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【MUSIC】ORIGINAL LOVEを勝手にレビューする vol.3 / 東京 飛行

初心者でもとってもわかりやすいと思われるOriginal Loveのアルバムレビュー。前回の「Desire」に続く勝手にレビュー第三弾。今回は「東京 飛行」です。

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ちなみにこのアルバム、今廃盤なんすか?残念だ、恐ろしいです。プライムとかで聴ける?いや聴こうぜ。なんとかして。

黙って去りゆく男の背中がなんとも渋いジャケットですが、まさにこのアルバムを最後に(このあとベストアルバム出しますが)Original Loveはメジャーレーベルから離れることになります。
そういう意味合いで見るとなんとも更に渋く、切なく、淡いジャケットにも見えなくもないですが、本当はどういう意味なのかはわかりませんm(_ _)m
でもとても好きなジャケットです。かっこいいです。

簡単にOriginal Loveのメジャーデビュー後の足取りを追いますと(Wiki見りゃ済むことですけど、、、)

・1992年:「LOVE! LOVE! & LOVE!」で東芝EMIからメジャーデビュー(5人組)

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パツキン美女に囲まれる田島氏

・1993年:3rdアルバム「EYES」最後にメンバー3名脱退。その後新たに小松氏参加で3名体制(田島、木原、小松)になる。

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またしてもパツキン美女と一緒の田島氏


・1994年:4thアルバム「風の歌を聴け」で初登場チャート1位。このアルバムを最後に東芝EMIを離れる。

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異国で美女のダンサーを従える田島氏
東芝時代は、異国の美女と一緒にいがち

・1995年:5thアルバム「Rainbow Race」をPONY CANIONからリリース。後に木原、小松脱退で田島さん一人体制、一人オリジナルラブになる。

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ジャケから消える田島氏
(ジャケの写真はNorman Parkinson


・1996年:前回レビューした6thアルバム「Desire」をリリース。
そして時は経ち、、、
・2012年:PONY CANYONから14thアルバム「東京飛行」をリリース。コレを最後に一旦、自主レーベルになります。(またメジャーレーベルになりました。今はビクターエンターテイメントさんです)

1991年の25歳のときにメジャーデビューしてから約20年とちょっとメジャーとして走り続けてきた田島さんなので、色んな意味で感慨深い時期だったのかと思っています。

(余談ですけど、知る人ぞ知るピチカート・ファイブ時代を含めると、ピチカートの2ndアルバム『Bellissima!』が1988年なので22歳にメジャーデビューしていることになります。そのうち書きますが、すごいっす、田島サンっ)

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また前置きが長い!!ごめんなさい。
そんなここまでの流れありで、このモノクロの男の背中です。もう聴くしかないっす。飲むしかないっす。歌うしかないっす。泣くしかないっす。

1. ジェンダー
通常、Original Loveのアルバムは一曲目、一発目がかっちょいいんです。まずですね、イケてるリフからクイッと音楽小僧のハートを引っ掛けてから、強めのアレンジで押し切ってきます。その意味ではジャケットのイメージを裏切らないギターリフなんですが、いきなり「ふぅぅわぁぁーうぉう!」とおじさんが元気にシャウトです!いいです、いいですよ。多少くすんだスモーキーなロック。かっこいいじゃないですか。裏声高らかに、田島のオジキのソウルショー開幕の幕開けです。

2. オセロ
ブルージーなロック。おじさんロックですけど、とてもいいです。今回のアルバム通して、わりとアレンジストレートなんですよね。ドストレートなロックで、奇をてらった(田島氏的には普通だと思うけど)ところがない。ロックっす、ロック。前回の洋楽カバーアルバム「キングスロード」からの流れで、あの世界観をオリジナルソングでやった感じです。
歌詞もですね、なかなかのブルージーですよ。白から黒へ色がわかる、黒から白へ色が変わる。田島のアニキも色々と色が変わって振り回されてきたのかな、、、

3. 2度目のトリック
このアルバムの軸となる曲で、かっこいいキャッチーロック。この曲、いい曲だよなー。個人的にはドラマ「トリック」シリーズのために書いたのかもって思うくらい、なんかタイアップついても良さそうな気がしてるんですけどね。ちなみに、いまYOUTUBEとかでも見れませんが、この曲のPVが田島さんが刑事役になりきってるので面白い。

4. 髑髏
「しゃれこうべ」と読むみたい。タイトル通りとても静かというか暗めの演奏で始まる曲ですが、徐々に盛り上がりを見せて、ビックバンド風の軽快な仕上がりになります。親友なのか誰なのか、いなくなっただれかのことを歌ってます。弔いの歌かもしれません。なので髑髏。始まりはさみしげですが、最後は明るく歌い上げる。これはライブで聴くと良さが増す。

5. カフカの城
これってカフカの小説「城」のことなのかな。
失ったものから大きな穴が心にあき、そしてどこに向かっているかわからず、カフカの城にいた、という喪失感の歌。
このアルバム、通して喪失感がテーマなのではないのかなというくらいに、「失ったもの」を歌っている気がしてならない。
この喪失感を、田島先生お得意のシティ・ポップス感のある軽快なアレンジとメロディで、我々も一緒にカフカの城に連れていってくれます。

6. 13号室からの眺め
ここからB面一曲めという理解で良さそうです。ノリノリのロックチューンでございますが、こちらの田島さんも元気です。ヘイ、ヘイ言っております。歌詞と世界観はエロい感じで、途中にはいってくる艶のあるサックスなどこのあたりは田島さんです。でもこのラウドな破滅衝動と孤独と欲望の間の叫びにどこか切なさすらある。

7. 明日の神話
岡本太郎の「明日の神話」をモチーフに作られた歌。
田島貴男さんの岡本太郎先生への熱い思い、関わり合いは説明省くのでこちらを読んでみてください。

TAROの遺伝子

ストレートなラブソングです。何がすごいってさ、こういう場合、絵のタイトルそのまま曲名にしなくないですか?思いっきり絵のタイトルで曲を書くって勇気いると思うんですが、その思い切りこそが太郎イズムなんでしょうか。
出だし、岡本太郎さんのピアノ演奏?音源からスタートして、歌詞にも「太郎」「とし子」と名前を出している攻めた一曲です。

8. ZIGZAG
今から思うとこのタイミングで歌われたこの曲と歌詞は、そういうタイミングだったのかなと思わざるをえない。1990年代には応援歌的なものはあまり書かないスーパーマン的な田島貴男が、ここに来て高らかに人生の旅をうたう様は痺れる。
そのサウンドは軽快でシャープなストレートに良い曲。先日行われたオンラインでのライブでも歌われていたが、まさにコロナ禍において刺さるメッセージソングでもある。

もしもチャンスがもう一回巡ってきたときの日のために
いまは気持ちやらからだやら
いつも手入れして 準備をしている

じわりと響きます。

このアルバムのあとくらいから、田島氏はコレまででは考えられないくらい小さなライブハウスなどで弾き語りや「ひとりソウルショー」などを始めていくのですが、まさに歌詞の通りで準備をしていくわけです。
その期間で新たに取り組んだ大道芸(いい意味で)スタイルやギターテクの磨き込みなどで、更に一皮むけた田島貴男として今につながると思うと、本当にいい曲だと思うし、このアルバムもこの曲もジンときます。そしてすごいと思う、リスペクトっす、田島のオジキ。

9. 夜とアドリブ
これはですね、知る人ぞ知る渋谷系の名盤、日本で売れたフランス人アーティストのクレモンティーヌに田島貴男さんが提供した曲「Quand Rita danse / リタがダンスを踊るとき」のセルフカバーでござる。
ちなみにこの曲が収録されているアルバム「アン・プリヴェ~東京の休暇」は、非常によいアルバムで田島氏以外にも小沢健二や高浪敬太郎が楽曲を提供している。
そして、この「Quand Rita danse / リタがダンスを踊るとき」もいいのですが、「St Tropez / サントロペで」という曲がですね、とーってもいいっす。好きっす。

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時を戻そう、いや話を戻そう。
なぜにこの時期に20年前の曲をセルフカバーしたのかは不明だが、歌詞は完全オリジナル。リタも出てこなければダンスも踊ってない。
全体を通して、非常にプライベートな意味合いを持つこのアルバムにおいて、とても幻想的な曲であり、歌詞。ですがこの曲がここにいる不思議と、アルバム全体の中でそれが浮くことなく、薄暗いラウンジのソファーに座らされているか如く、心地の良く耳に入る。

10. 遊びたがり

きみに逢って変わった

それだけを伝えるための曲。つまんねえ奴、しょうがねえ奴、コレって誰なんだろうか。恋をすると、人が変わる、そしてまた会いたくなる、という田島さんが意外と得意のどストレートな恋の歌。ラヴァーマン的なやつです。

ピュアでストレートな恋心をうたうおじさん
田島 ラヴァーマン 貴男

とってもシンプルな恋のポップロックナンバーでアルバムの実質最後を飾る有終の美なナンバー。

11. エクトプラズム、飛行
インストナンバーでアルバムを締めくくります。インストって結構珍しいのだけど、「遊びたがり」の軽快なポップロックのあとの閉幕感があり、アルバムの終わりを告げるにはしっくり来る。
タイトル通りの浮遊感のある曲です。

アルバム通して、浮遊感、喪失感、孤独感が感じられる作りになっていて、ジャケットのモノクロ感、スモーキー感も感じられるかっこいいアルバムです。
おおよそ派手さ、ゴージャス感からすると物足りない感じがあるのですが、渋く夜のお供として、そしてこのコロナ禍においてしっくり来るアルバムではないかと思っています。

この時田島さんは40歳。新たなステージに向かう転換期における作品です。なので、とてもプライベートな作品だと思ってて、広くはない、豪華じゃない、大きくはない、深みのあるヴィンテージ・ウィスキーのような作品です。
だからなのか、当時よりも年を経て今聴くとまた良い。プライベートな作品が年を経て丸くなり、深みを増すというのはこういうことなのだろうか。

個人的には田島さんのPONY CANION時代のアルバム(おおよそ一般的にはそこまで陽の目を浴びてない)がここに来てまた別の良さを感じることができるのかもと、思ったり思わなかったりでござい〼

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