【設定資料】はじめての魔術・入門
(この本は随分と読み込まれている。裏表紙に随分と拙い字でノアの名前が書かれているので、おそらく彼が幼少の頃に使っていた教科書なのだろう)
【魔術とは?】
魔術とは、「魔力を用いて引き起こされる現象、及びその手段」のことを言います。
例えば、ここにいるAさんが魔力を使って火を熾したとします。
(あまり可愛くないイラストが掲載されている。
人間の男の子の手から炎が出ているイラストだ)
これが魔術です。
同じ「火を熾す」でも……
(あまり可愛くないイラストが掲載されている。
人間の男の子が火おこし器を使っているイラストだ。
男の子の口元から伸びた吹き出しには「魔力は使ってないよ」と書いてある)
これは、魔術とは言いません。
魔術と魔力をまとめて「魔法」といいます。
【魔力の性質】
魔術は、魔力を持っている人であれば簡単に扱うことが出来ます。
魔力は四つの属性に分けることができます。
その四つの属性とは「火」「水」「風」「土」です。
みなさんも、自分の魔力がどの性質にあたるのか、調べてみましょう。
《先生から「判別紙」をもらって魔力を調べてみよう。
きみの魔力はどの属性だったかな? 書いてみよう》
(……明らかにノアのものではない文字で「無属性!! 父親からの遺伝! 以上!」と書かれている。何なら隣に「魔術協会公認大賢者カルロス・ヴィダル」のハンコが押されている)
残念ながら、生まれ持った魔力の性質を変えることはできません。
火の魔力を持つ人は火の魔術、水の魔力を持つ人は水の魔術……と、魔力と同じ属性の魔術と相性が良いです。
しかし、だからといって、水の魔力を持っている人が風や土の魔術を扱えないかというと、そうではありません。
効果は多少劣るかもしれませんが、全く使えないわけではないのです。
【魔力の扱い方】
自分がどんな属性の魔力を持っているか分かったところで、早速魔術を試してみましょう……と、言いたいところですが、まずは魔力を扱えるようにならないといけません。
《ためしてみよう》
手の上に魔力を集めてみよう。
(あまり可愛くないイラストが掲載されている。
人間の男の子が、手の上に魔力を集めている様子だ。
吹き出しには「片手で持てるくらい」と書いてある)
次に、集めた魔力の形を変えてみよう。
(あまり可愛くないイラストが掲載されている。
男の子が「ねんどみたい」と言いながら、魔力を練って遊んでいる)
!注意!
魔力は量が多ければ多いほど、扱うのが大変。
だから、最初は少ない量から始めて、徐々に慣れていこう。
おうちで練習するときは、大人の人に見てもらおう。
プリントが一枚挟まっている。
どうやら魔術学校での授業に用いられたものらしい。
「魔力を扱うところを見てもらって、おうちの人からコメントをもらおう」の欄に、明らかにノアのものではない文字がまるで砂糖の粒のようにぎっしりと並んでいる。虫眼鏡を使ってようやく読み取れるその文章を読む意味はあまりない。なぜなら、
「つい最近まで私たちの腕の中ですやすやと眠っていたあの小さな赤ん坊が、いよいよ魔力を扱う勉強を始める年齢になったのかと思うと非常に感慨深い」
という親馬鹿満載のコメントが延々と続くだけだから、である。