシステムやデザイン、経理・人事も、自分で管理しながら、「心底そのブランドが好き」というブランドさんに本心を伝えるために、自ら営業に走ったという。ネット通販という概念がまだ確立していない時代、飛び込み営業での門前払いは当たり前、断られても何度も足を運び情熱を伝え、靴底をすり減らしたという。

この営業活動の中で大逆転が起こる。
「どれぐらい好きか、どんな人たちに着て欲しいと考えているのか」という熱意が伝わったのが、ユナイテッドアローズの社長だった。
2005年ユナイテッドアローズの出店をきっかけに、今まで首を縦に降らなかった企業は、後を追うように出店し、ZOZOTOWNは日本を代表するファッションECに成長していくのだ。

06.夢の軌跡

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画像引用:http://www.highflyers.nu/hf/maezawa1/

2004年、わずか10人程度の社員で運営し始めたZOZOTOWNは、2007年にはマザーズ市場に上場するまでになり、快進撃を魅せる。会社設立20周年となる2018年には「株式会社ZOZO」へ社名を変更し、900名を超える従業員の会社にまで成長したのだ。

前澤友作は、オンラインでファッションを売るのが難しいと言われていた時代から、サイズ計測のためのZOZOスーツや、コーディネート提案からの販売を可能にしたWEARなど、業界の課題に対し常に挑戦してきた。

その挑戦に終わりの日が訪れる。2019年9月Yahoo!・ソフトバンクグループの傘下に入り、愛情を持って育てたZOZOTOWNをもっと大きくするために社長を退く決断をするのだ。

ファッションが好きな人だけでなく、ファッションに興味がない人にこそ好きになって貰いたい!そんな熱意で会社を手放した。最後の日の心境をこう語る。

9月12日、発表当日。
「朝一の役員会から一つ一つやるべきことをこなしていく。そのどれもがもう最後なんだ、この会議室に入るのも、この椅子に座るのも、、、そう思うと急に感傷的になる。実家の六畳一間の部屋で始めたCD販売から夢のような21年間、あれもこれも走馬灯のように頭を巡る。スイッチがそっちに入らないようにと、目の前の業務に集中する。8:30の適時開示後すぐにネット上もテレビの中も騒然となっている。まあそりゃそうだ。けど僕の心は思った以上に穏やかだ。実感がないせいなのか、やり切った安堵感なのか、よく分からない。一度帰宅し、記者会見用の衣装に着替える。21年前に創業したスタートトゥデイ社(後にZOZO社に社名変更)と、未来への想いを乗せた、Let's Start Todayと大きく胸に書かれたTシャツを着て。さあ記者会見会場に向かおう。」

引用:noteより(https://note.com/ysk2020/)

07.前澤友作とは?

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画像引用:http://www.highflyers.nu/hf/maezawa1/

夢の街の創造主
ZOZOTOWNとは、紛れもなく夢の街である。リアル店舗しかない時代、好きなブランドの服は誰でも買えるものではなかった。そんな時代にそれを可能にし、ブランド側は地方に出店するよりも簡単に、地方に住む人と接点を得た。

そしてストリートからモード、アメカジなど多種多様のファッションが街中に溢れることで、まだ出会ったことのないブランド体験をすることができるようなった。それはボーイッシュ系女子やフェミニン系男子など、性別の垣根を超えて、本当に自分らしくいられるスタイルに出会える街になったのだ。

平和主義のチャンレンジャー
前澤友作は、幼い頃からずっと平和主義な人である。競争をしたくないから、人と違う道を探し全力で夢に向かって生きてきた。そして9.11の出来事をきっかけに社会貢献という志を得て、ファッション業界を明るく照らしたのだ。

そしてZOZOを退任後、21年前と同じく『株式会社スタートトゥデイ』という社名で新しい一歩を歩み始めた。前澤友作が新たにチャンレンジしているのは本当の意味での世界平和なのかも知れない。戦争やテロなどの争いの背景には、お金の存在がある。

お金によって生まれる弊害が無くなれば、争う必要もなく、自分の未来を自分で選べる人はたくさん生まれるだろう。そのためのプロジェクトとして、”前澤ひとり親 応援基金”などの慈善事業を進めている。

オンラインで作った夢の街を今度はリアルな世界にするため、今日もチャレンジを続けていくのだ。

『世界中をカッコよく、世界中を笑顔にするために』
Let's Start Today


あとがき

激動の年となった2020年を越えて2021年、2度目「緊急事態宣言」が出される状況下に置いて”以前の生活に戻ること”よりも”変化に順応していくこと”が試されれている時代が来ているのだと感じます。

しかしどんな状況であれ、自分の人生を切り開くのは己自身なのだという強いメッセージを、前澤友作の生き方は教えてくれています。エリート高校に入学後、親の期待に答える人生ではなく音楽という自分の生き方をちゃんと貫き通した。
「口(くち)」に「十(じゅう)」と書いて「叶う」という字が出来ているように、好きなことや叶えたいことは情熱を持って言葉にしながら行動していく強さが必要なのだ。

誰に何を言われたって気にしなくていい。
子供の頃のように無邪気に、自分のやりたい事に熱中する…その先に必ず、あなたらしい人生のレールは繋がっているのだから。


■服飾偉人伝VOL.1
https://youtu.be/zRz76xOatXQ​​

■服飾偉人伝VOL.2
https://youtu.be/bbp3UYKHZAk​​

■服飾偉人伝VOL.3
https://youtu.be/wJovtKYQNFQ​​

■服飾偉人伝VOL.4
https://youtu.be/DKqZy4Kuswk​​

■服飾偉人伝VOL.5
https://youtu.be/zf5BW5vYvrE​​

■服飾偉人伝VOL.6
https://youtu.be/u1fL0N7vwKU​​

■服飾偉人伝VOL.7
https://youtu.be/eiQOrAoA608​​

■服飾偉人伝VOL. 8
https://youtu.be/HUgBDHGX7sY


■前澤友作さんをもっと知る

・YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCO3g...​

・NOTE
https://note.com/ysk2020​

■ZOZOTOWN
https://zozo.jp​

■関連書籍
・今、ZOZOTOWNは何を考えているのか?
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・2030年アパレルの未来: 日本企業が半分になる日
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それでは、次回のYouTubeでお会いしましょう♪


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