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鴛鴦 -コロナ禍に日本一周したラッパー夫婦の旅- 【第6話】

第10章・呼煙魔・PIZZERIA KOZO篇

2020年6月24日。47都道府県ストリートLIVEツアーの旅を始めて5日目にして初めてストリートLIVEお休みの日。

連日のストリートLIVEや道中の移動、さらにその合間でのKOOPAとのレコーディングなど、アドレナリンの赴くままテンション爆上げ全力全快フルパワーで過ごしてきたせいであろう、早くも身体が悲鳴を上げ出した。まだ47都道府県中、4県目なのに。

何はともあれホテルで朝食を済ませチェックアウトの時間までしばしの休息。

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今日は昼間から呼煙魔くんと楽曲制作だ。
ホテルをチェックアウトし呼煙魔スタジオに向け出発。

途中、厳重な策に囲われた自衛隊の駐屯所らしき施設が左側一面に現れ妻は大興奮、全く違う話をしていたのに自衛隊を発見した妻の歓喜の声にかき消された。
なんでも陸上自衛隊施設学校との事。いつも国民の平和のためにありがとうございます。

30分程車を走らせ事前に教えてもらっていた近辺に到着、近くのモスバーガーで昼食を購入し昨日ぶりに呼煙魔くんと再会を果たす。

僕がここでレコーディングしている間に、妻は溜まりに溜まった着用済みの衣類を洗濯しに近くのコインランドリーに行く事に。ありがとう。イイの作ります。

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       (呼煙魔さんと)

実は呼煙魔スタジオに来るのは今回が初めてではない。
以前『クリティカルヒッターズ』名義でマイメン『句潤』とチームで水戸に呼んでもらった日の翌日、ここで呼煙魔アルバム『TASK FORCE』に参加した曲”Never Ending Story feat. PONY, HUNGER”のレコーディングをした事があるのだ。ナイスパニック。

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          (TASK FORCE / 呼煙魔 2018)

そんなこんなで厳密には昨日ぶりとはいえ久々の再会に話に華が咲く。

ここで僕は3日前の夜にKOOPA宅で起きたナイスパニックのことを話した。

柏駅でやったストリートLIVEにKOOPAが来てくれてその流れで夜からKOOPA家に行って新曲が出来たという事、またその曲のレコーディングとミックスとマスタリングを呼煙魔くんにお願いしたいという事、さらに呼煙魔beatsで今回の旅アルバムの曲も作りたいという氣付けばお願い3点攻めしてしまっていた。

すると呼煙魔くんは順を追って全て快諾してくれた。ありがとうございます。この男、ハンパナイスパニック。

そうと決まれば時間が動き出す。
まずはKOOPAとの楽曲”勢い”のレコーディングからやる事に。

Beat選びからリリックからもの凄い勢いで作られたこの楽曲、やはりレコーディングも凄い勢いで完了した。ナイスパニック。

KOOPAのボーカルデータとbeatのparaデータは後日お渡しするという事で一旦この曲のセッションは終了。あっという間の出来事だった。

ここからは”呼煙魔”とのセッションがスタート。

ここで少し呼煙魔くんとの出会いについて書こうと思う。

あれはたしか2015年の戦極MCバトル12章、まだPONY名義で出場した大会。
僕自身久しぶりのMCバトルだったという事もあり意気込んでたのを覚えている。
その日MPCプレイヤーとしてバトルbeatを生演奏していたのが呼煙魔くんだ。
僕は3回戦か4回戦で呂布カルマ氏に100対0ぐらいで負けたらしい。

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           (戦極MC BATTLE 第12章)


イベント終わりに呼煙魔くんを見つけ演奏お疲れ様でした的な会話を交わしていたら1枚のCD-Rを頂く。呼煙魔beatサンプル集だ。
本人曰く1ヶ月に最低でも15曲は作っているとの事。ハンパナイスパニック。

それから家に帰ってbeatを聴くことになるんだけどまさにナイスパニック。
どの曲もナイスで速攻でリリックが走り数曲ガレージバンドでプリプロを録って送り返すなどのやり取りに発展、その後もよく曲を作るようになっていく。
色々と重なり未だにリリース出来てない曲も沢山あるのだけどこちらの曲たちもいずれカタチにしていきたいな思っている。

そんな呼煙魔くんは昨夜ストリートLIVE水戸篇が終わった後、帰ってから夜中メイクしたという曲を聴かせてくれた。

「素晴らしい」1発で氣に入った。

即決。早速リリックを書き始める。

僕にとってイイbeatとは曲を聴いてるだけでスラスラとリリックが走っていくbeatに感じる事が多い。

この曲も然りスラスラと書き進め1verseとhookまでが書き終わった時点で一度レコーディングブースへ入る。

連日のLIVEやレコーディングで喉も限界に来てはいたがここで全集中。
数テイクでイメージ通りバッチリレコーディングする事が出来た。
さすがはDr,呼煙魔である。ナイスパニック。

出来た曲を聴きながら僕からひとつ提案する。

P「この曲、誰か旅が合いそうな人に2verse目にRAPしてもらえたらなと思うんですよね、なので一旦色々とイメージしたりしたいので一度持ち帰ってもいいですか?」

呼煙魔「なるほど、わかりました。そしたら進展楽しみにしていますね」

P「ナイスパニック」

ここで本日のセッションは終了。タイトだけど濃密な時間でした。お疲れ様でした。

少しすると妻もコインランドリーから戻って来て合流、コインランドリーで「ナイスパニック』を知るOLの方3人組からナイスパニックカーについて声を掛けられ、その方達にナイスパニックステッカーを手渡したとの事。ナイスパニック。

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(ナイスパニックステッカー『ナイスパニック店』にて販売中)

その後も3人で少し話をして17時頃呼煙魔スタジオを出発。次なる目的地はファっちゃんが営むナポリピッツァの専門店『PIZZERIA KOZO』だ。

ナビで調べると1時間45分ぐらいかかるらしい。ファっちゃん昨日は遠くから駆け付けてくれてありがとう。

ファっちゃんのお店までは妻が運転を代わってくれたので僕はなれない手つきで外の風景を撮影したり休ませてもらったりストリートLIVEが無い時間というのを感じながら旅を噛み締めていた。

旅はまだ始まったばかりだ。

夕日も落ち空も暗くなる少し前ぐらいに無事お店に到着。

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P「ナイスパニック!ファっちゃん!昨日はありがとう!来たよ!!」

FAT山「PONEY!いらっしゃい!もう誰もいないから適当に椅子座ってゆっくりしてってよ」

店内にはカウンター越しに大きな釜が備えられている。

イタリア製のマリオアクントという釜メーカーの釜で、大阪の凄腕の煙突職人によって設置されたというピザを焼くためだけに作られたピザ専用薪釜との事。ナイスパニック。

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(ファっちゃんことDJ FAT山さん)

店内の随所に置いてある本やアイテムからナイスなセンスが感じられる、店内を流れるBGMもいいし流石DJが営むお店といった感じだ。

ゆっくり話を交わしつつメニューを見ながら想像力を掻き立てる。

散々悩んだあげく僕は『水牛のモッツァレラとセミドライトマト』と『生ハムとルッコラ』のハーフ&ハーフを注文、さらにファっちゃんお勧めの『大子産葉わさびの醤油漬けと生ゆば』のピザも追加で注文した。

昔東京でよーく遊んでた友達が、地元で釜焼きピザ屋をやっている。
オープンした事は当初から知っていたがやっと来れた。

ピザを仕込むファっちゃんの目はあの頃のファっちゃんの目とは違った。

釜に入れる前の状態のピザを釜の前に準備し「今から焼くよ」とその様子を目の前で見せてくれた。

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薪をぶち込みあっという間に釜の温度を上げる。そして綺麗に回しなが均等に焼いていく様はもはや『匠』だった。カッコイイ!ナイスパニック。

慣れた手つきで二枚のピザを焼き上げ満遍の笑みでテーブルへと運んでくれた。

見た目から美味い。脳みそがそう言っている。
お好みで攻めるちょいとピリ辛なオリーブオイルも添えてくれてもう涎ダクダクである。

「いただきます」

僕は『水牛のモッツァレラとセミドライトマト』のピザから手に取った。

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(『水牛のモッツァレラとセミドライトマト』と『生ハムとルッコラ』のハーフ&ハーフピザ)

先ほど焼きあがったばかりの生地で具材を挟み込みまずはそのままひと口。

?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!

「旨ッッッッッッ!!!!!!!」

美味しすぎる。これがとんでもない程に美味しすぎるのだ。美味い以外の言葉が野暮と感じるレベル、美味すぎる。もう圧倒的だった。

ちょっと素でここまで感動しちゃうのは恥ずかしいんですけどレベルで口の中に広がるパーフェクトワールドに感動した。

P「ファっちゃん、びっくりした!本当に美味しいね、いやぁ、感動しました」

妻もひと口目を口にした途端、目を見開き感動していた。文句なしの100点満点である。

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(『大子産葉わさびの醤油漬けと生ゆば』のピザ)

あまりにも美味すぎるそのピザはあっという間にお皿から姿を消した。最高の満腹感と多幸感を残して。

お腹も一杯になった頃、ここで再びファっちゃんのbeatでフリースタイルdiaryを撮影をする事に。
ファっちゃんのピザ屋でファっちゃんの焼いたピザで腹を満たした後、ファっちゃんのbeatへ乗せるフリースタイルdiary。本日もナイスパニック。

ファっちゃんから今日の宿の事を聞かれまだ何も考えていないと返すと、ここから近くでレムズさんという方が運営してる『咲くカフェ』というゲストハウスがあって、価格も安めだしお洒落でいい感じだという情報を貰う。

せっかくだし何かの縁かもしれないなと思いそこに行ってみる事に決めた。

明日、朝から『袋田の滝』に一緒に行く事を約束して店を出る事に。
帰りにピザのお代を支払いたいと言うと、旅の餞別だよとご馳走してくれた。すごく嬉しかった。ありがとう、ファっちゃん。ナイスパニック。

車を走らせスムーズにナビの住所に到着、荷物を運び出し受け付けを済ませる。
予約無しで二人で4,,500円くらいで宿泊出来た。
受付の時にレムズさんらしき方に話し掛けるとやはり本人との事で少し小話をしてお互いのアルバムを交換したりした。ナイスパニック。

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(レムズさんと)

季節が季節なだけに蚊との精神的な張り合いはあったものの、連日の旅の疲れせいか僕はパタンと電源が切れるように就寝した。


ストリートLIVE全国制覇まで

残り43県。

Let’s nice panic!!!


つづく 

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