【人生初Timee】地味にきついポスティング
復学後、そろそろ働きたい、でもシフト制のバイトに戻るのは違う気がする…とずっと動けずにいた。
しかし、この秋から通信制大学とダブルスクールすることにしたため、その学費で口座のお金がぱーんと吹っ飛んでしまい、いつまでも逃げているわけにもいかないので単発バイトを探してみた。
そこで先日、巷で話題のTimeeでポスティング業務をしてみたので、その備忘録を書いてみる。
0.登録~求人選び
Timeeの登録はいとも簡単に終わった。
通常この手の求人サイトは個人の証明書(免許証など)をアップロードしてから承認までに数時間かかるものだが、なんとTimeeは登録して10分もせずに登録されてしまった。早すぎる!
求人を見ていくと分かるのだが、初心者を受け付けているところはそう多くない。多くのところで、「セブンイレブンレジ経験者のみ」や「Good率○○%以上のみ」「営業経験者採用」など、他社で経験がある人を求めていることが多い。さらに、飲食店であれば、検便の提出を必須としているところも多いため、数日前に思い立って応募しようにも検便提出が間に合わない、ということもある。
しかし、会社側からしてみれば当たり前で、どこの馬の骨とも分からない、面接もしない人間を急に採用するのだから、信用がおけてその場ですぐに動いてくれる人に来てもらえるに越したことはない。
仕事は結局、何事も信用と信頼だ。たったひとつのミスが、その後の売り上げ大幅ダウン、果ては倒産にまで繋がりかねない。常に命綱を渡りながら事業をしている以上、派遣とはいえまともな人間を採用したいのは間違いない。
また、私の住んでいる市の求人が少なかったのも難点であった。隣の市では数多くの求人があるが、交通費が出ないところばかりで、1日働いても交通費で1000円以上吹っ飛ぶなら…と避けていた。
今回応募した求人も結局隣の市で、交通費で1500円程度飛んでしまったのだが、ポスティングがどういう仕事なのか、また、Timeeで雇われるとはどんな仕組みかを知りたくて興味本位で応募したので、ある意味勉強代として捉えている。
1.仕事場到着~業務説明~送迎
今回応募した会社は事前に案内文書が2つ添付されていたので、それを読んで準備物を確認してから集合場所に向かった。なお、労働前日には再度確認の通知が来るので承認し忘れないように要注意。
集合場所に入り、まずQRコードを読み込んで出勤時間を記録。Timeeさんはそこの椅子に座ってと言われ、しばらく待機。
このポスティングは新人と経験者で分かれており、新人は1時間ほど業務説明を受けてから業務開始となった。
驚いたことに、この説明が本当に事細かい。私のポスティングのイメージはただポストにチラシを入れるだけでしょ♪という何とも腑抜けたものだったが、実際はいかにクレームが発生しないようにするか、という怖いものだった。
今回のポスティングは
【各企業がチラシを作成→人材派遣会社に配布を依頼→派遣労働者がポスティングする】
という構造である。
ポスティングした人が二重配布したり、(業務量の多さに疲れて)不法投棄したり、チラシお断りのポストに投函したりした場合には、住民からクレームが来る。
ここで問題なのは、クレームが届くのは人材派遣会社ではなく、各企業(飲食チェーン店、不動産会社…など)なのである。派遣会社が知らぬうちに問題が発生しているのだ。当然そんな問題を起こしてしまった派遣会社は、依頼先の企業からの信用を失い、配布受注を受けることができなくなる。売上で言えば、1か月〇万円×12か月×〇年=〇〇万円分を失うことになる。
派遣会社の社員は何も悪いことをしていなくても、たった一人の派遣労働者のせいで損害を被ることになるのだ。この点には本当に注意してほしいと念を押して言われた。
説明終了後は、契約書3枚にサインをし、現場まで送迎していただいた。
2.いざ、ポスティング
業務説明では「信用を失わないように!!」ということは分かったが、現場に着いてからポスティングの大変さを思い知ることになる。
私の勝手なイメージでは、あるエリアに着いてから皆でそれ行け!と、ちょっとずつ配っては車に乗って、どこかまた別のとこへ…と思っていた。
ところが。
1人1人に担当エリアがあり、まずそのエリアの地図を配られる。そして、「今日のあなたの担当のチラシね」と、ビニール袋ぱんぱんのチラシ一式を渡され、エリアの端っこで降ろされる。
はい、終わり。
…え?
本当に終わりだ。この先は全部ひとり。私の業務時間は7時間あったが、本当に7時間まるまる一人で、最初に現場まで送ってもらって、作業終了後に指定場所まで迎えに来てもらう。その間のお手伝いはない。(不明点は電話すれば教えてもらえるので、まるっきり放棄というものでもない)
じゃあのんびり気ままにできるじゃん♪とお思いのそこのあなた。何と対策として、一人ずつにGPSが配られているので、安易なことはできない。業務終了後には、GPSと配布先が一致しているかどうか事細かに確かめられるようなので、軽はずみな行動はできない。
(ただし、トイレ休憩等のためにエリア外のコンビニに行く程度は許される。エリアによっては商業施設がまるでない場所もあるため。)
しかも、問題なのが、チラシが途轍もなく重いのだ。それを持ったままエリア中を歩き続けるというのが、想像以上にしんどい。自転車や台車があれば楽なのに、そんなものはない。
(※量によっては、どこかにチラシを置く場所を確保して、チラシがなくなり次第そこに取りに行くという場所もあるらしい。ただそれも、置かせてもらう場所を確保するのはそう簡単ではない。場所によっては不法投棄と勘違いされて警察に通報されたり、子どもの遊び道具としてぶちまかれたりといったこともあったらしい。)
今回の私の場合には、「これくらいなら持って歩けるでしょ」と言われてそれを持って歩き続けることになった。私も見た目だけで「いけます!」と言ってしまったのだが、いざ持ってみると、本当にしんどい。戸建て用・集合住宅用・事業者用の3種類の袋があったのだが、場所ごとに必要なチラシを取り出し、地図上で「配布禁止」になっていないことを確かめ、そしてまた重いチラシの束を持ち上げて隣の家へチラシを入れる…。途中、腕が悲鳴を上げそうになった。
途中でこのままではダウンする、と思い、集合住宅を最初に片づける戦略をとった。これは我ながらいい戦略である。集合住宅のポストであれば一旦チラシの束を置けるし、チラシがどんどん減っていくので重量がだいぶ減って楽に歩けるようになってきた(それでもまだ重いことに変わりはない)。
重いことに加えてきついのが、地域住民の視線である。特に一軒家の付近を歩いているときがしんどい。
ただでさえ大きなビニール袋を抱えて歩いているのが不審なのに、その人が一軒一軒の前で立ち止まるのだ。しかもポストの位置が分かりにくい家も多く、家をじろじろ見るため非常に怪しい。郵便局や宅配業者の制服を着ていればまだいいのだが、Timeeなので当然私服。
めちゃくちゃ怪しい奴じゃないか!!!!!
自分が住民でも怖い。
しかもチラシなんて、失礼だが大半の家にとってはゴミである。いらないものを押し付けてくる奴が、こんなに怪しい姿で町中を歩いている、しかも本人は疲弊していて周りに気を配る余裕がない。最悪だ。通報されないか本当に怖かった。
にこやかに挨拶をすることで乗り切ったが、いつどこでクレームを入れられるかと恐怖に怯えていた。
また、地図に書かれている情報が実際の家とは異なっていることもあり、ひやひやした。解体工事中だったり、戸建てのはずが集合住宅になっていたり。
それ以外の苦労というと、その日の気温・天候もあるだろう。私が働いた日は雨が降っていなかったのでまだ良かったが、秋だというのに昼は暑くて仕方なかった。自分が住む市は盆地で寒いためそれ用の恰好をしていたら、勤務地は盆地とは無縁の地だったので、余計に暑かった…。真夏や真冬に働く人たちは相当大変である。まだ秋で良かった。
3.感想
以上、楽そうに見えたポスティングは全くもって簡単ではなく、想像の3倍は重労働であった。
私が普段ゴミだと思って真っ先に処分している物の裏にこんな重労働があったとは考えもしなかった(ゴミにしてすみません)。郵便・宅配業者さんたちの苦労の一端を見た気がした(彼らは徒歩ではなくバイクや車移動なので、重さで悩むことはないと思うが)。
8時間もの間重いチラシを持ち続けたお蔭で、翌朝目覚めたときの上半身の筋肉痛は、なんとも言い難いものがあった。運動不足を痛感。
ただ、しんどい思いはしたが、ポスティング業界の形態、派遣労働の仕組みなど、勉強になることは多かった。私が住所から推測されて「〇〇大学生の人?いや~〇〇大学なんてどうやったら入れるもんかわかんねえや」と言われ、いつも学内の人間とだけ交流している自分には分からない目線を持つ人達に出会い、派遣労働者の方が普段どんな生活をしているかお聞きする機会にも恵まれた。派遣労働は、社会の端っこを見るには、ひとつのいい機会である。
なお、私が住む市町村でもポスティングをできないか、と調べたところ、給与形態が酷いものが多く見つかった。チラシの配布先から契約が1件あれば〇〇円という成功報酬型(どう考えても配布者の手柄ではないだろ)、1枚あたり数円という業務委託型のところなど。
今回のような時給換算型のものは1件もなく、まだいい求人だったのだなと思った。
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最後に、今回の経験を通して。
大学卒業まで、残り1年5か月。
大学生のうちに色んな人と出会って、自分の人間の幅を広げておきたい。
自分にとって都合のよい社会にいると視野が狭くなるので、都合の悪いところにも揉まれる経験をしておきたい。
Timee含め単発派遣求人サイトを今後利用するかは求人次第だが、様々な場所を経験するにはいい媒体だと思うので、これを見ている方も機会があれば是非一度挑戦してみてほしい。