農業をやると決めた
はじめまして。
ネガティブモンスターから脱却し、農場内で『ポンコツ嫁』という役職を(心の中で)勝手に作ってヤると決めた農家の嫁です。
現在ポンコツ嫁歴9年目(R5)。
実は、私は農業をやりたくて農家である夫と結婚したのではなく、結婚したいと思った人がたまたま農家だったわけです。
そこからどこかなし崩し的に農場の手伝いをするようになったのですが(この辺はいずれお話ししたい)。
森農場は、米、麦、大豆が面積の大半を占めていて、本格的に野菜に力を入れ始めたのは現代表でした。
面積は小さいながらも多品種。機械で一気に種まきや収穫ができる作物と違い、格段に手間がかかります。
そんな森農場の中に入って見えてきたことがいくつかありました。
生産者自身が野菜の価値に気付いていない
これは私がとても温度差を感じた部分でした。
直売所なんかに配達に行くと、高確率でお客さんから話しかけられる私。
ある日、うちの野菜を並べている時に興奮気味のお客さんから声を掛けられます。
『森農場の人⁉︎ここのお野菜美味しくて好きなの!ちょうだい!』と私の手から森農場の野菜を受け取ってくれました。
そして、嬉しそうに森農場の野菜の良さを聞かせてくれたんです。
嬉しかった。ただただ嬉しかった。
私自身も、初めて森農場の野菜を食べた時に衝撃を受けたんですよ。
これが本来の野菜の味なんだって。
スーパーとかで当たり前に野菜は買っていたけれど、こだわりを持って選んでいたわけではなかったので。
それを喜んで代表に伝えたら。
『そうなんだ。』
ん?え???
ここで気付く。
森農場の人達にとって、自分たちが作ったものの品質が“基準”“普通”になるし、毎日当たり前に“どこにでもある食材”として食べている(贅沢すぎる)。
だからこそ、価値がある物を作っているという自覚が持ちにくい。これは非常にもったいない!
もっと気付いてほしい、目の前にある野菜の価値に。私は可能性を感じているんですけどー!
野菜作りのプロはいるのに、世に出す人がいない
農家になって色々な農場の野菜を食べる機会がありますが、土と生産者によって味が全然違うんです。
個人的には生産者と野菜はとてもよく似ているなと思います。
森農場の野菜は、見た目は控えめながら旨みがギュッと詰まっているタイプ。
野菜を作っている代表も空気と化せるくらい控えめ(失礼)。でも中身は濃ゆい。
知人曰く『(代表は)こだわりが強いって意味でめんっっどくさいでしょww食べたら分かるよ‼︎配達されて来た時の野菜の状態、並び方でも分かるよ‼︎』とのこと(褒めてくれている)。
私は未だに、両親も含めてプロ集団だなと腰が引けてしまいます。
でも待って。
出荷はしているけれど、当初は作って満足しているような空気も少し感じていました。
農場内で『いいものできたやった』で済ませるのもったいないよ。もっといけるんじゃない?誰か外に広めていこうよ。、、、あれ、私の役割、ここじゃない?
なんて気持ちがムクムクと出てきてしまった。
だって何より、私が森農場の野菜のファンになっていたんです。
両親は野菜作りに反対
ここまで読んでもらって最後にコレ。
両親はあまり野菜作りに賛成ではありませんでした。私も『(代表に)野菜やめろって言って』と言われたことがありました。
一見両親が悪者のように見えますし、私もそう思っていた時期はあったんです。ごめんなさいお父さんお母さん。
本心は本人たちにしかわかりませんが、祖父が入植し切り開いた土地を受け継いだのが2代目の両親でした。
そこから機械の導入が進み、日本経済もどんどん変化する。
その中で規模を拡大して経営を軌道に乗せた。そこにはとてつもない苦労と努力があったはず。
それに、畑作で安定した収入を得てくれていたから3代目が野菜作りを始められた部分もきっとある訳で。
苦労をしてきたからこそ『息子にはできるだけ苦労をさせたくない』『私達がやってきたことをやれば間違いないのに』という息子を案じる気持ちもあったんだろうと思います。
家族経営は家族関係で左右される面が大きいのです。
ただね、『現状維持は衰退だ』『野菜作りは続けたい』ってボソッと言う代表の気持ちは共感できるし、何よりこのクオリティーの野菜作れるのって当たり前じゃないから。やめるなんてもったいない。
ここで再び両親に謝りたい。
野菜をやめるように伝えてと頼まれた時『わかりました!』と返事をしましたが言ってません。
なんなら『やりたいならやっちゃいな!』って言いました。
ポンコツ嫁の想いとは
ここまで読んでくださってありがとうございます。
農家の夫と結婚し、農場やそこで働く家族を見ていて感じたことを書きました。
そこから、私なりの想いが生まれてきました。
“生産者自身に、価値があるものを作っていると自信を持って欲しい”
“森農場の野菜だから買いたい、と思ってもらいたい”
“代表のやりたい農業をやって欲しい”
“代表を押し上げたい、報われてほしい”
そうして私は、農業やるか!と思うのでした。
今は、迷ったり、自分がブレてしまいそうな時はこの想いに立ち返るようにしています。
めでたしめでたし!
、、、と思いきや、荒波にもまれてネガティブモンスターになり、立ち上がるまでに約8年かかることになろうとは。
その話はまた後日。
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