雪菜の誕生日に、今更ながらホワイトアルバム2考察ブログの真似事をしてみた。

　ことホワイトアルバム2に関しては、長々とした考察ブログがたくさん世に放たれています。それはやはり、『結局誰が悪いのか』論争であったり、『オレは誰々派』という話であったりと多岐にわたります。それらはもちろん読みましたが、僕自身としてはプレイしたのが10年近く前にも関わらず今までそういう長文での感想を書いた事はありませんでした。なぜかと言うと、そのどれもが間違いではなく、確固たる正解とも言えない、人の恋愛と倫理に関する話だからで、結局は書き手の中の恋愛論と照らし合わせて評価するしかない以上、ある種の不毛さがあったからです。
　ただ今日は、雪菜の誕生日で、午前中暇で、なんとなく気分だったので、挑戦してみようと思いました。スマホでぽちぽちと2時間くらいで書きました。

　僕は結論から言うと、『誰派なのか』と訊かれれば雪菜派で、『誰が悪いのか』と訊かれれば春希くんだと思っています。なぜかと言うと、3人とも若く過ちを犯した部分はありますが、決定的な過ちだったのが春希くんだったからです。
　仮に春希くんが、自らの内にある『誠実』を取り違えず、あの時タクシーの前で「どうしてオレの前からいなくなろうとするんだよ、冬馬！」を言ってしまうことは良くないとブレーキをかけられたなら。最悪、かずさに想いをぶつけられた後にもブレーキをかけてキスを踏みとどまったなら。
　そうしたなら春希くんは、雪菜と幸せなゴールをしていたと思っています。

　確かに春希くんは、かずさのことが一番好きだったでしょうけど。
雪菜も、春希くんのことが好きな気持ちよりも3人で一緒に居続けることが大事だったでしょうけど。
　それでもちゃんと春希くんは雪菜の事を愛していましたし、また雪菜も春希くんのことを愛していました。それは、傷つきまくった大学、社会人生活を経てもなお、前向きに幸せな日々を歩むことができたかずさノーマル、雪菜トゥルーを見てもわかります。春希くんと雪菜はもともと、ちゃんと幸せになれるのです。『小木曽家のような、ごく一般家庭的』に。

　ここまで拗れてしまった原因は、
・かずさが春希くんにとってあまりにもタイプ過ぎた
・春希くんの中の『誠実』が、雪菜の気持ちを慮って行動にブレーキをかけることができない、スーパー独善的だった
　この２つです。そして、かずさが春希くんのタイプだったことは別に悪いことでも何でもないので、やはり春希くんが全ての原因ということになります。

　よく、雪菜の悪い部分として、
・あんまり全力で恋してたわけじゃないけど、仲間はずれにされそうだったから春希くんを奪った
・かずさが春希くんを好きな事を知っているのにも関わらず、3人で居るという望みのために温泉旅行に連れ出し露天風呂で裸の付き合いをさせる
　など、ぶっ飛んだ行動として挙げられることがあります。
　確かにこれらの行動は、結果的にもかずさが春希くんのキスを奪う原因を作り出したり、春希くんとしてもかずさを強く意識することになったりと碌なことにならなかったわけです。普通彼女であれば、彼氏である春希くんと、別の女であるかずさを同じ旅行に誘ったり裸で温泉に入らせたりはしないものですし、浮気を誘発させる自滅的な行為であることは間違いありません。だからこそ、その行動こそが、彼女の中にある『春希くんが好き<仲間はずれは嫌』という優先順位の表れなのでしょう。
　しかし結局、『じゃあ雪菜が3人で居る事を優先して2人の心をかき乱したから、浮気されても仕方ない』のかと訊かれたら、これはやはり否なのです。雪菜の行動原理は恋人としてはおかしいですが、それでも浮気しなければよかった話なのです。
　温泉旅館でかずさの美しい姿を見させられても恋心を募らせなければよかったし、
旅行帰りで先に彼女が車から降りたとしても、残った車内で無防備に寝ている大好きな大好きな春希くんの唇を、どうせ叶わない恋なんだからせめて唇を奪うだけでもと魔が差したとしても、奪わなければよかったのです。
　それらはもちろん、まるで浮気してくれと言わんばかりで、まんまとくっつけさせられたかのような行動群でしたが、それでも浮気をしなければ良かったのです。無理があるのか、書いてて若干苦しくなってきたな。

　ここで仮に、春希くんが初after allシーンでかずさに思いの丈を叫ばなかったとしましょう。かずさはタクシーに乗り、そのままウィーンに行きます。2人は悲しみに暮れるでしょう。しかし、そこから2人が不幸になることが予測できるでしょうか？春希くんがかずさを追ってウィーンに行くでしょうか？学生時代に想いを遂げられていないのに、24歳でウィーンで再開した時、codaほど再び恋が燃え上がるでしょうか？そして、春希くんと雪菜は結婚できないでしょうか？
　そんな事はないと思います。春希くんがあの時我慢をしていれば、心の中に思い出としてかずさを残したまま、普通にゴールインしていたと思います。
　だからやはり、春希くんが一番の原因だと思うのです。

　ここまで書いてみても、やっぱり不毛だなと思いました。春希くんが一番悪いとしても悪いからなんだって話ですし、かずさトゥルーへの道を閉ざした方がいいのかと言われたらそれも否です。わかってはいましたがやはり絶対的な正解なんてないものなので、これで終わりにします。