ディズニーは女にとってのドラゴンボールである
ディズニー作品には女の夢が詰まっている。
筆者は結婚するまでは言うほど真剣にディズニー作品、特に女性向け作品を見たことがなかった。しかし結婚し娘が誕生、その後に始まったストリーミングサービスであるディズニープラスに加入したことがきっかけで、数々の女性から支持を受けるディズニー作品を見ることになった。その結果、一つの結論に辿り着いた。
ディズニー作品が多くの女性から人気を集める理由、それは”女の夢”が詰まっているからだ。そう、ディズニー作品は男にとってのドラゴンボールと同じく、女の子の夢がてんこ盛りだったのである。
ドラゴンボールが世界中で支持されるのは、男子誰もが持っている根源的な夢が詰まった作品だからである。修行により強くなり、より強い敵と戦い倒す。その過程で仲間と友情を育て、恋人と愛を育む。結婚して子供を作り父親となり、子供に強い男の背中を見せ息子を自分と同じような強い男に育て上げる。
ドラゴンボールには強くなりたい、仲間と一緒に戦いみんなから尊敬されたい、素敵な女性と家庭を築き、子供たちにカッコいい強い父親として慕われた、強く立派に育った子供たちの活躍を見たい。そういった男なら誰しもが持つ男性性の根っこ、そこから湧き上がる欲求を満たしてくれる作品なのだ。
同じことがディズニー作品にも当てはまる。ディズニー作品にはドラゴンボールと同じように女性誰もが望む夢が詰め込まれているのである。ただし、男性の夢と女性の夢は全く異質なものだ。
女性の夢とは何なのだろうか?数々の名作ディズニー作品を振り返り、それぞれの作品の込められた女性の夢、欲望、願望について書いていこう。
全世界、人種や年齢にかかわらず女性誰しもが持つ夢とは何だろうか?
『王子様に求婚されたい』『ムカつくババアにスカッとジャパンを決めてざまぁしたい』『お姫様になりたい』『オラついたイケメンに振り回され冒険したい』『強引に口説いてくるキモイ男を彼氏にボコボコにして欲しい』『皆に大人気のモテ男からの求婚を袖にしてもっと素敵な彼氏と付き合いたい』『ダメダメなイケメン彼氏を自分の手で真の男に育てあげてから求婚され結婚したい』……
これらの夢の欲張りセットをディズニー作品は余すところなく満たしてくれるのである。世界中の女性が虜にならないはずがない。早速ディズニープリンセスの名作を紹介しながら、各作品に込められた女性の夢について解説していこう。
1.すべてはここから始まった!王子様から求婚されムカつくババアにスカッとジャパン!白雪姫とシンデレラ
ディズニー初の長編アニメーションである白雪姫、ディズニーの代表作であるシンデレラ。これらの作品に共通するのが『ムカつくババアをぶっ飛ばしてスカッとジャパン』と『可愛いけれど不遇な私に突然の王子様からの求愛と結婚』である。
昨今のテレビや週刊誌でも人気のコンテンツが”スカッとジャパン”と呼ばれるものだ。スカッとジャパンとはムカつく奴にビシッと文句を言って懲らしめてやった、という物語である。
これらのコンテンツは主に女性に大人気だ。女性は常に女社会で共感と気遣いの人間関係を強いられている。職場のお局ババアや姑、口煩い姑ババア、いつまでも子ども扱いしてくるオカン、ババアどもに日々気を使いガツンと言えずにストレスを貯めている女性にとってムカつくババアをぶっ飛ばすことは強い欲求の一つなのだ。
白雪姫とシンデレラの悪役は、白雪姫の美貌に嫉妬するババア女王と、父の遺産を相続し血のつながらないシンデレラを疎ましく思う継母ババアである。彼女たちは作品の最後に主人公の白雪姫とシンデレラにスカッとジャパンされる。ババア女王は白雪姫に毒リンゴを与えたのちに嵐の中で崖から転落して絶命。継母ババアに至ってはガラスの靴を履き優勝確定したシンデレラからフェイスオフで『あなたを許します』という勝利宣言を受けるという屈辱のスカッとジャパンをかまされた。
特に秀逸なのが王子様という最強男性から求愛を受け、圧倒的なステータスを手に入れたシンデレラが、自分を虐めてきた継母に対して勝利宣言をするこのシーンだ。男性作品なら主人公を苦しめてきた諸悪の根源であるラスボスを、修行で身につけた必殺技で粉々にするシーンに匹敵するカタルシスを女性に与えてくれる名場面である。
白雪姫とシンデレラ、この作品が女性の夢を叶える素晴らしい作品ではあるが満たしきれない夢がまだまだあった。それを埋めたのが次なるディズニープリンセス作品たちだ。
2.私はキラキラお姫様!退屈な日常から抜け出して出会うイケメンと許されざる愛の大冒険!リトルマーメイドとアラジン
白雪姫とシンデレラでは『可哀想な私が王子様に求愛を受ける』というものであったが、その次に創られたリトルマーメイドとアラジンでは主人公の立場は180度違うものとなった。
リトルマーメイドとアラジンが叶えた女の子の夢、それが『キラキラしたお姫様になりたい』であっただ。リトルマーメイドの主人公アリエルは人魚の国の王トリトンの末っ子娘、つまりお姫様なのだ。アラジンの主人公のジャスミンに至っては王様の一人娘、将来は王子を娶って国をまとめていくという凄まじい権力者である。
しかし彼女たちはキラキラ生活を送る中でとても退屈している。父親の目を盗んでは危険な冒険、火遊びを続ける中で出会うのが自分の外の世界へ連れ出してくれるオラつきイケメンたちだ。
リトルマーメイドでは相手のイケメン男子も王子様という肩書を持っていたが人魚とは結ばれることない人間、アラジンに至っては盗みで生計を立てる貧乏男であり、当然女王の結婚相手としては不適である。どれだけ愛し合ったとしても結ばれることのない二人。そうこの2作品では『許されざる愛の物語』という女性の夢を叶えに来ているのである。
さらにアラジンではついにラスボスがババァからキモイおっさんに変わった。『自分に言い寄ってくるキモイ男を強いイケメン彼氏にボコボコにして欲しい』という夢も叶えてきたのである。
白雪姫とシンデレラでは『王子様に求愛されてお姫様に!』『ムカつくババアにスカッとジャパン』、そしてリトルマーメイドとアラジンでは『私はお姫様!』『許されざる禁断の愛の物語』『口説いてくるキモ親父を強い彼氏にボコってもらう』という夢まで叶えてくれるのだ。
しかしまだまだ全世界の女性の夢を全て叶えるという野望に向けて慢心するディズニーの足取りは止まらなかった。
3.私だけが見つけたダメダメなイケメンを立派な男にして最後は素敵なラブロマンス!美女と野獣、プリンセスと魔法のキス
ここから先は
¥ 250
この記事が参加している募集
サポート頂けるとnote更新の励みになります!いつもサポートしてくださっている皆様には大変感謝しています。頑張っていきますので、どうかよろしくお願いいたします!