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民法とMTGにおける、「無効」と「取り消し」の違い
突然ですが、この問題文を読んでみてほしい。
令和6年度宅地建物取引士模擬試験問題(改題)
設問:AがBに甲土地を売却する契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば正しいか。
肢:Aが意思能力を欠いている者である場合、AはBとの売買契約を取り消すことができ、この場合、AB間の売買契約は初めから無効なものとなる。
正誤に関して結論からすると、誤となります。
無効じゃないのかと訊かれると無効ですが、
取り消せないのかと訊かれると取り消せません。
結果的に契約が無かったことになるのなら、同じことじゃんと思いますが、この問題を解く上で知っていなければならないことは、
「意思能力を欠いている者による契約はそもそも無効」であること、そして、「無効の契約は取り消すことすらできないこと」ということです。
大事なのは、民法において「無効」と「取り消し」は違うということです。取り消しは、一度は有効になった契約を後から無かったことにすることだからです。
さて、マジックプレイヤーなら当然分かっていると思いますが、「無効/Annul」と「取り消し/Cancel」は違うカードです。
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どちらも打ち消し呪文ではありますが、取り消しは全ての呪文を対象に取れるのに対し、無効はアーティファクト呪文かエンチャント呪文に対してしか対象に取れません。この点は取り消しに軍配が上がります。実際の所相手の呪文が解決されてすぐに仕事をされるカードタイプは、アーティファクトとエンチャントを除く、クリーチャー、プレインズウォーカー、ソーサリー、インスタントです。これら眼前の脅威、目に見える盤面への影響をすぐに与えうるこれらのカードタイプとは違い、アーティファクトとエンチャントは優先度が低めです。(とはいえ青は戦場に出てしまったアーティファクトとエンチャントには触りにくく、対処が難しいものではある為ある意味クリーチャーより優先的に打ち消すべきという考え方もあります)
しかしなんでも打ち消せる取り消しとは違い、無効はなんと言っても青1マナのみ。相手がアーティファクト呪文、エンチャント呪文を多用するデッキだと判った2本目以降では、サイドボードから仕込んで青1マナ余らせて構えながらターンを渡せば、かなりのテンポを稼げるはずです。特にスタンダードで無効/Annulを再録する時というのは、大抵そのエキスパンションでエンチャントやアーティファクトにフォーカスが当てられていることが多く、サイドに仕込んでいると効果的であるのは経験済みです(テーロスブロック時のスタンダードでは、青1マナ残して無害そうな振りしてターンを渡し、無警戒に撃ってきたクリーチャー・エンチャントなどの強力な呪文を返り討ちにして気持ちよくなっていました)
こういう民法に出てくるmtg用語が他にもあるので、時間があるときに紹介します。