セブ島 語学留学 Day28
台風Ruby(ルビー)は、かなり大型な台風ということで、今日のレベルテストも授業もすべて中止になった。前年(2013.11)に超大型台風30号(ハイエン/ヨランダ)にセブ島の北東の島、レイテ島が蹂躙(じゅうりん)され、倒木や家が破壊されインフラもメチャメチャにされた記憶も新しいことから、レベルテスト中止の決定もかなり早かったと思われる。フィリピンは台風の発生源に近いので、その破壊力は時には牙(きば)を剥(む)いて人々に襲いかかることもあるのだ。
”台風が過ぎ去るまでは校内からは絶対に外に出ないように!!”
校内放送が流れる中、ほとんどの生徒たちが自室で”待機または自習”という事になった。不謹慎(ふきんしん)ではあるが・・オレは自室の窓ガラス越しに外を見ながら気持ちがワクワクしていた。空を覆(おお)い尽くさんばかりのグレーの雲は、物凄い勢いで流れていた。
もしかしたら・・スゲーものが見れるかも!?
数時間が経過して・・
セブ島に直撃するかもしれないと心配された台風Ruby(ルビー)は、進路がそれて直撃は免(まぬが)れた!と校内放送で流れた。とりあえずひと安心だ!ホッ!
それでも休校は取り消されることはなく、今日一日、各自で自習するか!? 自由に過ごすか!? という事になった。校内放送のスピーカーからは・・
”外出の際は充分に気をつけて下さい!”
外出OK!とも受け取れる言葉がアナウンスされていた。丁度、自室を出てカフェテリアで、バッチメイト達と・・あーだ!こーだ!と談笑中だったので、みんなで顔を見合わせヤッター!って感じだった。
昼ごはんを食べてから、シューさん、りょうくん、みゆきちゃん、ヒカリちゃん、オレの5人でColon(コロン)という町まで行ってみよう!って話しになって出掛けた。その時は、舞い上がっていて気にもしなかったんだけど・・翌日の授業で先生にColon(コロン)に行ったと言ったら・・
『あの辺は、危ないから行っちゃダメでしょ!オリエンテーリングの時に話したでしょ!』
って、かなり厳しく怒られたんだ。先生にしてみれば心配してのことだと思うんだけど・・結果として犯罪や事件に巻き込まれることもなく帰ってくることができたのは単に運が良かっただけだと思って深く反省した。特に日本人は犯罪遭遇率が高いとか!? ノォー!
Colon(コロン)は、学校からは一番距離があって遠いと言われていたAyala Morl(アヤラ・モール)の更に奥(西側)にあるので、ジプニーで40分もかかって到着した。町の雰囲気はどこか暗ぁ〜く、どよぉ〜ん!とした印象だった。
瞬間! ”あっ!ヤバイとこ来てしまった!”って思った。みんなも同じことを思ったのか、幾分、顔が引きつっていた様な!?
Colon(コロン)中心部にあるMetro(メトロ)というショッピングモールの前で作戦会議!
『ここヤバそうだよ!』
みんな同じことを思っていたらしい。とは言えColon(コロン)には、歴史的建造物である”サントニーニョ教会” ”マゼランの十字架” ”サン・ペドロ要塞”がある観光地ってことにはなっていて、”カルボンマーケット”という上野アメ横に似た食材市場もあるという。せっかくなので、それらを見てみたいし・・という訳で、また作戦会議!! 結果、必ず複数人で行動して、絶対に単独行動しないようみんなで確認し合い観光することで同意した。
Metro(メトロ)を出発したオレたち5人は・・”サントニーニョ教会” ”マゼランの十字架”を見学して”サン・ペドロ要塞”から”カルボンマーケット”へと向かった。歴史的建造物ではあるが・・正直、オレにはよく分からなかった。ただ、地元の方々がとてもキレイにして大切にしている場所なんだなぁ!ということだけは肌で感じることができた。”カルボンマーケット”は、セブ島の各地から持ち込まれた食材の見本市みたいな感じだった。これどうやって食べるんだろう?ってものも多かったような!?
ぐるりと一周してスタート地点のMetro(メトロ)に戻ってきた訳だけど・・
所々(ところどころ)に、犯罪が起きそうな匂いのする場所はあった。Colon(コロン)周辺はセブ島の中でも低所得者層が多く住んでいる地域ということもあるだろう。小さい子供がタバコを吸っていたし、フルチンで遊んでいたし、周辺はドブ臭かったし、決して生活環境が整っているとも思えなかった。大家族で子どもが沢山いるのはいいんだけど・・ストリート・チルドレンのように子供たちが犯罪の片棒(かたぼう)を担(かつ)がされているような現状を知ってしまうと何とも言えない気持ちになる。そうかと思えば・・ビンが詰まったケース1ダースをトラックの下から荷台の上の人にヒョイヒョイと見事に放り投げ、受け取った人も崩(くず)すことなく手際良くドンドン荷台高く積み上げ、2人のリズムがピッタリで流れるような一連の動きは、さながら職人技とでも言えばいいだろうか!? まったくもって鮮やかな仕事ぶりだった。環境はどうであれ、たくましく生きようとしている人々の鼓動が伝わってくるようだった。”明と暗” ”光と影” 一見すると無秩序で、様々な要素が入り乱れているように見えるこの場所も、これはこれで案外バランスが取れているのかもしれない!と感じた。
ここからは別行動する事にした。りょうくん、ヒカリちゃん、みゆきちゃんは買い物に行き、オレとシュウさんは近くのJoliby(ジョリビー)でゆるぅ〜くお茶にした。オレ、このJoliby(ジョリビー)でちょっとやらかしてしまいカウンターで受け取ったパイナップルジュースとチーズバーガーをテーブルにぶちまけてしまったんだ。幸(さいわ)い座っていたシュウさんには被害はなかったけど商品はどちらもダメになってしまったんだ。これは完全なオレのミスなんだけど、店員さんにテーブルを拭(ふ)くものを借りに行こうとしたら、すでにモップを持った店員さんが来ていた。
『大丈夫ですか?服にはかかりませんでしたか?』
って聞きながら、パッパッと手際良くでモップやテーブルクロスでサッと拭き上げ、いったん奥に下がったかと思ったら・・作り直したパイナップルジュースとチーズバーガーを持って来てくれた。
『自分のせいだからお金払いますよ。』って言ったんだけど・・
『あなた日本の方でしょ!日本の方には、今も昔もとてもお世話になってるんですよ。両親や祖母がそう言ってました。だから気にしないで下さい。』と・・・
英語が怪(あや)しいオレだけの解釈ではなくて、英語ぺらぺらのシュウさんに
『今、こう言ってたよねー!』 と聞いてみると
『うん!それに近いこと言ってたよ。』と返事が返ってきた。
オレはとっさのことで状況が飲み込めなかったので、”ありがとう”しか言えなかったから、すぐにさっきの店員さんを見つけだして
『あなたの親切に感謝します。本当にありがとう!』と伝えることができた。
なんて、ホスピタリティの高い店員さんだったんだろう!セブ島にもいるんだなぁー!と感心してしまった。
それにしても先人(せんじん)の良い行(おこな)いが巡り巡ってオレに回ってくるなんて・・感激のあまり、美味しくて有名なJoliby(ジョリビー)のパイナップルジュースの味をあまり覚えていなかった。
シュウさんも、ココに来て似たような経験をしたことがあって・・
『日本人の国民性は自分たちが思っているよりも、かなり高く現地の方々に評価されている。』と言っていた。
オレも、日本人としてちょっと誇(ほこ)らしかった。セブ島に来るまでは、国民性というものを強く意識することはなかった。その国民性の違う人々が地球という星にゴッチャになって生きている。世界ってやっぱ広いんだなぁ!