【MUSIC】ORIGINAL LOVEを勝手にレビューする vol.5 / SUNNY SIDE OF ORIGINAL LOVE
Original Loveの勝手にレビューの第5弾ですが、今回はベストアルバムのレビューです。すこし外します。また戻りますが。
昨日、田島さんがYOUTBEにてオンラインのライブ配信をやっておりました(2020年5月4日です)。とーってもよかったです。途中からでしたけど、アーカイブも残してくれていたので、ゆっくり夜に聴くことができました。
ステイホーム期間にファンや多くの人を喜ばせてくれる田島さん。そして新しい生活様式に対してミュージシャンができることを少しずつでもトライしていく田島さん。素敵です。
さて、何故にオリジナル・アルバムではなくベストアルバムであるコレを選んだかと言うと、これが多分私がOriginal Loveを始めてきちんと聴いたアルバムで、且つヤッベーってなったアルバムだからです。なんとなくですが最初に田島貴男の音楽を好きになったきっかけをしたためようかなと思ったわけです。
時は1993年で、私は高校生で、当時は音楽はCDで聴く時代です。高校生のくせに邦楽にはあまり興味がなく、洋楽を聞くネクラ男子。でもお金ないからJ-Waveとかを聴きながら、本屋で音楽雑誌を立ち読みしながら、外資系CDショップの試聴機とそこに書かれたレビューで新しい音楽情報を一生懸命に得ていた頃でした。
そんなネクラ小僧がCDショップの前に山積みされていたこのアルバムを手に取ります。当時、田島氏率いるOriginal Loveはドラマの主題歌に選ばれた「接吻 Kiss」がスマッシュヒットしており、その新曲も収録し、そしてこれまでの曲を自身でリミックス、再レコーディングしたアルバムがこちらです。
このアルバムが、洋楽好き小僧の耳にはすっごくかっこよく聴こえたわけです。こんな音楽やってるミュージシャンいたのか?!と。今思えば、他にもいただろとw思うわけですが、時は歌謡曲全盛期。ネットもない時代になかなかそういった音楽の情報というのは手に取ることができなかったのがあります。
一応お伝えしておくと、私、歌謡曲ももちろん好きなのですが、それはおとなになってからでして、当時は勘違い意識高い系リスナーとしてそこには何か反骨精神といいますか「歌謡曲じゃねーんだよ、俺が求めているのは」的な意識がありました、たぶん。
そんな子供の私の心の琴線に触れたのがこのアルバムでした。
ちなみにこの頃の田島リーダーはとんでもなくお忙しい時期。その超人的な忙しさの中でよくもまあ、改めてアレンジとレコーディングをしたなと感服します。ちょっと整理してみましょう。
・1993年6月:3枚目のオリジナルアルバム「EYES」をリリース
・1993年6月:田島貴男プロデュースのアンナ・バナナのアルバム「High-Dive」が発売
これ結構いいっすよ。
・1993年6月:小松秀行(BASS)が加入。
・1993年7月:全国7会場11公演のツアー
・1993年9月:森宣之(Sax)離脱
・1993年11月:「接吻 kiss」リリース
この写真、かっけーって思った。アゴのないタートル系首長族田島さん
・1993年12月:「SUNNY SIDE OF ORIGINAL LOVE」リリース
半年の間にオリジナル・アルバムと再録のベストアルバム、そして新曲とプロデュースしたアルバムをリリースしてます。その間にツアー挟みます。メンバーの入れ替えも同時平行です。
ちなみにこのアルバムのあとツアーを挟み、次のオリジナルアルバム「風の歌を聴け」をリリースします。
この時期の田島さん、やばくないっすか?!この多忙な量産時代において、追い込まれたランナーズハイなのか、とってもかっこいい音楽も多い!
そんな中において、当時の田島さんのそんな多忙な時期においても尖った情熱とこだわりなのか、少し前の音をそのまま出すことを嫌ったのか、当時のグルーヴ感を詰め込むようにして作られたベストアルバムがこちら。
これね、今聴いてもね、全然かっこいいっすよ。シャレオツグルーヴィー。そしてね、さすが田島っさん、こういうのやるとハマる。これがハマる。
というわけで、相変わらず長い前置きですが、レビューします。
1. SCANDAL (New Recording)
オリジナルは2ndアルバムの「結晶 SOUL LIBERATION」に収録の曲です。オリジナルよりもクラブの音っぽいミックスで間奏も長くグルーヴィー。おかげでこの曲は8分以上もあります。長い!!
スキャンダル群がる人と人のあいだに~Yeah~♪
かっこいいぜ。
2. 接吻 Kiss (Album Version)
通常よく聴くSingleヴァージョンは、皆さんご存知の「な~が~く~、あ~まい~♪」のサビ始まりですが、こちらはイントロからちゃんと演奏で始まります。個人的にはこちらのほうが好きなんですよ。イントロがかっこいいから。
この曲、改めて聴くとやっぱいいっすよね。みんなカバーしたいよね、歌いたいよね。でも実際歌うと難しいよね。
ちなみに数多くカバーされているこの曲ですが、僕の「接吻 Kiss」ベストカバー賞はこちら!
3. 微笑みについて Look At Me, Look At You
「接吻 Kiss」のカップリング曲で、接吻同様にオリジナル・アルバムには収録されてない。接吻はこのあとのベストアルバムに大抵収録されるけど、この曲はこのアルバムだけなんじゃないかなと思う。
ちなみにこの曲、くっそ好き、これ。当時聞いたとき、まじかっこいいなと思った。ボサノバアレンジのこのポップス。ちなみに歌詞は木原龍太郎アニキ。かっけーっす。木原氏のハードボイルドファンタジー(と勝手に呼ぶ)な歌詞は田島氏の曲との相性もよく、今聴いてもこのコンビの曲はいいです。小室哲哉、小室みつ子状態です。
4. LET'S GO!
3rdアルバム「EYES」の一曲目。これに関しては「EYES」と同じバージョン。半年前リリースのアルバムなので、音の時代性や感覚のタイムラグがないのでそのままだったのと思われる。
この頃の田島氏はね、普遍性と本質論に突っ込んだ歌詞が多くて、スーパーマンな頃です。ワードセンスもかっこいいです。「きらめきヤングマン」とかいう曲を20年後くらいに歌うとは微塵も感じないよ、この頃は。
この「LET'S GO!」って曲は、非常にかっこいい曲です。この頃はアレンジもリズム隊強めに押してる感じですが、この曲もパーカッションがいいです。三沢またろう氏。
5. DEEPER (New Version)
3rdアルバム「EYES」収録の曲。
この曲、洒落ててエロくて大人なジャジーポップスなんですが、この曲珍しく、作詞作曲双方ともに田島リーダーじゃないんですよ。
作曲はオリジナル・ラブのオリジナルメンバーで名ドラマーの故宮田繁男さん、作詞は”あの”吉田美奈子です。吉田美奈子 ?誰?って人もいるでしょう。詳しくはWiki先生で。
コーラスアレンジも吉田先生のもの。たしかにこのコーラスは田島氏のものではない、華やかさとしなやかさがあるなぁと、後付で思う。
ちなみにこれ「New Version」ってあるけど、オリジナルとの違いがわかんない、、、と思ったらWiki先生に書いてあった。
”イントロがエディットされて50秒程短い” だって。それ別にNewじゃないっしょw。
6. DEEP FRENCH KISS (New Recording)
デビューシングルです。アレンジ結構違います。かっこいいです。リズム隊が強めのよりグルーヴィーな仕上がりに。そしてコーラスにCHAKAさん(from PSY・S)がいらっしゃっております。ちなみに私、PSY・Sの「Friends or Lovers」が好きでしたわぁ(しみじみ)。
このアルバムもってました
ちなみに何故コレがデビュー曲だったのでしょうか、といつも思う。いや、嫌いな曲ではない、むしろ好き。だけどバンドのデビューシングルにしては、わかりにくいと言いますか。半年後にリリースされる2ndシングルの「月の裏で会いましょう」のほうがよっぽどキャッチーな気はしたんだけど大人の事情かな?
7. WALL FLOWER
3rdアルバム「EYES」収録の曲。
これもかなり好きっす。早口の歌詞の譜割りもかっこいいんですよ、これ。曲調といいその歌詞の世界観といい、非常に洒落ております。軽快なリズムとメロディ、でもタイトル通りで歌詞はどこか手の届かない、近くて遠い存在を歌うようでどことなくせつなさを感じる。
あとこれBIRDがカバーしてるんですよ、そちらもまた田島さんとは違って良いですよ。
8. MILLION SECRETS OF JAZZ (New Recording)
2ndアルバム「結晶 SOUL LIBERATION」に収録。Original Loveファンにはとても人気のあるクソかっこいい曲。タイトルがもうね、攻めとるわさ。どんな秘密がそんなにたくさんあるねん、Jazzには?特にこのアルバムのアレンジバージョンはホーンセクションも豪華でとてもかっこいい。
この曲は近年では2019年のフジロックにて披露された。
以外にも初フジロックでのりのり田島のオジキ
また円熟味と技術の上がった今の田島氏がコレをやるとまた当時と違って厚みがある。ただ、当時の田島さんのやる「MILLION SECRETS OF JAZZ」とか例えば「Blue Talk」とかって、なんだろう今にはない繊細さとシズル感がたまらなく色気があったんだと思う。この曲のスイング感と相まってたまらない。
今は色気よりも、圧倒的な存在感と重厚感、深みがあってそれはそれでいいのだけれど、当時のその色気は当時でしか出せるものではなかったんだと、この曲の演奏と今と当時で聴き比べるとなおさら思う。
逆に当時の田島さんでは最近の「ゼロセット」とかは歌えなかったと思うし。
話戻すけど、田島さんエロさ、色気は既に国籍を飛び越えるものがある。田島さんの”スキャット”はとてもいい。コレをかっこよくやれるアーティストはそうはいない。田島氏のエロさ、異国感要素の一つはこのスキャットだと僕は思っている。
9. THE VENUS (New Recording)
3rdシングルで「結晶 SOUL LIBERATION」に収録。
元々CMソングにも使われていたミディアムテンポで夏の爽やかさを歌うキャッチーな曲でしたが、このアルバムではテンポを落としよりしっとり大人なアレンジに。
この曲は元々「魅惑の宴」と仮タイトルつけられていたようですが、アレンジにより随分その印象が変わる。リミックス・アルバム「SESSIONS」に収録のバージョンでは、スローテンポのピアノのみアレンジもあり、この曲の振り幅がよく分かる。今の田島さんがコレをアレンジしてもまたそれはそれでエロい曲になりそうな気がします。
10. SUNSHINE ROMANCE (New Version)
4thシングルで「EYES」収録曲。
イントロ部分においてThe Fifth Dimensionの「It's a Great Life」という曲にインスパイヤーされております。
似てますねw。
そんなことはさておき、このシングルが「接吻 kiss」リリース前のシングルですがJPOPの大衆性と、マニアな音楽性の両端がいい形に楽曲になっている気がいたします。とっても爽やかな曲でいい曲です。
11. LET'S GO! (Cosmo-Phase Mix)
このアルバムの4曲目にも収録されている曲の別リミックス。
リミックスは森俊彦さん。この方はajapaiです、ajapaiセンパイ。
オシャレなリミックスでござる。
ajapaiといえば、私は岡村靖幸さんとのコラボ「DAI-SHA-RING」が印象深いです。
12. 月の裏で会いましょう Let's Go To The Darkside Of The Moon (New Recording)
2ndシングルで「結晶 SOUL LIBERATION」に収録曲。
当時、オシャレ意識高い系に愛された「BANANA CHIPS LOVE」という意味不明ドラマの主題歌でして、そのドラマの視聴者層に広くOriginal Loveが認知されるきっかけとなりました。
ちなみにドラマ、監督・脚本が、ハイパーメディアクリエイター高城剛先生、そして音楽を藤原ヒロシ先生 が担当していた、というだけでなんかわかります?その感じw
話逸れましたが、オリジナルに比べて非常に高揚感ある爽やかなアレンジ。とても月の裏≒Dark Side of The Moonではなく、陽の当たるキラキラポップスに仕上がっております。アルバムの最後を締めくくる、なにかアンコールの最後の曲っぽいアレンジで素敵です。
かなり昔のアルバムですが、今聴いてもしっかりとかっこいいアルバムに仕上げってますが、その一端はやはり単なる曲を並べるではなく、こだわりもって再録した気合、そして演奏を支えた豪華ばバックミュージシャンのおかげではないかと思います。
Original Loveが「接吻 Kiss」でちょうど世に出るタイミングのアルバムなので、田島さんニュー・ソウル・リーダーとしてその気合と勢いも相まって、このときでなければなかなか出せないこの瞬間を切り取った、ライブアルバムじゃないけど、当時の勢いのライブ感を閉じ込めるべく再録、再アレンジしたベスト盤。もう一度同じようなことをやろうとしても再現できない作品に仕上がっていると思います。