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介護現場で感じた葛藤と、ポニポニとの出会い

生まれも育ちも大牟田の37歳、野田と申します。2023年11月から大牟田未来共創センター(通称:ポニポニ)の一員として、働いています。

介護の現場で感じた葛藤


 僕は10年間、高齢者介護の現場で働いてきました。忖度せずに純粋に人の幸せを考えて働ける介護の仕事が大好きでした。また、利用者だけでなく家族の幸せも含めて、どうすればいい状態になるのか考えて行動することに面白みと楽しさを感じていました。しかし、新型コロナの発生をきっかけに、介護の仕事に対する考え方が大きく変わりました。

 その頃、僕はユニットリーダーとして、4人のスタッフをまとめる役割をしていました。新型コロナ発生の初期は、スタッフに風邪症状があったり、濃厚接触者になると自宅待機になる為、現場にいるスタッフの人数が減り、一人ひとりの介護に十分な時間をかけられなくなりました。おむつ交換や食事介助など生活維持に最低限必要はことだけを何とか終わらせる日々が続きました。もちろん感染症のリスクがあるので利用者は外に行くこともできません。ある利用者が僕に「ここでの生活は刑務所のごた(みたい)。」と言われ、その言葉が深く胸に刺さり、このままではいけないと強く感じました。

 それからしばらく自分なりに、利用者の生活の質とスタッフの働く場の質をどうにか上げようと努力しました。しかし、全く状況を変えることができませんでした。そんな自分に強い無力感を感じました。そしてユニットリーダーの役を降り、ケアの質や働く場の質について考えないようにしました。

ポニポニとの出会い


 そんな時、ポニポニとの接点のある人からポニポニが主催する「湯リイカ」というオンラインイベントに誘われました。このイベントで、福岡県で宅老所「よりあい」の代表をしている村瀬孝生さんのケア実践の話に触れ、その実践の内容と村瀬さんの柔らかい語りに僕の心は鷲掴みされました。特に村瀬さんの話される『しょうがない』という地平の話に興味を持ちました。村瀬さんの話す『しょうがない』を僕は、「スタッフが、利用者との折り合いのつかなさに向き合った先にある、それぞれがとらわれているものから解放された自由状態」だと考えています。

 僕が興味を持ったポイントはまず、「折り合いのつかなさ」についてです。この言葉を聞いて僕は、実際に介護の現場には折り合いのつかない場面がたくさんあるのではと直感しました。村瀬さんが例として挙げていた、「家に帰りたい利用者と泊まって欲しい介護職員」は定番中の定番ですが、その他にも「薬を飲んでほしい介護職員と飲みたくない利用者」、「水分を取ってほしい介護職員と飲みたくない利用者」、「お風呂に入りたくない利用者と入ってほしい介護職員」など。いろんな場面で「折り合いのつかなさ」と日々介護職は戦っていると感じました。

 そして二つ目のポイントは「向き合う」です。「折り合いのつかなさ」が介護の現場に日々起こっていて、大切なのはその「折り合いのつかなさ」に向き合うかどうかで、そこが大きな分岐点だと感じました。僕自身は村瀬さんほど向き合えていませんが、向き合おうと心掛けてきました。少ない時間の中でも、利用者と向き合うことで自分だけが聞けた話や自分だけに見せてくれる表情がありました。僕はそこに喜びや面白みを感じていて、向き合うことができない時に苦しさを感じていました。村瀬さんの話からそんなことに気付くことができました。

 村瀬さんの話を聞き、自分の介護の道が見えてきた気がしました。と、同時にポニポニの存在も気になるようになりました。当時はまだ「大牟田を良くしようとしてくれている団体がいて、有識者との繋がりが多くて、いろんなことが学べそうだ」そういった印象でした。

今回はここまでにします。
また今度、入職するまでや入職した後のことなど書きたいと思います。