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鴛鴦 -コロナ禍に日本一周したラッパー夫婦の旅- 【第4話】

第8章・KOOPA、蕨駅前篇

SNSというツールは1985年生まれの僕にとって未だに不思議なものだと感じる。

通知一つに心が高揚したり落胆したり、バズったり炎上したり、

もしバズれば一夜でスターにも成り得るかもしれないし、善いことも悪い事も誰もが簡単に共有出来る。
憧れの人とも繋がれるかもしれないし、良くも悪くも人生が一変する事にも成り得るツールと認識している。

旅ではこのSNSを利用して今の今リアルタイムで旅をしている事を発信しながら行動している。
今どこどこにいるだとか、これからどこどこでストリートLIVEをしますとか、ストリートLIVE自体を生配信したりとか用途は様々でこの旅には欠かせないツールだ。

柏の極楽湯からKOOPAの家を目指している最中もインスタLIVEを敢行、見てくれているリスナーさん達と妻を介してやりとりしながら車を走らせる。

何度かLIVE配信をしているうちに毎回インスタLIVEを観に来てくれてコメントをくれる方と仲良くなったりもする。ナイスパニック。

そうこうしているとあっという間に教えてもらっていた住所に到着、KOOPAと無事再会を果たす。

P「ナイスパニック、さっきは観に来てくれてありがとう!そして、本当に来ちゃった」

K「ナイスパニック、LIVEお疲れっした!どうぞ上がってってください」

車を近くの駐車場に止め、KOOPAの家に招き入れてもらう。
時間は夜の12時になる頃だった。

旅と撮影の疲れを癒してもらう為に妻にはKOOPAに用意してもらった別室で先に就寝してもらった。
最初は初めてお邪魔する家だし寝れるか不安がっていた妻だったが、相当疲れていたんだろうな、寝床に着いたら即ぐっすり寝ている様子だった。本日もお疲れ様でした。

夕方柏のストリートLIVEで会ったとはいえ、2020年は1月から極力人との接触は避けて過ごして来た為KOOPAと会うのも半年ぶりだった。
昔からクラブやイベントでよく顔を合わせたり、サンデイパニック完結篇の時には刺客パニックとして山梨にも一度来てもらった事もあった。でも自宅にお邪魔するのは初めてだ。

K「改めて柏ストリートLIVEお疲れ様でした!PONEY君の動き本当に半端ないっすね、Twitterで旅の事知って、今日柏でやるって事だったのでキャッスルに(CASTLE RECODSの略。上野にある日本語RAP音楽の専門店) 寄ってから内緒で駆けつけちゃいました!!」

久々に会ったっていうのもあるし、今まで経験した事の無いコロナ渦でずっと自粛生活していたという事もあり話の華が乱れ咲く。KOOPAは興奮しながら沢山の前向きな言葉を掛けてくれた。

P「昔から地方へLIVEに行った際にイベント後、そのまま知り合ったラッパーの家やスタジオへ入って曲作りするとかっていう場面があって、そんな時は決まってナイスパニックな思い出が残るから、今日もナイスパニックにしたいな。それで旅した各地で曲を作っていき旅が終わる頃アルバムが完成するってなったら『※ハンパナイスパニック』だな」

と道中ワクワク想像を膨らませながらここに来た事を伝えた。
するとKOOPAは「やりましょう!」と応えてくれた。
ちなみにこの時点で時間は夜の2時前くらいだったと記憶している。

※『半端じゃない』と『ナイスパニック』が合わさった『ハンパナイスパニック』という言葉はこの瞬間に産まれた。ナイスパニック。

この時共通のBEATメイカーの件で話がアツくなり、その勢いのままそのbeatメイカーのbeatの上に勢いよくflowした楽曲”勢い”のリリックを殴り書き二人のプリプロ(仮レコーディング)を録り終えようやく就寝する事に。外はもう完璧に明るくなっていた。

おやすみなさい。

勢い feat.KOOPA Pro.BoNTCH SWiNGA

3時間ほど休ませてもらい起床。

本日は17時から蕨駅でLIVEすると伝え僕たちはKOOPA宅を出た。
突然の泊まりのお誘い&レコーディング本当にお疲れ様でした!ありがとうKOOPA!!!

一度KOOPAと別れ蕨駅の周りを散策、本日ストリートLIVEする場所を見定める。
雨が降りそうな予感を感じ駅前沿いの屋根が架かっている通路に決定。
即座にインスタグラムのストーリーとTwitterでつぶやいて告知をする。
果たして何人の蕨ソルジャーが観に来てくれるだろうか、楽しみだ。

LIVEする場所も決まった事だし一旦落ち着いて考えようと妻と作戦会議。
柏でストリートLIVEしたその足で蕨まで来てKOOPAと一晩中楽曲制作していた為、身体が悲鳴を上げていた。
そこで話し合った結果、今日のストリートLIVEが終わったら次の県へは移動せずもう一泊蕨に泊まる事にした。
いい判断だと思う。
こんな時代に旅しているのだから体調を崩したら続けられない。怒られるどころの話ではない。精神的に村八分だ。

そうと決まれば早速宿探し。先ほど街を散策している時に発見したイーホテルに決定、ここなら駅前まで歩いて行ける距離だ。妻が即座にiPhoneから部屋の予約を済ます。

ホテルに着くもチェックインまでまだ少し時間が必要との事だったのでフロントで荷物を預かってもらい腹を満たしにお隣の洋食屋さんへ。
こちらもさっき街を散策している時に発見して氣になって仕方なかったお店『ワンチーフ』さん。

中に入ると店内はレトロな雰囲気でなかなかイカしたお店だった。

僕はサービスステーキ、妻はデミグラスチキンカツを注文。
どちらもナイスな価格帯で美味しく疲れ切った僕の胃袋の血流を上げてくれた。
ご馳走様でした。

腹ごしらえを済ませ早速ホテルにチェックイン。
荷物を部屋に運び込みすかさず本日のストリートLIVEの仕込みを開始、スピーカーの充電や今日歌う曲のTRACKをSP-404に流し込みちょっと音合わせをして仕込み完了。

LIVE時間まで束の間の休息タイム、シャワーを浴びてリフレッシュ、軽く仮眠をとる事に。

相当疲れていたのだろう、妻の一声でハッと目を覚まし時計を見るとLIVE開始時間の17時を軽く過ぎていた。軽くパニック。

さっと身支度を済ませLIVE用の機材を背負ったら急ぎ足で進み出す。
いざ本日のストリートLIVE開催地、蕨駅前へ。

17時頃開始と告知していたので申し訳ないながら嬉しい事に何人かソルジャーらしき人達が僕の登場を待っていてくれた。
中にはナイスパニックTシャツを着て来てくれているソルジャーも発見!ナイスパニック!

心配していた雨も降ったり止んだり、降っても小雨をキープしてくれている。どうか終わるまでその調子で頼みます。

LIVEの準備をしていると昨夜もナイスパニックを提供してくれたKOOPAも駆け付けて来てくれた!二日連続で背中押してくれてありがとう!

17時40分、予定より40分遅れてストリートLIVEスタート。

P「ナイスパニック、PONEYです。47都道府県ストリートLIVEツアー埼玉県は蕨駅前篇、おっぱじめます!」

もはや恒例となってきた”Let’s nice panic”からLIVEスタート。
アルバムリリースしてから3日目で3回目のLIVE、初日より声が板に付いて来た感を感じる。

P「47都道府県3日目、蕨駅西口にてストリートLIVE、今からあと44県旅しようと思ってます!ナイスパニック」

小雨舞う中ナイスバイブスで僕のLIVEを楽しんでくれているのが見えこちらもさらにナイスなバイブスでFLOWする事が出来る。完璧な相乗効果、まさにナイスパニック。

P「♪I say ナイス you say パニック♪」
P「ナイス♪」皆「パニック♪」P「ナイス♪」皆「パニック♪」

ストリートLIVEを見に来てくれた人も途中足を止めて見てくれる人も凄くいい表情でLIVEやLIVE間のトークを楽しんでくれている。
正直蕨には初めて来たし、小雨も舞っているしどーなる事かと思っていたが皆の表情を見ながらLIVEしていたらその心配は無かったかのように頭の中から消えていた。
僕はLIVEを続ける。
こんな時代だからなのか“Up 2 Me”や”THIS WORD IS YOURS”は特に聴き入ってくれていた。こちらも思いが入る。

改めて思った事だけど、やっぱ『LIVE』は最高だ。
2020年3月以降一度もLIVEする事が無かった。ましてやスタジオ以外で人に会って無かった僕にとって、路上で持ち込みのスピーカーひとつだけど楽しんで聴いてくれる人がいて、配信や無観客LIVEでは絶対に味わえないバイブスがある事を再確認した。そのバイブスが僕の心を躍らせてくれる。ナイスパニック!
調子に乗って1時間ぐらいLIVEしていたと思う。

この日も苦情が入る事も無く、止められる事も無い最高の時間でした。

KOOPAも来てくれているし、LIVEを観てくれている人の中にもラッパー臭を漂わせている人が何人か居たので最後”SUKIKATTE”をキックしてLIVEが終わると見せかけて

P「今日は本当にありがとうございます!マイクもう一本持って来てるんでRAPやりたい人いたら一緒にナイスパニックサイファーをやりたいなと、いける?」

客「余裕っすよぉ」

P「こっちはMyマイクだから誰にも触れさせない!でもこっちのマイクは自由だから、スイッチあるから」

KOOPAがスッとマイクを握ってアカペラで昨晩から続く想いをスピットしてくれてナイスパニックサイファーがスタート。
アモンからロータス、KOOPAへとイケてるverseが飛び交う。そしてその誰もがリスペクトを示してくれる。こちらこそリスペクトである。蕨、ナイスパニック!

15分程マイクを回しナイスパニックサイファー及びストリートLIVEツアー蕨駅前篇が終演、ここからはナイスパニック行商の時間。
多くの方がCDアルバムとゴールデンパニックTシャツを購入してくれて本当に嬉しかった。
さらにゴールデンパニックBOXに氣持ちを授けてくれる方もいらして本当にありがとうございます、ナイスパニック!

その中で不覚ながらCDを買いに来てくれるまで氣付かなかったがDJ PONY氏と再会、ブチ上がる。ナイスパニック!
人は髪型がガラッと変わってマスクを着けていると誰か分からなくなるらしい、びっくりしたwwまさにナイスパニック!

DJ PONY氏は僕が2016年に山梨県で開催していた『サンデイパニック』を一緒に始めた人でもある。その頃はバックDJをお願いする事も多く『PONY&PONY』でよくLIVEしていた。その後DJ PONY氏は職を極める為に埼玉県に引っ越ししていた為、かなり久しぶりに会ったのもありブチ上がった一人である。よく夜の甲府盆地をパトロールと称してドライブしたりした仲だ。

(PONY&DJ PONYさん TOHYOサイファーにて 2016)

そんなDJ PONY氏から夕飯を誘われる。
もともとストリートLIVEが終わったらKOOPAがいつもお世話になっているというナイスパニックなスニーカーとhiphopのセレクトSHOP『KICKS CLAN』を案内してくれるという予定だった為DJ PONY氏も一緒に行く事に。

『KICKS CLAN』に到着、店内には他所ではあまり見かけないレアなスニーカーがズラーっと並んでいる。興奮して靴を見るのに必死になっているとKOOPAが改めて店主のPGさんを紹介してくれた。どーやらstillichimiyaにいた頃から僕の事を知ってくれていたコアなお方でした。KOOPAの計らいでアルバム『ナイスパニック』を店に置かせてもう事に。僕はアルバムと購入特典用にステッカーも付け納品させてもらった。少量しか無いと思うので見かけたら是非GETして欲しい、ステッカー付きやねん!

ここでナイスパニックなスニーカーに一目惚れしてしまう。
オレンジ×カーキ色のNIKE エアマックス95’だ。
僕の足は極度のばんびろ甲高な為ナイキのスニーカーはエアマックス95’以外足が拒絶する使用となっている。

旅が始まって2日目ちょっと悩んだがこれからの旅の成功を祈願して購入する事に、嬉しい!!ナイスパニック。

アルバムを納品しスニーカーまでGETしてご機嫌で店を後にする。ナイスなSHOPだったので是非立ち寄ってみて欲しいと思う。

(左からPONEY,PGさん,DJ PONYさん,KOOPAさん)

その後近くのびっくりドンキーにて夕食会、久々の再会話に華を咲かせたり今回の旅への激励の言葉を貰ったりとバイブスが上がるナイスな時間でした。さらにDJ PONY氏が夕食を奢ってくれまして、身の引き締まるサポートありがとうございます!

最後にナイスパニックカーの前で本日のフリースタイルdiaryを撮影、KOOPAにも参加してもらってナイスなverseをキックしてもらったところでお別れの時間、旅には出会いと別れが付きものだ。

フリースタイルdiary day183 feat.KOOPA

昨日から柏、蕨でのストリートLIVEに加え楽曲制作まで付き合ってくれたKOOPA、サプライズで蕨駅前篇に遊びに来てくれたDJ PONY氏、さらには蕨駅前に集まって僕のLIVEを観てくれた全てのソルジャーにありがとうございます。

明日は茨城県は水戸でLIVE予定!
氣を引き締めて楽しむぞ!!

ストリートLIVE全国制覇まで

残り44県。

Let’s nice panic!!!


つづく 

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