【ショートショート】パニックパニック【鋼こむらがえり】
パニックパニック
二年四組に、机の悲鳴が響いた。
「痛っ……」
「どうした?」
子供たちに気づかれないように、周りの机が様子を伺ってきた。
「あ、脚が、脚が痛くて」
「鋼こむらがえりだ」
「何それ」と言いたい机だが、脚の痛みでそれどころではない。察した机が説明をしてくれた。原因は分からないが、鋼といえども脚が突然痛むことがあるそうだ。
「じきに治るから我慢して」
「こんなに痛いのに?」
机が痛みに悶えると、鉛筆と消しゴムがぽーんと飛んでいった。周りの机も手当てをしてやりたかったが、何もできることがない。しまいに泣き声が混ざってきた。
「泣かないで」
「時間を置くしかないの」
周りの机がなだめると、こんな答えが返ってきた。
「僕は泣いてないよ」
机たちは視線を上に向けた。机を使っている子供が泣いている。机が悶えるとノートがばさー。しまいには机の中の教科書も、どさー。
痛みに悶える声と、パニック混じりの泣き声が、しばらくの間教室に響き渡っていた。
毎週ショートショートnote
お題「鋼こむらがえり」
文字数409字
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気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)