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「アメリカの」トランプ支持者達たちを待ち受けてる"かも"しれない4つのルート


ルートA:なんてことはない「単なる保守的政権の支持者」

そもそも世界中を見てみれば、進歩派政府と進歩派人民による国なんて、そうめったにないわけだ。

冷戦終了からの30年において「良し」とされてきた物が、30年という1世代を経て、その役割を終えようとしているだけなのかもしれない。

むしろ、2020年以降の中道とは、トランプ政権くらいなんじゃないか?

ルートB:なんてことはない「単にインフレに腹が立ち、バイデン政権とその副大統領カマラを罰したかっただけの人たち」


個人的には、このルートが一番可能性が高いと思っている。

つまり言われているほどには、民主党の左派的政策は嫌われてない。

単に、今回の選挙で民主党が負けたのは、「インフレがひどかったバイデン政権で副大統領だった奴は嫌!!」というだけではないか。

この場合、共和党政権で経済が悪化すれば、4年後には、民主党にチャンスは大いにあるだろう。

とまあ、2つほど無難なルートを妄想してみたが、極端ルートもちょっと妄想してみよう。だって最近の世の中は何が起こるかわからないからね。

ルートC:腐敗した政府を打倒した勇者たち

会田弘継氏が良く言っているが、これは一種の革命なのだ。

腐敗したエリート集団(政府・官僚・ハリウッド・大手メディア・学術)を打ち倒し、人民のための国を作る革命なのだ。

そして、これも会田氏が言う通り、革命下においては従来の価値や権威は転覆する。

ボルシェビキたちはソ連を建国できたからこそ、ソ連があるうちは「腐敗した皇帝から人民を解放した英雄」だった。

しかし、ロシア帝国下では、彼らは「皇帝陛下に弓を引いた邪悪なテロリスト」だったわけだ。

だからトランプが訴追されようが、有罪判決を受けようが、大した話ではない。なぜならそれは、腐敗したエリートによる冤罪、権力による横暴と解釈されるのだから。

だから、トランプ支持者は「勇敢な人民」とでも評されるのかもしれない。

そんな未来もあるかもしれないから、今のうちに、民主党系セレブや知識人は、亡命ロシア人の長い歴史に思いをはせ、彼ら彼女らの様々な生涯を勉強しておくべきかもしれない。

ところで現状のアメリカと少し似てた国がある。それはかつてのベネズエラだ。そしてベネズエラでも一種の革命が起きた。

ルートD:後悔している元チャビスタ達

そう、ベネズエラだ。坂口安紀著「ベネズエラ -溶解する民主主義、破綻する経済-」から引用してみよう。

長期にわたる経済的安定と比較的高い経済成長は、一九七〇年代までラテンアメリカ諸国やヨーロッパから多くの移民を惹きつけた。
(中略)
政治面でも、ベネズエラは一九九〇年代初めまでは、ラテンアメリカの民主主義の模範国として認識されていてた。ラテンアメリカ二〇ヵ国の大半は一九六〇~一九八〇年代に軍事独裁政権下にあり、民主主義を維持したのはわずか四ヵ国で、そのひとつがベネズエラだった。
(中略)
そのようななか、ベネズエラは比較的透明な国政選挙が五年ごとに定期的に実施され、二大政党の間で平和裏に政権交代が行われてきた。
(中略)
当時、チリなどラテンアメリカの軍事独裁政権の迫害から逃れた多くの亡命政治家やジャーナリスト、知識人を受けれていたのが、ベネズエラだった。

P10-11 改行、強調、中略は私

もう1冊、外山尚之著「ポピュリズム大陸 南米」から引用してみよう

政治指導者となったチャベスは、既存体制を否定することに全力を注いだ。当時のベネズエラはひと握りのエリートが国や経済を支配する構造だった。1989年の日本経済新聞では、ペレス政権の顔ぶれについて「閣僚は35歳の新進経済学者、ロドリゲス調整企画相を筆頭に全員が博士号所有者というエリート集団」と報じている。
(中略)
貧富の格差を示すジニ係数は(1に近いほど不平等)0.48と、社会不安の警戒水域といわれる0.4を大きく上回り、失業率は14.5%、インフレ値は年率23.6%といずれも政情不安を招きかねない水準だった。
(中略)
国民の間で不満のマグマがたまっていた時に現れたのがチャベスだった。政界や大企業を率いるエリート集団に対する国民の反発心をチャベスは弁舌巧みに煽った。かつて欧州の植民地支配からベネズエラを解放した歴史上の英雄、シモン・ボリバルに自分を重ね合わせ、自らの目指す社会づくりを「ボリバル革命」と呼んだ。生活が苦しい中、既得権益を敵に回し、すべてをひっくり返す「革命」を叫んだチャベスの姿勢は、持たざる者である大多数の国民の心を掴んだ。

P35-36 改行、強調、中略は私

という事で、昔のベネズエラは、割とアメリカに似てるなと思った訳だ。

・二大政党による民主主義国で、民主主義の模範国と見做される。
・政府の閣僚は、博士号が当たり前のエリート主義
・経済的に豊かで、独裁でもないので、近隣から移民や亡命者を惹きつける
・産油国(アメリカはいま、かなりの産油国)
・格差が激しく、国民の間にインフレや不景気への苛立ちがある
・既得権益を攻撃するアウトサイダーが、政治の舞台に殴りこんできた。
・アウトサイダーは、1回は失敗したが、2回目は成功した。

となると、トランプとトランプ支持者は、チャベスとチャビスタとでもいえるかもしれない。

そして現状のベネズエラを考えると、アメリカもなかなかひどい事になるかもしれない。

もちろん、ベネズエラがあそこまでカオスになったのは、チャベスというよりも、後任のマドゥロがチャベス路線にしがみついているからだろう。

さらにチャベスが早死にしてしまった事も大きいと思う。チャベスというカリスマが早死にしたがゆえに、マドゥロはチャベス路線にしがみつかざるを得ないのだろう。

なので、ベネズエラの現状をアメリカの未来とするには妄想が飛躍している。

ただ、もしそうなった場合、トランプ支持者の半分くらいは「後悔している元チャビスタ達」となるだろう。
(残り半分は、新アメリカで特権的立場を得て、豊かな生活を送れるから、何の問題もない。そう、今のチャビスタ達がそうであるように)

最後にくだらない妄想

個人的にベネズエラの現状は、社会主義的ディストピアだと思っている。
(物資や食料の配給は社会主義の十八番だが、全国民にではなくチャベス派だけに選別されている。選別には、祖国カードやCLPPと呼ばれる制度を使っているのだが、これは本来、人民の政治参加のための制度である。こんな感じで社会主義の美徳がディストピアの維持に転用されているから)

で、アメリカにおいて、「後悔している元チャビスタ達」が生まれるとき、おそらくアメリカは資本主義的ディストピアとでもなっているのだろう。

それがどんな社会かは想像がつかない。ただ妄想は自由にできる。

例えば、火星に行けるし、街中ではアンドロイドが働き、人々はチューブ列車で移動するような夢のSF国家。

だけれども、その特権にあずかれない人々は、打ち捨てたられた土地で、中世以前のような生活水準で悲惨に暮らしている国家でもある・・・とかなのだろうか。

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