平成と同じ過ちを繰り返すのか
本日はこちらのニュース。
財政制度等審議会は25日、2021年度予算編成に向けた建議(意見書)を麻生太郎財務相に提出した。
財務省にとって都合のいい事を議論することでおなじみの財政制度等審議会。今回もまたおかしなことを言っているので取り上げます。
まず一点目。
新型コロナウイルス感染拡大を受けた財政支援に関し「単なる給付金」ではなく、コロナ後を見据えて生産性向上に取り組む事業者らの支援に軸足を移すよう提言。未来に向けた日本経済の成長力強化につなげていくべきだと強調した。
『「単なる給付金」ではなく、コロナ後を見据えて生産性向上に取り組む事業者らの支援に軸足を移すよう提言。』
とありますが、今何が起こっているのかというと、経済活動の抑制による需要の激減です。モノやサービスが売れなくなっているわけです。しかし、これは感染拡大を抑制するためには仕方のない事です。ですから政府は「単なる給付金」を大規模に用意し、減ってしまった需要をもとに戻す必要があります。
具体的には「特別定額給付金」「粗利補償」「消費税減税or廃止」です。
コロナ後を見据えるのもいいですが、それで今をおろそかにしてしまっては意味がありません。どちらかを選ぶという発想が間違っています。今を乗り越えてこその未来があるわけですから。
生産性向上はもちろん必要なのですが、生産性向上を行うのはモノやサービスが売れるだろうという予測が立つからです。今、経済を守るための財政支出を疎かにしてしまえば、コロナ後も経済はなかなか回復せず生産性向上のための投資を行う企業は出てこないでしょう。
2点目。これが非常に問題です。
建議は、成長に寄与するデジタル化や設備投資の推進に向けて「選択と集中、ワイズスペンディング(賢い支出)の考えを徹底すべきだ」と指摘。「財政支出を増やせば持続的な成長が起きるといった単純な話ではない」と強調した。
日本が20年間経済成長出来なかったのは「選択と集中」を行ったからにほかならないです。東京一極集中化という現象はまさしく「選択と集中」の結果です。
地域別の公共投資の動向(兆円) http://mtdata.jp/data_67.html#tiikibetuより
南関東だけが99年と比べて投資が増加しています。東京を中心とした都心部に公共投資を集中し、地方への投資を削減した結果が東京一極集中という現象として表れています。
さらに財政支出に関する意見についても間違っています。財政支出とGDPの伸びには明確な相関関係があります。
主要国の2018年の自国通貨建てGDP・政府支出(対2001年比)http://mtdata.jp/data_70.html#IMFより
日本が経済成長していないのは政府が支出を削減してきたからです。このグラフを見れば一目瞭然でしょう。財政支出はGDPの一部となりますから、財政支出を増やせばGDPが増えるのは当たり前です。
しかし、そうした事実すらも無視していかにお金を使わないかばかりを考えているのが財政制度等審議会であり財務省です。
コロナ禍を乗り越えるには、激減している需要を回復するための給付金が一番効果的です。感染症対策の一環ともいえます。
そして絶対に「選択と集中」を行ってはいけません。通貨発行権のある政府は全国民、全企業救うことができます。やろうと決心するかどうかです。
平成と同じ過ちを繰り返さないことを祈ります。