見出し画像

【ショートショート】告げ口【ラーメン部骨伝導】

   告げ口

 ラーメン屋ですぐ批評をするために、ラーメン部の部員たちは「ラーメン部骨伝導」を身に着けた。当人たちに声は聞こえるが、外野にはまったく聞こえない。この技術を身に着けたラーメン部は、所かまわずラーメンの批評をした。
 ある日、ラーメン部はいつものように批評を始めた。少しすると、店主がこんなことを言い出した。
「文句があるのなら、無理に食べなくてもいいですよ」
 部員たちは目を丸くした。確かにさんざんコケにした。しかし、これはラーメン部にしか聞こえないはずだ。
「すみません。僕たちの好みではなかっただけなんです」
 部長がすぐに謝った。部員たちも不思議に思いながら頭を下げた。店主は表情を柔らかくした。
「ほかのお客さんに伝わらないようにする心遣いには感謝します」
 部員たちはほっと胸をなでおろす。一人が口を開いた。
「でも、どうして聞こえたんですか?」
「よいダシを取るには、鳥ガラの声を聴かなきゃならないので」
 店主は、胸を張っていた。


 毎週ショートショートnote
 お題「ラーメン部骨伝導」
 文字数407字

気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)